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税金 - 空き家売却の税金シミュレーション|ケース別5パターン試算【2026】
税金

空き家売却の税金シミュレーション|ケース別5パターン試算【2026】

「空き家を1,500万円で売ったら、税金はいくら引かれる?」「手取りはいくら残る?」

空き家売却の税金は、計算式そのものは1行で書けます。ところが同じ1,500万円の売却でも、税金0円の人と約264万円の人 が実際に出ます。分かれ目は売却額ではなく、控除が使えるか、取得費を証明できるか、の2点です。

この記事では、譲渡所得税の 計算式と税率 を国税庁の記載で確認したうえで、ケース別5パターンのシミュレーション(3,000万円控除あり/なし・取得費不明・取得費加算・売却損)を数字で示し、買取業者に売る場合の手取り構造、売却から確定申告までの時系列モデルケースまで整理します。

結論を先にお伝えすると、空き家売却の税金で押さえるべきポイントは3つです。

  • 計算式は 「(売却額 − 取得費 − 譲渡費用 − 特別控除)× 20.315%」(相続物件はほぼ長期譲渡)
  • 3,000万円控除が使えれば大半のケースで税金0円。使えるかどうかが最大の分岐点
  • 取得費が分からないと 売却額の5% でしか計算できず税額が膨らむ。親の購入資料を探す価値は数百万円

ご自身の状況に近いパターンを見つけて、手取りの目安をつかんでください。

税金シミュレーション、どのケースを見たい? — 状況別ジャンプガイド

状況 おすすめの読み始め
まず計算式を知りたい 計算式と税率
親の購入額が分からない 取得費の出し方
3,000万円控除が使えそう ケース1: 控除あり
控除が使えない場合 ケース2: 控除なし
購入時の契約書が出てきた ケース3: 取得費不明と判明
相続税を払った ケース4: 取得費加算
安くしか売れなそう ケース5: 売却損
買取業者に売る予定 買取で売る場合の税金と手取り
売却から申告までの流れ モデルケース

空き家売却の税金の計算式と税率

空き家売却の税金の計算式と税率のイメージ

💡 この章の要点: 税額 = (売却額 − 取得費 − 譲渡費用 − 特別控除)× 税率。相続物件は親の取得日を引き継ぐため、ほぼ 長期譲渡の20.315%。取得費不明なら売却額の5%(概算取得費)で計算する。譲渡費用に入るもの・入らないものを取り違えると、数十万円単位で税額がずれる。

基本の計算式

譲渡所得 = 売却額 −(取得費 + 譲渡費用)− 特別控除
税額     = 譲渡所得 × 税率

各項目の中身

項目 内容 出典
売却額 買主から受け取る売買代金 国税庁 No.3202
取得費 購入代金 + 購入時の手数料 − 建物の減価償却費相当額。不明なら 売却額×5% 国税庁 No.3258
譲渡費用 売るために直接かかった費用(仲介手数料・印紙税・売却のための解体費など) 国税庁 No.3255
特別控除 相続空き家の3,000万円特別控除(要件を満たす場合) 国税庁 No.3306

税率(復興特別所得税込み)

所有期間 所得税 復興特別所得税 住民税 合計
長期(5年超) 15% 所得税額の2.1%(=0.315%) 5% 20.315%
短期(5年以下) 30% 所得税額の2.1%(=0.63%) 9% 39.63%
  • 出典: 国税庁 No.3208(長期譲渡所得) / No.3211(短期譲渡所得)(2026年9月4日確認)
  • 復興特別所得税は令和29年分まで、基準所得税額の2.1%が上乗せされる(国税庁 No.3208、2026-09-10確認)。なお令和9年1月1日以後に生ずる所得は、復興特別所得税の税率が1.1%に引き下げられ、防衛特別所得税が併せて課される(国税庁 No.2260、2026-09-10確認)
  • 住民税は所得税と別に翌年度に課される。手取り計算では合算の20.315%で見ておく

所有期間は「売った年の1月1日」で判定する

  • 判定日は 譲渡した年の1月1日。売却日ではない
  • 相続で取得した物件は 被相続人(親)の取得日をそのまま引き継ぐ(国税庁 No.3270)
  • 親が長年住んだ実家なら、相続翌月に売っても長期譲渡。「相続してから5年待つ」必要はない

譲渡費用になるもの・ならないもの

売却のために払った費用でも、譲渡費用として引けるものと引けないものがあります。国税庁 No.3255 の記載を整理すると次のとおりです。

区分 具体例
譲渡費用になる 仲介手数料 / 売主負担の印紙税 / 売却のための建物取壊し費用 / 貸家を売るための立退料 / より有利な売却のための違約金
譲渡費用にならない 修繕費 / 固定資産税 / 売却代金の取立て費用
  • 残置物の処分費: 上の列挙には含まれない。売却に直接必要だった事情を説明できるかで扱いが分かれるため、領収書を保管したうえで税務署か税理士に確認する
  • 草刈りや清掃: 維持管理費であり、原則として譲渡費用にならない

取得費に足せるもの

  • 相続登記の登録免許税・司法書士報酬: 相続人が負担した登記費用は取得費に含められる(国税庁 No.3270)
  • 不動産取得税(贈与で取得した場合など): 同上
  • ただし 概算取得費(売却額の5%)を使う場合は、これらを上乗せできない。実額か概算かを選ぶ時点で、登記費用の扱いも決まる

取得費の出し方 — 「分からない」と決める前にやること

💡 この章の要点: 取得費は「土地の購入額 + 建物の購入額 − 建物の減価償却費相当額」。木造は 築35年で建物取得費の95%が償却済み になり、残るのは建物価格の5%だけ。それでも 土地の購入額が分かるだけで税額は大きく減る。契約書がなければ通帳・ローン契約書・登記簿の抵当権の記録から辿る。

概算取得費5%のルール

国税庁 No.3258 の記載では、取得費が分からないときは 売却額の5% を取得費にできます。実額が5%を下回るときも5%を使えます。

売却額 2,000万円 → 概算取得費 100万円
→ 残り1,900万円がまるごと利益扱いになる
  • 親が数十年前に買った実家では、この5%を使わざるを得ない人が少なくない
  • 売却額の95%が利益になるので、控除が使えないと 税額は売却額の約19% に達する
  • 実額のほうが5%より大きいなら、当然ながら実額を使う。証明資料が要る

建物の取得費は減価償却で減る

建物は買った価格をそのまま取得費にできません。非業務用(自宅など)の建物は、次の式で減価償却費相当額を差し引きます(国税庁 No.3261)。

減価償却費相当額 = 建物の取得価額 × 0.9 × 償却率 × 経過年数
建物の取得費     = 建物の取得価額 − 減価償却費相当額
(減価償却費相当額は取得価額の95%が上限)
構造 償却率(非業務用) 95%に達する年数
木造 0.031 35年
木骨モルタル 0.034 32年
鉄骨鉄筋コンクリート・鉄筋コンクリート 0.015 71年
  • 経過年数は6か月以上の端数を1年に切り上げ、6か月未満は切り捨て
  • 築45年の木造なら、建物取得費は 建物購入額の5% だけ残る(800万円で建てた家なら40万円)
  • 土地は減価償却しない。土地の購入額がそのまま取得費 になる。古い実家ほど「土地の値段が分かるか」が勝負

取得費の証拠を探す順番

契約書が見つからないときも、諦める前に次の順で探します。

  • 実家の書類棚・金庫・仏壇の引き出し: 売買契約書、建築請負契約書、領収書
  • 住宅ローンを組んだ金融機関: 金銭消費貸借契約書の写し。登記事項証明書の抵当権欄に借入額と金融機関名が残っている
  • 購入時に仲介した不動産会社: 契約書の控えが残っていることがある
  • 親の通帳: 購入時期の大きな出金記録
  • 分譲時のパンフレットや価格表: 直接の証拠ではないが、他の資料と組み合わせて取得費の説明に使えた例がある

  • 間接資料で取得費を主張できるかは個別判断になる

  • 資料が一つでも出てきたら、税務署に持ち込む前に税理士に見てもらう
  • 見つかった資料は原本を保管し、申告時は写しを添付する

ケース1: 相続空き家を1,500万円で売却(3,000万円控除あり)

ケース1: 相続空き家を1,500万円で売却(3,000万円控除あり)のイメージ

💡 この章の要点: 3,000万円控除が使えれば、譲渡所得1,300万円 → 控除後 0円 → 税金0円。控除なしと比べて 約264万円の差。最も多い「実家売却」の標準パターンだが、要件は 家屋・売り方・期限・売却額 の4方向にある。

前提条件

  • 売却額: 1,500万円
  • 取得費: 不明 → 概算取得費 75万円(1,500万×5%)
  • 譲渡費用: 125万円(仲介手数料 約56万円 + 解体費60万円 + 印紙税等)
  • 3,000万円特別控除: 適用(昭和56年5月31日以前築・被相続人一人暮らし等の要件クリア)

計算

譲渡所得 = 1,500万 −(75万 + 125万)= 1,300万円
控除後   = 1,300万 − 3,000万 → 0円(マイナスは0扱い)
税額     = 0円

手取り

手取り = 1,500万 − 125万(譲渡費用)− 0(税金)= 約1,375万円

控除が使えるかどうかで約264万円(1,300万×20.315%)変わる のがこのケースの核心です。

3,000万円控除の要件(国税庁 No.3306・2026年9月4日確認)

要件の方向 内容
家屋 昭和56年5月31日以前の建築 / 区分所有建物(マンション等)でない / 相続開始直前に被相続人が一人で住んでいた
売り方 相続の時から売却まで、事業・貸付け・居住に使っていない / 家屋を残して売るなら耐震基準を満たす、または取り壊して敷地だけを売る
取壊しの時期 令和6年1月1日以後の売却なら、売却の翌年2月15日まで に耐震改修か取壊しが済めばよい(買主側で取り壊す契約でも可)
期限 相続開始から 3年を経過する日の属する年の12月31日 までの売却 / 制度自体は 令和9年12月31日 までの売却が対象
売却額 1億円以下
控除額 最高3,000万円。令和6年以後の売却で 相続人が3人以上なら1人あたり2,000万円
他の特例 取得費加算の特例など他の特例を受けていないこと(選択適用)
必要書類 市区町村が発行する 被相続人居住用家屋等確認書 を確定申告書に添付
  • 取り壊して敷地だけを売る場合は、取壊し後に駐車場など「建物・構築物の敷地」に使っていないことも要件
  • 「相続開始から3年」ではなく「3年を経過する日の 属する年の12月31日」なので、実際の猶予は最短3年、最長で約4年
  • 相続開始日を仮置きして、この期限と取得費加算の期限、固定資産税の基準日(1月1日)を1本の時系列に並べた早見表は空き家売却のタイミングにある

ケース2: 控除なしで1,500万円で売却

ケース2: 控除なしで1,500万円で売却のイメージ

💡 この章の要点: 同じ1,500万円売却でも控除が使えないと 税額約264万円。手取りは約1,111万円に減る。「賃貸に出してしまった」「新耐震の建物」「期限切れ」が控除を失う典型パターンで、いずれも 売る前の判断 で防げる。

前提条件

  • ケース1と同じだが、3,000万円控除 なし(例: 相続後に一時的に賃貸に出した)

計算

譲渡所得 = 1,500万 −(75万 + 125万)= 1,300万円
税額     = 1,300万 × 20.315% = 約264万円

手取り

手取り = 1,500万 − 125万 − 264万 = 約1,111万円

控除を失う典型パターンと防ぎ方

失うパターン 何が要件に触れるか 防ぎ方
相続後に 賃貸に出した 「相続から売却まで貸付けの用に供していない」に違反 家賃収入の見込みと264万円級の控除を天秤にかけてから決める
相続後に 自分や親族が住んだ 「居住の用に供していない」に違反 一時的な仮住まいでも要注意
昭和56年6月1日以降 の建築 家屋の建築時期要件を外れる この特例は使えない。取得費加算(ケース4)を検討
3年目の年末 を過ぎた 期限要件を外れる 売却活動が長引きそうなら、確実に売り切れる買取も候補に入れる
被相続人が 老人ホーム等に入所 していた 一定要件を満たせば適用可(要介護認定など) 入所時期・要介護認定の有無を確認書の申請時に説明する
相続人が 3人以上 控除額が1人2,000万円に減る(令和6年以後) 譲渡所得が2,000万円超なら課税が残る前提で試算

「とりあえず貸して家賃収入」は、後の売却で控除を失い 数百万円の損 になり得ます。賃貸判断の前に 空き家を賃貸に出す の税制注意も確認してください。

ケース3: 取得費が分からない実家を2,000万円で売却

ケース3: 取得費が分からない実家を2,000万円で売却のイメージ

💡 この章の要点: 取得費不明だと概算取得費(売却額の5%)しか使えず、譲渡所得が膨らむ。親の購入時契約書が見つかれば、築45年の木造でも土地の購入額がそのまま取得費になり、税額が約191万円減る。書類探しは数十万〜数百万円の価値がある。

前提条件(控除は使えないケースとする)

  • 売却額: 2,000万円
  • 譲渡費用: 80万円
  • 建物: 木造・築45年

パターンA: 取得費不明(概算取得費5%)

取得費   = 2,000万 × 5% = 100万円
譲渡所得 = 2,000万 −(100万 + 80万)= 1,820万円
税額     = 1,820万 × 20.315% = 約370万円

パターンB: 親の購入契約書を発見(土地1,000万円 + 建物800万円)

建物は築45年なので、減価償却費相当額は上限の95%に達しています。

建物の減価償却費相当額 = 800万 × 95%(上限)= 760万円
建物の取得費           = 800万 − 760万 = 40万円
取得費合計             = 1,000万(土地)+ 40万(建物)= 1,040万円

譲渡所得 = 2,000万 −(1,040万 + 80万)= 880万円
税額     = 880万 × 20.315% = 約179万円

差額は約191万円

項目 A: 取得費不明 B: 契約書あり
取得費 100万円 1,040万円
譲渡所得 1,820万円 880万円
税額 約370万円 約179万円
手取り(売却額 − 譲渡費用 − 税額) 約1,550万円 約1,741万円

建物の価値はほぼ消えていても、土地の1,000万円が丸ごと取得費に立つ ので、税額は半分近くになります。探す場所は 前章 の順番どおりです。

ケース4: 相続税を払った物件を売却(取得費加算特例)

💡 この章の要点: 相続税を納めた人は、相続税の一部を取得費に加算 できる特例あり(相続税の申告期限の翌日から3年以内の売却)。ただし 3,000万円控除とは選択適用(併用不可)。通常は3,000万円控除のほうが有利だが、新耐震の建物など控除が使えないときの受け皿になる。

そもそも相続税を払う人はどのくらいいるか

相続税には基礎控除があり、遺産の合計がこれを超えない限り相続税はかかりません(国税庁 No.4152)。

基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数
例: 相続人2人 → 4,200万円 / 相続人3人 → 4,800万円

地方の空き家と預金だけ、という相続では基礎控除の範囲に収まることが多く、その場合この特例は関係ありません。相続税を申告して納めた人だけが対象です。

取得費加算特例の要件(国税庁 No.3267)

要件 内容
取得の経緯 相続または遺贈で取得した財産であること
相続税 その人に相続税が課税されていること
期限 相続税の申告期限の翌日から3年を経過する日まで に売却
加算額 納めた相続税のうち、売った物件に対応する部分(譲渡益が上限)

相続税の申告期限は相続開始を知った日の翌日から10か月(国税庁 No.4205)なので、売却の猶予は 相続開始からおよそ3年10か月 です。3,000万円控除の「3年を経過する年の12月31日」とは締切の数え方が違う点に注意してください。

前提条件

  • 売却額: 3,000万円
  • 取得費: 概算150万円 / 譲渡費用: 100万円
  • 納めた相続税のうち、この物件対応分: 400万円
  • 3,000万円控除の要件は 満たさない(昭和56年6月以降の建物のため)

計算

譲渡所得 = 3,000万 −(150万 + 400万 + 100万)= 2,350万円
税額     = 2,350万 × 20.315% = 約477万円
(特例なしなら 2,750万 × 20.315% = 約559万円 → 約82万円の節税)

3,000万円控除との使い分け

状況 有利な方
3,000万円控除の要件を満たす ほぼ 3,000万円控除(控除額が大きい)
要件を満たさない + 相続税を納めた 取得費加算特例
両方の要件を満たす 選択適用 → 試算して大きい方

国税庁 No.3306 には「取得費加算の特例など他の特例の適用を受けていないこと」が要件として明記されています。両方の要件を満たすなら、どちらを選ぶかを税理士に試算してもらうのが確実です。加算額の計算式(納めた相続税のうち売った物件に対応する部分の求め方)と申告に添える書類は取得費加算の特例で相続空き家を売るで扱っています。

ケース5: 取得費より安く売れた(売却損)

💡 この章の要点: 譲渡所得がマイナスなら 税金は0円。ただし空き家(非居住用)の売却損は給与など他の所得とは 損益通算できない。同じ年に売った他の土地建物の譲渡益となら相殺できる。「税金がかからない」だけでもメリットと捉える。

前提条件

  • 売却額: 400万円(地方の築古物件)
  • 取得費: 親の購入額800万円(実額判明)
  • 譲渡費用: 30万円

計算

譲渡所得 = 400万 −(800万 + 30万)= ▲430万円(損失)
税額     = 0円

売却損の扱い(国税庁 No.3203)

論点 扱い
税金 譲渡所得がゼロ以下なら課税なし
他の土地建物の譲渡益との相殺 同じ年の譲渡所得の中では 控除できる
給与・事業所得との損益通算 できない(土地建物の譲渡損失の原則)
居住用財産の損益通算特例 自分が住んでいた家に限る。相続した空き家は対象外 が原則。住まなくなって3年目の年末までに売るなどの要件は住宅ローンが残っている空き家は売れる?の税金の章で整理している
  • 「損した気分」でも、保有し続ける固定資産税・管理費・倒壊や近隣トラブルのリスクからの解放を含めれば、合理的な選択であるケースは多い
  • 損失が出た年でも、他の土地建物の売却益がある場合は申告して相殺する価値がある

買取業者に売る場合の税金と手取り

💡 この章の要点: 税金の計算式は仲介でも買取でも同じ。違うのは 譲渡費用の中身と決済までの期間。買取は仲介手数料0円・解体不要・現況渡しが標準なので、譲渡費用は印紙税くらいに縮む。3,000万円控除の 期限が迫っているときは、確実に年内に決済できる買取が控除を守る手段 になる。

譲渡費用の構造が変わる

費用項目 仲介で売る 買取業者に売る
仲介手数料 上限3.3%+6.6万円(税込)。800万円以下は上限33万円の特例あり(国土交通省) 0円
印紙税(売主負担分) 売却額500万円超1,000万円以下 5,000円 / 1,000万円超5,000万円以下 1万円(国税庁 No.7108・令和9年3月31日までの軽減後) 同左
解体費 更地渡しなら売主負担(譲渡費用に算入可) 不要(現況渡し)
残置物処分 売主が片付けるのが通例 業者が引き取る(処分費は査定に織り込み済み)
測量費 境界未確定なら売主負担が多い 業者が判断。売主負担なしが多い
  • 譲渡費用が小さいぶん、譲渡所得は大きくなる方向に働く
  • 買取価格は仲介の成約想定より低いので、額面ではなく 差し引きの手取り で比べる
  • 残置物の処分費は業者の負担になるので、売主側の譲渡費用としては立たない

手取り比較: 相場1,000万円の相続空き家(取得費不明)

項目 買取(750万円) 仲介(970万円)
仲介手数料(税込) 0円 約38.6万円
印紙税 5,000円 5,000円
概算取得費(5%) 37.5万円 48.5万円
譲渡所得 約712万円 約882万円
税額(控除なし・20.315%) 約145万円 約179万円
手取り(控除なし) 約605万円 約752万円
手取り(3,000万円控除あり) 約749万円 約931万円
  • 額面の差220万円は、手取りでは 控除なしで約147万円、控除ありで約182万円 に縮む
  • 仲介は売れるまでの固定資産税と管理費、売れない可能性が乗る。この表にはそれが入っていない
  • 3,000万円控除の期限を仲介で逃すと、仲介側の手取りは一気に約179万円減る。期限が半年を切っているなら、この一点だけで買取が逆転することがある

買取で売るときの手順と期間

[1] 問い合わせ・物件情報の提供: 当日〜3日
[2] 机上査定(概算レンジの提示): 1〜3日
[3] 現地調査: 1回・30分〜1時間
[4] 買取価格の提示: 調査後2日〜1週間
[5] 条件調整: 引渡し時期・残置物・契約不適合責任の免責
[6] 売買契約(手付金の授受): 価格合意後1〜2週間
[7] 決済・所有権移転・入金: 契約後1〜4週間
  • 相続登記が未了なら、契約前に司法書士へ依頼して名義を相続人に移す(買取業者が提携司法書士ごと段取りするのが通例)
  • 3,000万円控除を使うなら、取壊しを売主がやるか、買主が翌年2月15日までにやるか を契約書に落とし込む。令和6年以後の売却は買主側の取壊しでも要件を満たせる
  • 決済日を 年内 に置けるかどうかが、期限ぎりぎりの案件では最重要の条件

決済までに揃える書類

書類 入手先 税金との関係
登記識別情報(権利証) 自宅保管 紛失時は司法書士の本人確認手続で代替
印鑑証明書(発行3か月以内) 市区町村役場 所有権移転登記に必要
固定資産税納税通知書 自宅保管 日割り精算の計算に使う
売買契約書(写し) 契約時 確定申告で売却額の証明に使う
取得費の資料(親の契約書・ローン契約書等) 実家・金融機関 あれば概算5%を回避できる
被相続人居住用家屋等確認書 物件所在地の市区町村 3,000万円控除の申告に添付

モデルケース: 築45年・地方の相続空き家を売って申告するまで

💡 この章の要点: 相続から2年半後に買取で600万円で売った例を時系列で追う。控除が使えたので 税金0円、使えなければ 約116万円 の課税だった。分岐は「賃貸に出さなかったこと」と「3年目の年末までに決済できたこと」の2つ。

数字だけでは実感が湧きにくいので、例を一つ置きます。細部を簡略化した架空の例ですが、地方の相続空き家ではよくある経過です。

  • 物件: 地方都市郊外・木造築45年(昭和55年築)・家財が残ったまま
  • 相続人: 県外在住の長女1人。父が一人暮らしだった
  • 取得費: 父の購入契約書は見つからず
時期 出来事 税金上の意味
1年目 3月 相続発生。電気だけ止めて家財はそのまま 3,000万円控除の期限は 4年目の12月31日
1年目 10月 相続登記完了。登録免許税と司法書士報酬で約12万円 実額取得費を使うなら加算できる費用
2年目 春 知人に「貸せば家賃が入る」と勧められるが、控除を失うと知って見送り 貸していれば控除は消えていた
2年目 6月〜 仲介で680万円で売り出し。半年で内見2件、反応なし 売れない間も固定資産税と草刈り代
3年目 4月 買取査定を3社に依頼。520万・560万・600万円 期限まで残り1年8か月
3年目 5月 600万円で契約。残置物そのまま・現況渡し・買主が翌年2月までに取壊し 買主側の取壊しでも控除要件を満たせる
3年目 6月 決済・入金 譲渡日はこの年
3年目 7月 市区町村に確認書を申請 取壊し後の写真等が必要になることがある
4年目 3月 確定申告。控除適用で税額0円 申告しないと控除は受けられない

この例の税額を計算する

売却額     = 600万円
取得費     = 600万 × 5% = 30万円(概算)
譲渡費用   = 印紙税 5,000円(買取なので仲介手数料0円)
譲渡所得   = 600万 − 30万 − 0.5万 = 569.5万円
控除あり   → 569.5万 − 3,000万 → 0円 → 税額0円
控除なし   → 569.5万 × 20.315% ≒ 約116万円
  • 手取り: 控除ありで約599.5万円。控除なしなら約483.5万円
  • 2年目に賃貸へ出していたら、家賃収入が数十万円入っても116万円の課税で相殺されていた
  • 仲介で4年目の年末までに売れなかった場合も同じ116万円が乗る。買取に切り替えた判断は、税額の面だけで見ても妥当だった

  • 税金がゼロでも申告は必要。控除は確定申告で適用を申し出て初めて効く

  • 確認書の発行に時間がかかるので、決済後すぐに市区町村へ申請する
  • 買取業者が提携税理士を紹介できる場合は、契約時に申告の段取りまで相談しておく

手取り額の計算テンプレート

💡 この章の要点: 手取り = 売却額 −(仲介手数料 + 印紙税 + 解体・測量等の実費 + 譲渡所得税)。「査定額 = 手取り」ではない ので、売却判断は必ず手取りベースで。5ケースを並べると、同じ売却額でも手取りが200万円以上ずれる。

手取り計算の手順

[1] 売却額(査定額)を把握する
[2] 譲渡費用を見積もる
    - 仲介手数料: 上限は 200万円以下5.5% / 400万円以下4.4% / 超過分3.3%(税込)
                  800万円以下の物件は上限33万円の特例あり(買取なら0円)
    - 印紙税: 500万円超1,000万円以下 5,000円 / 1,000万円超5,000万円以下 1万円
    - 解体・測量・残置物処分: 必要な場合のみ
[3] 取得費を確定する(実額 or 売却額×5%)
[4] 譲渡所得 = 売却額 − 取得費 − 譲渡費用 − 特別控除
[5] 税額 = 譲渡所得 × 20.315%
[6] 手取り = 売却額 − 譲渡費用 − 税額

5ケースの手取り比較まとめ

ケース 売却額 取得費 税額 手取り
1. 控除あり 1,500万 概算75万 0円 約1,375万
2. 控除なし 1,500万 概算75万 約264万 約1,111万
3-A. 取得費不明 2,000万 概算100万 約370万 約1,550万
3-B. 取得費判明 2,000万 実額1,040万 約179万 約1,741万
4. 取得費加算 3,000万 概算150万+加算400万 約477万 約2,423万
5. 売却損 400万 実額800万 0円 約370万

同じ売却額でも、控除・取得費の扱いで手取りが200万円以上変わる ことが分かります。

確定申告の時期と用意するもの

  • 申告期間: 売却した年の翌年 2月16日〜3月15日(国税庁 No.2024)
  • 売却額の証明: 売買契約書の写し、精算書
  • 取得費の証明: 親の売買契約書、建築請負契約書、ローン契約書など(概算5%なら不要)
  • 譲渡費用の証明: 仲介手数料・印紙・解体費の領収書
  • 3,000万円控除: 被相続人居住用家屋等確認書(市区町村発行)、登記事項証明書など
  • 納税資金: 売却代金から税額分を先に別口座へ移しておく。住民税は翌年度に通知が来る

空き家売却の税金シミュレーションのよくある質問

1. 相続してすぐ売ると税金が高くなりますか?

なりません。

  • 相続物件は親の所有期間を引き継ぐ(国税庁 No.3270)
  • 親が5年超所有していれば、相続直後の売却でも長期譲渡(20.315%)
  • 3,000万円控除には期限があるため、むしろ早いほうが有利
2. 税金はいつ払いますか?
  • 申告: 売却した年の翌年2月16日〜3月15日
  • 所得税: 申告期限までに納付
  • 住民税: 翌年度に分けて納付。所得税とは別に後から請求が来る
  • 売却代金を使い切らないよう、税額分は先に分けておく。詳しくは 空き家売却の確定申告 を参照
3. 解体費用は経費になりますか?
  • 売却のために解体した: 譲渡費用に算入できる(国税庁 No.3255)
  • 解体して長期間放置した後に売った: 売却との直接性が薄れ、認められないことがある
  • 買取業者が引き渡し後に解体した: 売主の費用ではないので算入するものがない
4. 共有名義の場合の税金は?

持分ごとに各自が計算・申告 します。3,000万円控除も各共有者がそれぞれ適用できます(令和6年以後の売却で相続人3人以上なら1人あたり2,000万円)。共有名義の売り方は 空き家の共有名義 を参照。

5. 買取業者に売っても税金の計算は同じ?

同じ です。違いは譲渡費用の中身で、買取は仲介手数料が0円、解体・残置物処分も売主負担にならないのが通例です。買取で売る場合の章 の比較表と、空き家の買取と仲介どちらが得? を参照。

6. 正確な税額は誰に計算してもらえばいい?

税理士 が確実です。

  • 本記事のシミュレーションは目安。取得費の証明・特例の適用可否で結果が変わる
  • 報酬は事務所によって幅があるので、依頼前に見積もりを取る
  • 買取業者の中には提携税理士に無料で相談できるところもある
7. 3,000万円控除を使う場合、申告時に特別な書類は必要ですか?

市区町村が発行する「被相続人居住用家屋等確認書」を確定申告書に添付する必要があります(国税庁 No.3306)。

8. 売却で損をしたら申告しなくていい?
  • 譲渡所得がマイナスなら税額は0円で、その物件だけなら申告義務は原則ない
  • 同じ年に他の土地建物を売って利益が出ているなら、申告して損失と相殺できる(国税庁 No.3203)
  • 売却損でも、他の理由(医療費控除など)で確定申告するなら譲渡の欄も記載する

動くなら早いほうが選択肢が多い

空き家には「特定空家指定で固定資産税が最大6倍」「相続から3年以内の譲渡で3,000万円特別控除」など、期限のある制度が複数あります。 売却を決める前でも、いま無料査定を取っておくだけで判断材料が増えます。

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まとめ — 税額を分けるのは「控除」と「取得費」

最後にもう一度、空き家売却の税金のポイントを整理します。

  • 計算式: (売却額 − 取得費 − 譲渡費用 − 特別控除)× 20.315%(長期)
  • 最大の分岐: 3,000万円控除が使えるか。使えれば大半のケースで税金0円。賃貸・居住・期限切れで失う
  • 第2の分岐: 取得費の実額が分かるか。築45年でも土地の購入額は丸ごと取得費になる
  • 買取の手取り構造: 仲介手数料0円・解体不要。期限が迫っているなら控除を守る手段になる
  • 手取りベースで判断: 「査定額=手取り」ではない
  • 迷ったら税理士 + 売却額の把握には無料査定

関連: 空き家の税金まるわかり / 空き家3,000万円特別控除 / 空き家売却の確定申告 / 空き家の売却相場2026

シミュレーションの起点は「売却額」から

査定額が分かれば、この記事の計算式に当てはめるだけで手取りの目安が出せます。査定は無料・秘密厳守。

  • 査定も相談も無料。売ると決める前の段階でも、買取可否と概算金額が分かります
  • 現状渡しでOK。片付けも解体も不要で、撤去・解体費は運営側の負担です
  • 仲介手数料0円。契約から決済まで最短数日で、遠方からでも手続きを進められます
  • 弁護士・税理士・司法書士の3士業と連携。再建築不可、共有持分、相続未登記、事故物件も相談できます

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