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売却 - 空き家売却の流れ|査定から引き渡しまで7ステップ完全ガイド【2026】
売却

空き家売却の流れ|査定から引き渡しまで7ステップ完全ガイド【2026】

「空き家を売りたいけど、何から始めて、どう進むのか分からない」——空き家売却は 7つのステップ で進みます。全体像を先に知っておけば、「今どこにいて、次に何をするか」で迷いません。

この記事では、空き家売却の流れを ① 事前準備 → ② 査定 → ③ 契約方式の選択 → ④ 売却活動 → ⑤ 売買契約 → ⑥ 決済・引き渡し → ⑦ 確定申告 の時系列で整理し、各ステップの 所要期間・必要書類・つまずきポイント を解説します。

世の中の解説の多くは仲介(業者が買主を探す方式)の流れしか書いていません。しかし空き家では 業者に直接売る「買取」 を選ぶ人も多いため、この記事では 買取ルートの流れも1ステップずつ同じ粒度で 解説します。

結論を先にお伝えすると、空き家売却の流れで押さえるべきポイントは3つです。

  • 全体期間は買取なら1〜2ヶ月、仲介なら4ヶ月〜1年 — 期限(3,000万円控除など)から逆算する
  • 最初のつまずきは「名義」 — 相続登記が済んでいないと売却できない
  • 書類は「権利証・実印・印鑑証明・固定資産税通知書」が軸 — 事前準備で半分決まる

初めての方でも迷わないよう、順番に見ていきましょう。

売却の流れ、どのステップを知りたい? — 状況別ジャンプガイド

今の状況 おすすめの読み始め
全体像をまず見たい 7ステップ全体マップ
何を準備すればいい? STEP1: 事前準備
査定を受けたい STEP2: 査定
買取か仲介か迷う STEP3: 契約方式の選択
買取で売る手順を知りたい 買取ルートの流れ6ステップ
契約・引き渡しの手続き STEP5〜6: 契約と決済
費用と税金を知りたい 費用と税金の速算
実際の進み方を見たい 相続空き家のモデルケース
売った後にやること STEP7: 確定申告

空き家売却の流れ — 7ステップ全体マップ

💡 この章の要点: 「準備 → 査定 → 方式選択 → 売却活動 → 契約 → 決済 → 申告」の7ステップ。買取なら④が無いため1〜2ヶ月で完了、仲介は④に3ヶ月〜1年かかる。期限がある人は逆算でルート選択を。

7ステップと所要期間

STEP 内容 所要期間
1 事前準備(名義・書類・残置物) 1〜4週間(相続登記未了なら+1〜2ヶ月)
2 査定(複数社) 1〜2週間
3 契約方式の選択(仲介 or 買取) 数日
4 売却活動(仲介のみ) 3ヶ月〜1年
5 売買契約 1日(準備1〜2週間)
6 決済・引き渡し 契約から2〜6週間後
7 確定申告 売却翌年の2/16〜3/15

ルート別の合計期間

買取ルート: STEP1→2→3→5→6 = 1〜2ヶ月(書類が揃っていれば最短2週間)
仲介ルート: STEP1→2→3→4→5→6 = 4ヶ月〜1年超

同じ「売却」でも、時間の読みやすさがまったく違います。仲介はSTEP4(買主探し)の長さが読めないのに対し、買取はSTEP4が丸ごと無く、残りのステップはすべて「手続き」なので日数がほぼ確定します。

3,000万円控除の期限(相続から3年を経過する日の属する年の12月31日)が迫っている場合は、期間が読める買取ルートが安全です。期限の全体像は 空き家相続の期限カレンダー を参照。

そもそも仲介と買取のどちらで売るか、空き家バンクも含めた売り方の選択肢全体から見直したい場合は、空き家を売る方法の総合ガイドが入口になります。

STEP1: 事前準備 — 名義・書類・残置物の確認

STEP1: 事前準備 — 名義・書類・残置物の確認のイメージ

💡 この章の要点: 最初に確認するのは ① 名義(相続登記が済んでいるか)、② 書類(権利証・固定資産税通知書等)、③ 境界(隣地との境界が明確か)。名義が親のままだと 売却手続きに進めない ため最優先。

① 名義の確認(最重要)

登記事項証明書(法務局で取得・オンライン可)で所有者名義を確認します。

なお、相続登記は2024年4月1日から 義務化 されています。相続で不動産を取得したことを知った日から 3年以内 に登記しないと、正当な理由がない場合 10万円以下の過料 の対象になります(法務省)。売る・売らないにかかわらず放置はできない手続きなので、売却を機に済ませてしまうのが合理的です。

名義が自分でも、登記上の住所が現住所と違う(引っ越し後に変更登記をしていない)場合は、売却までに住所変更登記が必要です。決済時に司法書士がまとめて対応してくれることが多いので、査定の段階で伝えておくとスムーズです。

② 売却に必要な書類を揃える

書類 備考
登記識別情報(権利証) 見つからない場合も売却可(司法書士の本人確認手続き・費用数万円)
固定資産税納税通知書 毎年4〜6月に届くもの
実印 + 印鑑証明書 契約・決済で使用(証明書は3ヶ月以内のもの)
本人確認書類 運転免許証等
建築確認済証・図面(あれば) 査定額アップの材料に
境界確認書・測量図(あれば) 無ければ売却時に測量が必要な場合あり

③ 残置物の方針を決める

  • 仲介で売る → 内見の印象に直結するため片付け推奨
  • 買取(現状渡し) → 残置物そのままで売却できる業者もある(処分費の負担は要確認)
  • 自分で片付ける場合 → 遺品整理・不用品回収は業者によって見積もりの幅が大きい。2〜3社の相見積もりを取り、貴重品(権利証・通帳・印鑑)の捜索を先に済ませてから依頼する

④ 境界の確認

隣地との境界標が無い・不明確な場合、売却時に 確定測量(30〜80万円・1〜3ヶ月) を求められることがあります。早めに測量図の有無を確認しましょう。

STEP2: 査定 — 机上査定と訪問査定

STEP2: 査定 — 机上査定と訪問査定のイメージ

💡 この章の要点: 査定は 机上査定(情報のみ・数日)→ 訪問査定(現地確認・1〜2週間) の2段階。3社以上に依頼して中央値 をつかむのが鉄則。査定額の「根拠」を説明できる会社を選ぶ。

査定の2段階

種類 内容 期間
机上査定 住所・面積・築年から概算 即日〜数日
訪問査定 現地・室内を確認して具体額 依頼から1〜2週間

複数社査定のポイント

  1. 3〜5社 に依頼(仲介系と買取系の両方を含める)
  2. 同じ条件・情報を伝える
  3. 査定書の 根拠(周辺成約事例・土地建物の内訳)を比較
  4. 極端に高い査定は「専任契約を取るための釣り上げ」の可能性に注意

仲介の査定額と買取の査定額は意味が違う

同じ「査定額」という言葉でも、中身は別物です。

  • 仲介の査定額: 「この価格なら売れそう」という売り出し価格の目安。成約の保証はなく、売れなければ値下げしていく
  • 買取の査定額: 業者自身がその金額で買うという提示。現地調査後の減額がなければ、原則そのまま契約額になる

仲介の高い査定額を手取りの差とそのまま読み替えると判断を誤ります。相場の調べ方・査定の見方は 空き家の売却相場2026 で詳しく解説しています。

STEP3: 契約方式の選択 — 仲介か買取か

STEP3: 契約方式の選択 — 仲介か買取かのイメージ

💡 この章の要点: 仲介 = 業者が買主を探す(高く売れるが期間未定・手数料あり)。買取 = 業者が直接買う(早く確実・手数料0円だが相場の6〜8割)。訳あり物件・期限ありは買取、時間に余裕があり物件条件が良いなら仲介。

仲介と買取の対照表

流れの分岐点はここです。以下の6項目で見比べると、自分の物件がどちら向きかが見えてきます。

項目 仲介 買取
期間 4ヶ月〜1年超(買主探し次第) 1〜2ヶ月(最短2週間)
価格の目安 相場の9〜10割 相場の6〜8割
仲介手数料 あり(上限は法定。売却価格1,000万円なら税抜36万円) なし(業者が直接買うため)
契約不適合責任 原則あり(免責特約の交渉次第) 免責が一般的
残置物の扱い 片付けてから内見に臨むのが基本 そのままで引き取る業者が多い(処分費相当は査定で減額)
内覧の有無 不特定多数の内見に対応 業者の現地調査1〜2回のみ

物件条件からの逆引き判断

「どちらが得か」は物件が決めます。当てはまる行が多いほうのルートが現実解です。

物件・状況 向くルート 理由
都市部・整形地・築浅〜築30年 仲介 買い手が多く、時間をかければ高値が狙える
地方・駅遠・築40年超 買取 仲介では内見すら入りにくく、期間が読めない
残置物が大量・片付けに行けない 買取 現状渡しで引き取ってもらえる
再建築不可・傾き・雨漏りなどの訳あり 買取(専門業者) 一般の買主はローンが付きにくく仲介困難
3,000万円控除などの期限が半年以内 買取 期間が確定するルートでないと間に合わない
期限なし・手取り最大化が最優先 仲介 売れるまで待てるなら価格面は仲介が有利

仲介を選んだ場合: 媒介契約の3種類

契約 複数社依頼 自己発見取引 向くケース
一般媒介 ○ ○ 人気エリアの物件
専任媒介 × ○ 標準的な物件(報告義務2週に1回)
専属専任媒介 × × 手厚く動いてほしい場合(報告週1回)

買取を選んだ場合

媒介契約は不要で、買取業者と直接売買契約に進みます。具体的な進み方は次章の 買取ルートの流れ6ステップ で1ステップずつ解説します。

詳しい比較は 空き家の買取と仲介どちらが得?、業者の選び方は 空き家買取業者おすすめランキング を参照してください。

買取ルートの流れ — 問い合わせから引き渡しまで6ステップ

💡 この章の要点: 買取は 問い合わせ → 現地調査 → 査定 → 価格提示・交渉 → 契約 → 決済・引き渡し の6ステップで、すべて順調なら 最短2週間、標準1〜2ヶ月。買主探しがないため、各ステップの日数がほぼ確定するのが最大の特徴。

仲介の流れはどの不動産サイトにも書いてありますが、買取の流れを段階ごとに説明した情報は意外なほど少ないのが実情です。「業者に売るだけ」と言っても、実際には何を聞かれ、何日待ち、どこでつまずくのか。ここでは買取ルートを仲介と同じ粒度で分解します。

買取① 問い合わせ・相談(当日〜3日)

電話またはWebフォームで物件情報を伝えるところから始まります。

  • 求められるもの: 物件の所在地、おおまかな築年・間取り、名義の状況(相続登記が済んでいるか)。書類の提出はこの段階では不要
  • 所要日数: 問い合わせ当日〜3日で担当者から折り返し
  • つまずきどころ: 「住所しか分からない」状態でも相談自体は可能だが、話が概算止まりになる。固定資産税納税通知書 が手元にあると面積・評価額が正確に伝わり、次の現地調査まで一気に進む

このタイミングで「残置物はそのままで良いか」「解体せずに売れるか」など、気になる条件も先に聞いてしまいましょう。回答の速さと具体性は、業者の力量を測る最初の材料になります。

買取② 現地調査(調整込みで1〜2週間)

担当者が現地で建物と敷地の状態を確認します。調査自体は30分〜1時間程度です。

  • 見られるポイント: 建物の傷み(雨漏り・傾き・シロアリ跡)、残置物の量、境界標の有無、前面道路との接道状況、隣地への越境(枝・塀・屋根)の有無
  • 求められるもの: 鍵の手配(遠方なら郵送やキーボックスで立ち会いなしも可)、あれば図面・測量図
  • 所要日数: 日程調整を含めて1〜2週間
  • つまずきどころ: 鍵が見つからない、残置物で室内に入れない、の2つが定番。鍵紛失は解錠業者(数千円〜)で解決できるので、正直に伝えたほうが早い

仲介と違って「見栄えを良くする」必要はありません。買取業者は改修を前提に値付けするため、掃除や修繕をしてから見せる意味はほぼ無く、現状のまま見せるのが正解です。

買取③ 査定(現地調査から数日〜1週間)

現地調査の結果をもとに、業者が社内で買取価格を算定します。

  • 価格の決まり方: 再販見込み額から、改修費・解体費・残置物処分費・業者の利益を差し引いた逆算
  • 所要日数: 現地調査から数日〜1週間で提示
  • つまずきどころ: 口頭の概算だけで話が進むケース。必ず書面(メール可)で金額と条件をもらう。後の交渉と他社比較の土台になる

買取④ 価格提示・交渉(数日〜1週間)

提示された金額をそのまま受けるのではなく、条件の中身を確認してから判断します。

  • 確認すべき内訳: 残置物処分・解体・測量をどちらが負担するか、減額の条件(調査で新たな不具合が見つかった場合など)
  • 交渉材料: 他社の提示額。「A社は◯◯万円だった」と伝えるだけで再提示が出ることは珍しくない
  • 所要日数: 比較・交渉に数日〜1週間
  • つまずきどころ: 1社だけの提示で即決してしまうこと。買取価格は業者の再販戦略によって差が出るため、3社以上の比較 が価格面の唯一の防衛策になる

買取⑤ 売買契約(合意から1〜2週間)

金額と条件が固まったら売買契約です。仲介の契約と骨格は同じですが、空き家の買取では次の点が特徴的です。

  • 契約不適合責任: 業者が買主のため 免責特約が一般的。契約書に免責の記載があるか必ず確認
  • ローン特約: 業者は自社資金で買うため 原則なし。買主のローン審査落ちによる白紙解除リスクがないのは、仲介に対する買取の隠れた利点
  • 求められるもの: 実印・印鑑証明書・本人確認書類・権利証(または本人確認手続き)・収入印紙
  • 所要日数: 条件合意から契約日まで1〜2週間
  • つまずきどころ: 相続登記が未完了だと契約はできても決済に進めない。登記完了の見込み日を司法書士に確認してから契約日を設定する

買取⑥ 決済・引き渡し(契約から1〜2週間)

買取代金の振込、所有権移転登記、鍵の引き渡しを同日に行います。所要1〜2時間です。

  • 当日の流れ: 司法書士の本人確認 → 残代金振込・着金確認 → 固定資産税の日割り精算 → 登記申請 → 鍵・書類の引き渡し
  • 所要日数: 契約から1〜2週間後が標準。仲介(2〜6週間後)より短いのは、買主側のローン手続きが無いため
  • つまずきどころ: 権利証紛失時の本人確認手続きに時間がかかること。契約前に司法書士へ伝えておけば決済日に間に合わせられる

ここまでが買取ルートの全行程です。問い合わせから決済まで、書類が揃っていれば 最短2週間、標準1〜2ヶ月。この後のSTEP5〜6は仲介ルートの契約・決済の詳細ですが、チェックポイント(契約書の確認項目・決済日の持ち物)は買取でもそのまま使えます。

STEP4: 売却活動(仲介のみ)— 内見対応と価格調整

💡 この章の要点: レインズ・ポータル掲載 → 問い合わせ → 内見 → 購入申込 → 条件交渉、が基本サイクル。3ヶ月反応がなければ価格 or 販売方法の見直し。空き家は第一印象対策(換気・清掃・庭)が効く。

売却活動の流れ

  1. 物件写真の撮影・販売図面の作成
  2. レインズ(業者間DB)+ SUUMO等ポータルへ掲載
  3. 問い合わせ対応・内見案内(空き家なら鍵預けで立会い不要にできる)
  4. 購入申込(買付証明)の受領
  5. 価格・引き渡し条件の交渉

空き家ならではの内見対策

  • 事前に 換気・通水(カビ臭・封水切れの悪臭は致命的)
  • 庭の 草刈り・郵便物の整理
  • 電気を止めている場合は 昼間の内見 に絞る

売れない時の見直しサイン

  • 1ヶ月 問い合わせゼロ → 写真・掲載内容を見直し
  • 3ヶ月 内見ゼロ → 価格見直し(5〜10%)
  • 6ヶ月 成約ゼロ → 買取への切り替えも検討

売却活動が長引くほど、固定資産税や管理の費用が積み上がっていきます。「あと3ヶ月粘るか、買取に切り替えるか」の判断は、値下げ幅と維持費を天秤にかけて決めます。高く売る工夫は 空き家を高く売る7つのコツ にまとめています。

STEP5: 売買契約 — 手付金と契約書のチェックポイント

STEP5: 売買契約 — 手付金と契約書のチェックポイントのイメージ

💡 この章の要点: 買主決定後、重要事項説明 → 売買契約締結 → 手付金受領(売買代金の5〜10%)。契約書では 契約不適合責任・ローン特約・引き渡し条件 の3点を必ず確認。空き家は「契約不適合責任の免責」交渉が重要。

契約日の流れ(所要2〜3時間)

  1. 宅建士による重要事項説明(買主向け)
  2. 売買契約書の読み合わせ・署名捺印
  3. 手付金の受領(現金 or 振込)
  4. 仲介手数料の半金支払い(仲介の場合)

契約書のチェックポイント

項目 確認内容
契約不適合責任 築古の空き家は「免責」or「範囲限定」の特約を交渉(買取は免責が一般的)
ローン特約 買主のローン不成立時は白紙解除(手付金返還)になる条項
引き渡し状態 現状渡しか、残置物撤去・解体渡しか
違約金 一般に売買代金の10〜20%
境界明示 売主の境界明示義務の範囲

免責特約を付けても、売主が知りながら告げなかった事実についての責任は免れません(民法572条、2026-09-10確認)。雨漏りや傾きを知っているなら、免責の交渉に入る前に告知書へ書いておくのが、特約を確実に効かせる順番です。

築古の家を建物0円扱いの古家付き土地として売る場合は、免責の範囲、解体費相当の値引きの根拠、残置物と解体の期限と滅失登記の担当という引き渡し条件の3点で手取りが変わります。それぞれの書き方は古家付き土地の契約実務と引き渡し条件を参照してください。

契約書に貼る収入印紙

売買契約書には契約金額に応じた収入印紙が必要です。2027年(令和9年)3月31日までに作成される不動産売買契約書には軽減措置が適用されます(国税庁 No.7108、2026-09-10確認)。地方の空き家は契約金額が500万円以下に収まることも多く、その場合の印紙税は1,000円以下です。

契約書に記載された契約金額 印紙税額(軽減後)
10万円超〜50万円以下 200円
50万円超〜100万円以下 500円
100万円超〜500万円以下 1,000円
500万円超〜1,000万円以下 5,000円
1,000万円超〜5,000万円以下 1万円
5,000万円超〜1億円以下 3万円

手付解除

引き渡し前に売主都合で解約する場合は 手付金の倍返し、買主都合なら手付金放棄。契約後のキャンセルはコストが大きいため、契約前に条件を固め切ることが重要です。

STEP6: 決済・引き渡し — 所有権移転と鍵の受け渡し

💡 この章の要点: 契約から2〜6週間後、買主の銀行等に集まり 残代金の受領 → 所有権移転登記 → 鍵・書類の引き渡し を同日に実施(約1〜2時間)。固定資産税は日割り精算。ここで売却は完了。

決済日の流れ

  1. 司法書士による本人確認・書類確認
  2. 買主から 残代金の振込(着金確認)
  3. 固定資産税等の 日割り精算金 の受領
  4. 司法書士が 所有権移転登記 を申請
  5. 鍵・関係書類(建築確認済証等)の引き渡し
  6. 仲介手数料の残金・司法書士費用(抵当権抹消がある場合)の支払い

住宅ローンが残っている家は、この決済日に売却代金で残債を完済し、抵当権抹消の登記を所有権移転と同時に行うのが通常です。残債の確認から、売却額が残債に届かない場合の選択肢までは住宅ローンが残っている空き家の売却で扱っています。

売主が当日持参するもの

  • 登記識別情報(権利証)
  • 実印 + 印鑑証明書(3ヶ月以内)
  • 本人確認書類
  • 鍵一式
  • 振込先口座の通帳

引き渡し後の忘れ物チェック

  • 火災保険の解約(未経過分の保険料が返戻される)
  • 電気・ガス・水道の閉栓(まだなら)
  • 町内会等への連絡

空き家売却にかかる費用と税金 — 速算式つき

💡 この章の要点: 売却でかかるお金は 仲介手数料・印紙税・登記関連費・譲渡所得税 の4系統。仲介手数料は法定上限の速算式で見積もれる(買取は0円)。税金は 長期20.315% / 短期39.63% が基本で、相続空き家は 3,000万円特別控除 で0円になるケースが多い。

流れの途中で一番不安になるのが「結局いくら引かれるのか」です。売却前に概算できるよう、費用を系統別に整理します。

費用の全体像

費用項目 仲介 買取
仲介手数料 あり(下の速算式) 0円
印紙税 あり あり
抵当権抹消登記(ローン残がある場合) 司法書士費用込みで1〜2万円台が目安 同左
確定測量(求められた場合) 30〜80万円 業者負担または省略の交渉余地あり
残置物処分 自己負担で片付けるのが基本 査定内で減額処理(別途請求なしが多い)
譲渡所得税 利益が出た場合のみ 同左

仲介手数料の速算式

仲介手数料の上限は宅地建物取引業法にもとづく告示で決まっています。売却価格が400万円を超える場合の速算式は次のとおりです。

仲介手数料の上限(税抜) = 売却価格 × 3% + 6万円

例: 1,000万円で売却 → 30万円 + 6万円 = 36万円(+消費税)
例:   500万円で売却 → 15万円 + 6万円 = 21万円(+消費税)

ここで空き家特有の注意点があります。2024年7月1日施行の告示改正で、物件価格800万円以下の「低廉な空家等」は、仲介手数料の上限が税込33万円まで 引き上げられました(高知県による告示改正の解説)。地方の空き家はこの価格帯に収まることが多いため、速算式より高い手数料を提示される可能性があります。

  • 適用には事前の説明と合意が必要: 媒介契約を結ぶ前に、報酬額について業者から説明を受けて合意した場合に限り適用される
  • 上限はあくまで33万円(税込): 500万円の物件で速算式なら税抜21万円のところ、最大33万円まで請求されうる
  • 買取なら無関係: 業者が直接買主になる買取では、そもそも仲介手数料が発生しない

譲渡所得税の速算

売却して利益(譲渡所得)が出た場合だけ、税金がかかります(国税庁)。

譲渡所得 = 売却価格 − (取得費 + 譲渡費用)
税額     = (譲渡所得 − 特別控除) × 税率

税率(譲渡した年の1月1日時点の所有期間で判定):
  所有5年超(長期) : 20.315%(所得税15% + 復興特別所得税0.315% + 住民税5%)
  所有5年以下(短期): 39.63% (所得税30% + 復興特別所得税0.63% + 住民税9%)

相続した空き家では、次の2つのルールが効いてきます(国税庁)。

  • 所有期間は親(被相続人)の取得時期を引き継ぐ: 親が長年住んだ家なら、相続直後に売ってもほぼ確実に長期(20.315%)扱い
  • 取得費が不明なら売却代金の5%で概算できる: 古い家で購入時の契約書が残っていないケースの救済措置。ただし課税対象額は大きくなりやすい

計算例: 相続した実家を600万円で売った場合

数字を入れて通してみます。親が昔に買った家で購入時の契約書が見つからず、概算取得費(売却代金の5%)を使うケースです。

売却価格: 600万円
取得費  : 600万円 × 5% = 30万円(概算取得費)
譲渡費用: 30万円(印紙税・測量・解錠などの実費と仮定)

譲渡所得 = 600万円 − (30万円 + 30万円) = 540万円

(a) 3,000万円控除を使えない場合
    税額 = 540万円 × 20.315%(長期) ≒ 約110万円
(b) 3,000万円控除を使える場合
    540万円 − 3,000万円 → 課税対象0円 → 税額0円(申告は必要)

この計算例から見えることは3つあります。

  • 取得費不明の古い実家は課税対象が大きくなりやすい: 概算取得費5%を使うと、売却額のおよそ9割が「利益」として扱われる
  • 控除が使えるかどうかで手取りが100万円単位で変わる: 上の例では約110万円の差。相続空き家なら次項の3,000万円控除の要件確認を最優先に
  • 税額0円でも申告は必要: 控除は確定申告をして初めて適用される。「利益が消えたから何もしない」は不適用になる

相続空き家の3,000万円特別控除

相続した空き家の売却では、要件を満たせば譲渡所得から 最大3,000万円 を控除できる特例があります(国税庁)。主な要件は次のとおりです。

  • 建物: 昭和56年5月31日以前に建築された家屋(区分所有建物は対象外)
  • 利用状況: 相続から売却まで、事業・貸付け・居住に使っていないこと
  • 期限①: 相続開始から 3年を経過する日の属する年の12月31日まで に売ること
  • 期限②: 特例自体の適用期限は 2027年(令和9年)12月31日まで の譲渡
  • 価格: 売却代金が 1億円以下
  • 控除額の注意: 2024年以降の譲渡では、対象家屋・敷地を取得した相続人が 3人以上いる場合は控除額2,000万円 に縮小

家屋を現況のまま売る場合は耐震基準との関係が問題になります。ただし2024年以降の譲渡では、譲渡の時から翌年2月15日までの間に家屋が耐震基準を満たすこととなった場合、または家屋の全部の取壊し等が行われた場合 も適用対象になります(国税庁No.3306)。

買取業者が解体を前提に買い取るケースはここに乗せられる可能性があります。契約前に「取壊しの予定と時期」を業者へ確認し、適用可否は税務署か税理士に相談してください。

費用・税金のより詳しい試算は 空き家売却の税金シミュレーション を参照してください。

実例: 築47年・地方・相続空き家を買取で売却したモデルケース

💡 この章の要点: 相続発生から売却完了・申告まで 約1年 のモデルケース。前半の3ヶ月は売却ではなく 相続登記 に消える。買取ルートなら査定開始から決済まで 2ヶ月弱 で完了する。

ここまでのステップが実際の時間軸でどう並ぶのか、モデルケースで通して見てみましょう。よくある状況を組み合わせた架空の事例です。

設定: 地方都市郊外の一戸建て(昭和54年築・築47年)。親が亡くなり、県外に住む長男が相続。室内には家財がそのまま残り、月1回の帰省管理も限界を迎えていた、という状況を想定します。

月次タイムライン

時期 やったこと 対応するSTEP
2月 相続発生。遺品整理に着手するも家財が多く断念 —
3〜4月 遺産分割協議。実家は長男が単独相続と決定 STEP1
5月 司法書士に相続登記を依頼(必要書類の収集に約1ヶ月) STEP1
6月 相続登記完了。買取3社+仲介2社に査定依頼 STEP2
7月上旬 現地調査(鍵は郵送で対応、立ち会いなし)。買取と仲介の提示額が出揃う STEP2〜3
7月中旬 駅遠・旧耐震・残置物大量の3条件から買取を選択。提示額を他社比較で交渉 STEP3、買取④
8月上旬 売買契約(契約不適合責任は免責、残置物そのまま) 買取⑤
8月下旬 決済・引き渡し。固定資産税を日割り精算 買取⑥
9月 火災保険を解約、市区町村に確認書を申請 STEP7準備
翌年2〜3月 確定申告。3,000万円控除の要件を税理士と確認のうえ申請 STEP7

このケースから読み取れること

  • 売却そのものより相続登記が長い: 査定開始から決済まで2ヶ月弱に対し、その前段の登記関連に約3ヶ月。STEP1を甘く見ると全体が後ろにずれる
  • 査定依頼と登記は並行できる: このケースでは登記完了を待って査定を始めたが、実際は5月の時点で査定依頼まで進められた(契約までに登記が済んでいればよい)
  • 残置物と距離の問題は買取で解消: 遠方在住・家財大量という2大障害が、現状渡しの買取では障害にならなかった
  • 控除の準備は決済直後から: 確認書の取得や要件確認を申告期に始めると間に合わないことがある。売れた月のうちに動き出すのが安全

STEP7: 確定申告 — 売った翌年の2〜3月

💡 この章の要点: 売却益が出た場合・3,000万円控除を使う場合は、翌年2月16日〜3月15日に確定申告が必須。控除を使うなら市区町村発行の「確認書」が必要で取得に時間がかかるため、売却後すぐ準備を。

申告が必要なケース

  • 売却益(譲渡所得)が出た
  • 3,000万円特別控除を使う(税額0円でも申告必須)

準備の時系列

売却直後: 契約書・領収書を保管 / 市区町村へ確認書を申請
翌年1月: 申告書の作成開始
2/16〜3/15: 申告・納税

必要書類・書き方の詳細は 空き家売却の確定申告、税額の試算は 空き家売却の税金シミュレーション を参照してください。

物件の条件で流れが変わるケースは、専用の記事に分けています。再建築不可、訳あり物件全般、ゴミ屋敷、目立った瑕疵がないのに売れない、所有者が認知症の各ケースと、契約前に業者を見比べるチェックリストです。

空き家売却の流れのよくある質問

1. 売却完了まで最短でどれくらいですか?

買取なら最短2週間〜1ヶ月 です(名義・書類が揃っている場合)。仲介は買主探しがあるため平均4〜6ヶ月、地方では1年以上かかることもあります。

2. 相続登記が終わっていなくても査定は受けられますか?

査定は受けられます。売買契約までに登記を完了させればよいので、査定と相続登記を並行で進めるのが時短のコツです。

3. 遠方に住んでいて現地に行けません。売却できますか?

できます。査定は鍵の郵送・キーボックスで対応可能、契約・決済も「持ち回り契約」や司法書士への委任で、現地に行かずに完了できるケースが増えています。買取業者なら遠隔対応に慣れています。

4. 売却前にリフォームや解体はすべきですか?

原則、先に手を入れない のがセオリーです。費用を回収できないケースが多く、買主(特に買取業者)は現状を前提に値付けします。解体判断は 空き家は解体すべき?売却すべき? を参照。

5. 権利証を紛失しました。売れますか?

売れます。司法書士による「本人確認情報」の作成(費用3〜10万円程度)で代替できます。決済までに時間が必要なので早めに申告を。

6. 途中で売却をやめられますか?

媒介契約中の販売中止は可能(専任系は契約期間3ヶ月の縛りあり)。ただし 売買契約後 の解約は手付倍返し・違約金が発生します。これは買取でも同じで、契約書に署名する前が引き返せる最後の地点です。迷いが残っているなら、契約日を先に延ばしてでも条件を詰め切ってください。

7. 固定資産税納税通知書が見つかりません。売却は進められますか?

進められます。物件所在地の市区町村(東京23区は都税事務所)で「固定資産評価証明書」や、税額が記載された「公課証明書」を取得すれば代用できます。他の書類の準備と並行して早めに取り寄せましょう。

8. 買取でも契約や決済の流れは仲介と同じですか?

骨格は同じで、より簡単になります。売買契約 → 決済・引き渡しという枠組みは共通ですが、買取は媒介契約と売却活動が無く、業者が自社資金で買うためローン特約もありません。契約から決済までの期間も1〜2週間と短めです。

9. 買取の提示額は、あとから下がることはありますか?

現地調査後の正式提示なら、原則そのまま契約額になります。ただし机上の概算提示は現地調査で変わりえます。また、契約直前の理由のない減額要請をしてくる業者は要注意。金額と条件は必ず書面でもらい、複数社を比較してください。

動くなら早いほうが選択肢が多い

空き家には「特定空家指定で固定資産税が最大6倍」「相続から3年以内の譲渡で3,000万円特別控除」など、期限のある制度が複数あります。 売却を決める前でも、いま無料査定を取っておくだけで判断材料が増えます。

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まとめ — 全体像が見えれば、売却は怖くない

最後にもう一度、空き家売却の流れを整理します。

  • 7ステップ: 準備 → 査定 → 方式選択 → 売却活動 → 契約 → 決済 → 申告
  • 期間: 買取1〜2ヶ月 / 仲介4ヶ月〜1年 — 期限から逆算してルート選択
  • 買取ルートは6ステップ: 問い合わせ → 現地調査 → 査定 → 価格提示 → 契約 → 決済。日数が読めるのが最大の強み
  • 最初の関門は名義: 相続登記未了なら売却前に解消(2024年から登記は義務)
  • 費用の軸: 仲介手数料(買取は0円)・印紙税・譲渡所得税。相続空き家は3,000万円控除の要件確認を
  • 売った翌年の確定申告まで が売却プロセス

まずはSTEP1(名義と書類の確認)とSTEP2(査定)から。この2つは並行で進められます。

関連: 空き家の売却相場2026 / 空き家の買取と仲介どちらが得? / 空き家を高く売る7つのコツ / 空き家売却の確定申告

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  • 査定も相談も無料。売ると決める前の段階でも、買取可否と概算金額が分かります
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  • 仲介手数料0円。契約から決済まで最短数日で、遠方からでも手続きを進められます
  • 弁護士・税理士・司法書士の3士業と連携。再建築不可、共有持分、相続未登記、事故物件も相談できます

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