空き家売却の税金シミュレーション|ケース別5パターン試算【2026】
「空き家を1,500万円で売ったら、税金はいくら引かれる?」「手取りはいくら残る?」——空き家売却の税金は 計算式自体はシンプル ですが、取得費が分からない・控除が使える/使えない で 税額が数百万円単位で変わり ます。
この記事では、譲渡所得税の 計算式と税率 を確認したうえで、ケース別5パターンのシミュレーション(3,000万円控除あり/なし・取得費不明・高額売却・売却損)を数字で示し、取得費加算特例との使い分け、手取り額の出し方まで解説します。
結論を先にお伝えすると、空き家売却の税金で押さえるべきポイントは3つです。
- 計算式は 「(売却額 − 取得費 − 譲渡費用)× 約20%」(相続物件はほぼ長期譲渡)
- 3,000万円控除が使えれば大半のケースで税金0円 — 使えるかどうかが最大の分岐点
- 取得費が分からないと 売却額の5% でしか計算できず税額が膨らむ — 親の購入資料を探す価値大
ご自身の状況に近いパターンを見つけて、手取りの目安をつかんでください。
税金シミュレーション、どのケースを見たい? — 状況別ジャンプガイド
| 状況 | おすすめの読み始め |
|---|---|
| まず計算式を知りたい | 計算式と税率 |
| 3,000万円控除が使えそう | ケース1: 控除あり |
| 控除が使えない場合 | ケース2: 控除なし |
| 親の購入額が分からない | ケース3: 取得費不明 |
| 相続税を払った | ケース4: 取得費加算 |
| 安くしか売れなそう | ケース5: 売却損 |
空き家売却の税金の計算式と税率

💡 TL;DR: 税額 = (売却額 − 取得費 − 譲渡費用 − 特別控除)× 税率。相続物件は親の所有期間を引き継ぐため、ほぼ 長期譲渡の20.315%。取得費不明なら売却額の5%(概算取得費)で計算。
基本の計算式
譲渡所得 = 売却額 −(取得費 + 譲渡費用)− 特別控除
税額 = 譲渡所得 × 税率
各項目の中身
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 売却額 | 買主から受け取る金額 |
| 取得費 | 購入代金 + 購入時諸費用 − 建物の減価償却費。不明なら 売却額×5% |
| 譲渡費用 | 仲介手数料・印紙税・解体費(売却のための解体)・測量費など |
| 特別控除 | 3,000万円特別控除(要件を満たす場合) |
税率(復興特別所得税込み)
| 所有期間 | 所得税 | 住民税 | 合計 |
|---|---|---|---|
| 長期(5年超) | 15.315% | 5% | 20.315% |
| 短期(5年以下) | 30.63% | 9% | 39.63% |
相続した物件は被相続人(親)の取得日を引き継ぐ ため、親が長年住んだ実家なら自動的に長期譲渡です。「相続してから5年待つ」必要はありません。
ケース1: 相続空き家を1,500万円で売却(3,000万円控除あり)

💡 TL;DR: 3,000万円控除が使えれば、譲渡所得1,300万円 → 控除後 0円 → 税金0円。控除なしと比べて 約264万円の差。最も多い「実家売却」の標準パターン。
前提条件
- 売却額: 1,500万円
- 取得費: 不明 → 概算取得費 75万円(1,500万×5%)
- 譲渡費用: 125万円(仲介手数料 約56万円 + 解体費60万円 + 印紙代等)
- 3,000万円特別控除: 適用(昭和56年5月31日以前築・被相続人一人暮らし等の要件クリア)
計算
譲渡所得 = 1,500万 −(75万 + 125万)= 1,300万円
控除後 = 1,300万 − 3,000万 → 0円(マイナスは0扱い)
税額 = 0円
手取り
手取り = 1,500万 − 125万(譲渡費用)− 0(税金)= 約1,375万円
控除が使えるかどうかで約264万円(1,300万×20.315%)変わる のがこのケースの核心。要件確認は 空き家3,000万円特別控除 を参照してください。
ケース2: 控除なしで1,500万円で売却

💡 TL;DR: 同じ1,500万円売却でも控除が使えないと 税額約264万円。手取りは約1,111万円に減る。「賃貸に出してしまった」「新耐震の建物」「期限切れ」が控除を失う典型パターン。
前提条件
- ケース1と同じだが、3,000万円控除 なし(例: 相続後に一時的に賃貸に出した)
計算
譲渡所得 = 1,500万 −(75万 + 125万)= 1,300万円
税額 = 1,300万 × 20.315% = 約264万円
手取り
手取り = 1,500万 − 125万 − 264万 = 約1,111万円
控除を失う典型パターン
- 相続後に 賃貸に出した(「空き家のまま」要件違反)
- 相続後に 自分が住んだ
- 昭和56年6月1日以降 の新耐震建物
- 売却期限(相続から3年経過する日の属する年12月31日)を 過ぎた
- 被相続人が 一人暮らしでなかった
「とりあえず貸して家賃収入」は、後の売却で控除を失い 数百万円の損 になり得ます。賃貸判断の前に 空き家を賃貸に出す の税制注意も確認してください。
ケース3: 取得費が分からない実家を2,000万円で売却

💡 TL;DR: 取得費不明だと概算取得費(売却額の5%)しか使えず、譲渡所得が膨らむ。親の購入時契約書が見つかれば取得費が実額になり、税額が大きく減る 可能性。書類探しは数十万円の価値がある。
前提条件(控除は使えないケースとする)
- 売却額: 2,000万円
- 譲渡費用: 80万円
パターンA: 取得費不明(概算取得費5%)
譲渡所得 = 2,000万 −(100万 + 80万)= 1,820万円
税額 = 1,820万 × 20.315% = 約370万円
パターンB: 親の購入契約書を発見(取得費1,200万円※)
※土地1,000万円 + 建物の残存価値200万円(減価償却後)と仮定
譲渡所得 = 2,000万 −(1,200万 + 80万)= 720万円
税額 = 720万 × 20.315% = 約146万円
差額は約224万円
購入時の書類が見つかるだけで税金が224万円減る 計算です。探す場所:
- 実家の書類棚・金庫・仏壇の引き出し
- 銀行の貸金庫
- 購入時に仲介した不動産会社(記録が残っていることも)
- 住宅ローンを組んだ金融機関(金銭消費貸借契約書)
※パンフレットや通帳の出金記録など、間接資料でも取得費の証明として認められた事例があります。諦める前に税理士に相談を。
ケース4: 相続税を払った物件を売却(取得費加算特例)
💡 TL;DR: 相続税を納めた人は、相続税の一部を取得費に加算 できる特例あり(相続税申告期限から3年以内の売却)。ただし 3,000万円控除とは併用不可 — 通常は3,000万円控除の方が有利だが、相続税が高額なら要比較。
取得費加算特例とは
相続財産を 相続税の申告期限(相続から10ヶ月)の翌日から3年以内 に売却した場合、その物件に対応する相続税額を取得費に加算できます(租税特別措置法39条)。
前提条件
- 売却額: 3,000万円
- 取得費: 概算150万円 / 譲渡費用: 100万円
- 納めた相続税のうち、この物件対応分: 400万円
- 3,000万円控除の要件は 満たさない(新耐震の建物のため)
計算
譲渡所得 = 3,000万 −(150万 + 400万 + 100万)= 2,350万円
税額 = 2,350万 × 20.315% = 約477万円
(特例なしなら 2,750万 × 20.315% = 約559万円 → 約82万円の節税)
3,000万円控除との使い分け
| 状況 | 有利な方 |
|---|---|
| 3,000万円控除の要件を満たす | ほぼ 3,000万円控除(控除額が大きい) |
| 要件を満たさない + 相続税を納めた | 取得費加算特例 |
| 両方の要件を満たす | 併用不可 → 試算して大きい方 |
判断は税理士に試算を依頼するのが確実です。
ケース5: 取得費より安く売れた(売却損)
💡 TL;DR: 譲渡所得がマイナスなら 税金は0円(申告義務も原則なし)。ただし空き家(非居住用)の売却損は給与など他の所得とは 損益通算できない のが原則。「税金がかからない」だけでもメリットと捉える。
前提条件
- 売却額: 400万円(地方の築古物件)
- 取得費: 親の購入額800万円(実額判明)
- 譲渡費用: 30万円
計算
譲渡所得 = 400万 −(800万 + 30万)= ▲430万円(損失)
税額 = 0円
売却損の注意点
- 税金はかからない — 譲渡所得ゼロ以下なら課税なし
- 他の所得と損益通算は不可 — 居住用財産の売却損には通算特例がありますが、空き家(自分が住んでいない)は対象外 が原則
- 「損した気分」でも、保有し続ける固定資産税・管理費・リスクからの解放を含めれば合理的な選択であるケースは多い
手取り額の計算テンプレート
💡 TL;DR: 手取り = 売却額 −(仲介手数料 + 印紙税 + 解体・測量等の実費 + 譲渡所得税)。「査定額 = 手取り」ではない ので、売却判断は必ず手取りベースで。
手取り計算の手順
[1] 売却額(査定額)を把握する
[2] 譲渡費用を見積もる
- 仲介手数料: 売却額×3% + 6万円 + 消費税(買取なら0円)
- 印紙税: 1〜3万円
- 解体・測量・残置物処分: 必要な場合のみ
[3] 譲渡所得を計算(取得費・控除を反映)
[4] 税額を計算(×20.315%)
[5] 手取り = 売却額 − 譲渡費用 − 税額
5ケースの手取り比較まとめ
| ケース | 売却額 | 税額 | 手取り |
|---|---|---|---|
| 1. 控除あり | 1,500万 | 0円 | 約1,375万 |
| 2. 控除なし | 1,500万 | 約264万 | 約1,111万 |
| 3-A. 取得費不明 | 2,000万 | 約370万 | 約1,550万 |
| 3-B. 取得費判明 | 2,000万 | 約146万 | 約1,774万 |
| 5. 売却損 | 400万 | 0円 | 約370万 |
同じ売却額でも、控除・取得費の扱いで手取りが200万円以上変わる ことが分かります。
空き家売却の税金シミュレーションのよくある質問
- 1. 相続してすぐ売ると税金が高くなりますか?
- なりません。相続物件は親の所有期間を引き継ぐため、親が5年超所有していれば相続直後の売却でも長期譲渡(20.315%)です。むしろ3,000万円控除の期限があるため早い方が有利です。
- 2. 税金はいつ払いますか?
- 売却した年の 翌年2月16日〜3月15日の確定申告 で申告し、所得税は3月15日まで(振替納税なら4月)、住民税は翌年度に分割で納めます。売却代金を使い切らないよう注意。詳しくは 空き家売却の確定申告 を参照。
- 3. 解体費用は経費になりますか?
- 売却のために解体した場合は譲渡費用に算入可 です。ただし解体して1年以上放置後に売却した場合などは認められないことがあります。
- 4. 共有名義の場合の税金は?
- 持分ごとに各自が計算・申告 します。3,000万円控除も各共有者がそれぞれ適用可(相続人3人以上は1人あたり2,000万円に減額)。
- 5. 買取業者に売っても税金の計算は同じ?
- 同じ です。ただし買取は仲介手数料が0円のため、譲渡費用が小さくなる分、手取り構造が変わります。買取vs仲介の比較は 空き家の買取と仲介どちらが得? を参照。
- 6. 正確な税額は誰に計算してもらえばいい?
- 税理士(報酬5〜15万円)が確実です。本記事のシミュレーションは目安であり、個別の事情(取得費の証明・特例の適用可否)で結果が変わります。 最後にもう一度、空き家売却の税金のポイントを整理します。 関連: 空き家の税金まるわかり / 空き家3,000万円特別控除 / 空き家売却の確定申告 / 空き家の売却相場2026





