空き家・実家の仏壇処分|魂抜き(閉眼供養)の手順と費用・4つの処分先【2026】
実家の片付けが一段落して、たんすも食器棚も運び出した。最後に残ったのが、仏間の仏壇です。粗大ごみのシールを貼る気にはなれないし、買取業者から「残置物ごとで結構です」と言われても、仏壇まで含めてよいのか分からない。片付けはここで止まります。
止まる理由ははっきりしています。仏壇だけは、捨てる前に済ませておく段取りが別にあるからです。結論は3点です。
- 仏壇の処分は3段に分かれます。 ①宗教的な区切り(閉眼供養、いわゆる魂抜き)、②本体の処分、③位牌、御本尊、過去帳、遺影の扱い、の順です。①と③は所有者にしかできません
- 空き家の売却や解体の前に済ませます。 買取業者や解体業者が引き受けるのは「残置物」としての本体だけで、①と③はやりません。引き渡した後に位牌を取り戻すことはできません
- 費用は処分先で決まります。 自治体の粗大ごみなら数百円から数千円(大阪市は1,000円、2026-09-16確認)、仏壇店の引き取りならサイズ制で数万円。お布施は寺と地域で異なるため、菩提寺に直接聞きます
「魂抜き」という言葉が引っかかる読者もいるはずです。浄土真宗では、そもそも「魂を入れる」という受け止めがありません(本願寺派、大谷派の公式サイト、2026-09-16確認)。宗派で呼び方が違う話は、2つめの章で扱います。
仏壇処分 状況別ガイド
| いまの状況 | 読むべき章 |
|---|---|
| 何から手を付けるか分からない | 3段に分かれる理由 |
| 魂抜きが何か、自分の宗派でも要るのか知りたい | 魂抜き(閉眼供養)とは何か |
| どこに頼むか、いくらかかるか決めたい | 処分先4つの比較 |
| 粗大ごみで出せるか知りたい | 自治体の粗大ごみの扱い |
| 回収業者のチラシが入っていた | 無許可業者の見分け方 |
| 位牌や遺影をどうするか迷っている | 位牌・遺影・過去帳・仏具の扱い |
| 兄弟の誰が仏壇を引き継ぐのか | 祭祀財産の承継 |
| 売却・解体の予定に組み込みたい | 段取りへの組み込み |
仏壇処分は3段に分かれる。売却・解体の前に済ませる理由

💡 この章の要点: 仏壇の処分は ①宗教的な区切り(閉眼供養)→②本体の処分→③位牌・御本尊・過去帳の扱い の3段で進む。買取業者や解体業者が引き受けるのは②の「残置物としての本体」だけで、①と③は所有者の仕事。だから 売却や解体の前 に①と③を終えておく。
3段の中身
[1] 宗教的な区切り 閉眼供養(魂抜き)。宗派で呼び方が違う。寺に頼む
↓
[2] 本体の処分 菩提寺 / 仏壇店 / 自治体の粗大ごみ / 遺品整理業者
↓
[3] 中身の行き先 位牌・御本尊・過去帳・遺影・仏具
持ち出す物と処分する物を分ける
- ①宗教的な区切り: 僧侶に読経してもらい、仏壇を「礼拝の対象」から「木の箱」に戻す。この儀式の呼び方と考え方は宗派で違う
- ②本体の処分: 木製の箱として運び出し、燃やすか砕く。ここだけなら家財の処分と変わらない
- ③中身の行き先: 位牌、御本尊、過去帳は本体と一緒に捨てる物ではない。持ち出すか、寺に預けるかを先に決める
「後でいい」が効かない理由
現況買取の業者は、家財を残したまま買い取ることが多く、仏壇本体も残置物として引き受ける業者があります。それなら片付けの手間は減ります。ただ、業者がやるのは②だけです。
- ①はやらない: 仏壇店の引き取りサービスでも同じで、はせがわは「供養式では僧侶によるお経上げを行いますが、お仏壇の『閉眼供養(魂抜き)』ではございません」と明記し、御本尊と位牌は引き取り前に寺で閉眼供養を済ませるよう案内しています(はせがわ、2026-09-16確認)
- ③もやらない: 業者が仏壇の引き出しを開けて位牌を選り分けることはない。引き渡し後は他人の所有物で、はせがわの場合も「お預かりしたお仏壇は、いかなる理由があっても返却できません」
- 解体業者は運べないことがある: 家庭の廃棄物を回収できるのは市区町村の一般廃棄物処理業の許可か委託を受けた業者で、産業廃棄物処理業の許可では回収できません(環境省、2026-09-16確認)。解体業者が残置物を運べるかは許可次第で、運べる場合も解体費に上乗せされることが多いです
つまり、片付けの順番を「家財を全部業者に」と決めた人ほど、仏壇だけは手前で止まります。売却や解体の日程を決める前に、①と③を終えておく理由がこれです。家財全体を片付けるか現況のまま売るかの損得はゴミ屋敷の売却、解体前の残置物の扱いは空き家の解体費用にまとめています。
魂抜き(閉眼供養)とは何か。宗派で呼び方と考え方が違う
💡 この章の要点: 仏壇や位牌を迎えるときの儀式(開眼供養、魂入れ)と対になる、送り出すときの儀式が 閉眼供養 で、魂抜き、お性根抜き とも呼ばれる。ただし 浄土真宗(本願寺派、大谷派)には「魂を入れる」という受け止めがなく、迎えるときは「入仏法要」「御移徙」と呼ぶ。入れていないものは抜けないので「魂抜き」とは呼ばず、処分時の法要の名称は所属寺院に確認する。お布施は寺と地域で異なる。
閉眼供養の位置づけ
仏壇や位牌には、迎えるときと送り出すときに対になる儀式があります。
- 開眼供養(魂入れ、お性根入れ): 迎えるときに僧侶が読経して、仏壇や位牌を礼拝の対象にする
- 閉眼供養(魂抜き、お性根抜き): 処分や移動の前に僧侶が読経して、礼拝の対象から外す。仏壇店のはせがわも「閉眼供養(魂抜き)」の表記で、寺に依頼するものとして案内している(2026-09-16確認)
- 当日の中身: 僧侶が仏壇の前で読経し、施主が手を合わせる。所要時間や持ち物は寺によるため、頼むときに聞く
浄土真宗は「魂抜き」と呼ばない
ここで、実家が浄土真宗の読者は立ち止まるはずです。「うちの宗派でも魂抜きは要るのか」。両派の公式サイトの答えは、迎える側から書かれています。
- 本願寺派(西本願寺): 新しい仏壇に御本尊を迎える法要を「入仏法要」と呼び、「お勤めする僧侶が、仏さまの『魂』を入れるのではありません」「『お魂入れ』や『お性根入れ』とは言いません」(よくあるご質問、2026-09-16確認)
- 大谷派(東本願寺): 御本尊を安置、または移すときの法要を「御移徙(おわたまし)」と呼び、「浄土真宗では、ご本尊に新しい魂や性根を入れるという受けとめはありません」(お仏壇(お内仏)のこと、2026-09-16確認)
入れていないのだから、抜くという発想もありません。したがって、浄土真宗で仏壇を処分するときの法要を「魂抜き」とは呼びません。処分時の法要の名称は両派の公式サイトに記載がなく、この記事では断定しません。所属寺院に「仏壇を処分するので、お勤めをお願いしたい」と伝えれば、寺の側で呼び方を示してくれます。
宗派別の呼び方
| 項目 | 浄土真宗本願寺派 | 真宗大谷派 | その他の多くの宗派 |
|---|---|---|---|
| 迎えるときの法要 | 入仏法要(入仏式) | 御移徙(おわたまし)、地域によりお紐解き | 開眼供養、魂入れ、お性根入れなどと呼ばれる |
| 「魂を入れる」という考え | ない(公式FAQ) | ない(公式サイト) | ある宗派が多い |
| 送り出すときの呼び方 | 「魂抜き」とは呼ばない。名称は所属寺院に確認 | 同左 | 閉眼供養、魂抜き、お性根抜き |
| 位牌 | 用いない。過去帳に法名、俗名、死亡年月日を記す | 用いない | 用いる宗派が多い |
「その他の多くの宗派」の列は、宗派の公式サイトではなく仏壇店の表記と一般的な呼び方に基づいています。曹洞宗の公式サイト「お仏壇のまつり方」には閉眼供養の記載がなく、この記事では宗派ごとの断定を避けます。
頼み方。菩提寺がある場合とない場合
- 菩提寺がある: 電話で「実家を売る(解体する)ので、仏壇を片付けたい」と伝える。日程、当日必要なもの、お布施の渡し方を聞く。お布施の金額は寺と地域で異なる
- 菩提寺が分からない: 位牌の裏面、過去帳、墓石の刻字、親宛ての郵便物(寺からの法要案内)で宗派と寺を探す。実家の近所や親戚に聞くのが早い
- 菩提寺がない、遠くて頼めない: 同じ宗派の近くの寺に相談する。仏壇店が僧侶を紹介する場合もあるが、はせがわのように「閉眼供養(魂抜き)やその手配などは承っておりません」と明記する店もある
- 立ち会えない: 遠方に住んでいて実家に行けない場合は、寺に事情を伝えて相談する。対応は寺による
仏壇の処分先4つ。費用の出どころと魂抜き込みかどうか
💡 この章の要点: 本体の処分先は 菩提寺・寺院、仏壇仏具店、自治体の粗大ごみ、遺品整理・不用品回収業者 の4つ。閉眼供養まで一か所で済むのは菩提寺だけ で、仏壇店の「供養引き取り」は読経付きでも閉眼供養ではない(はせがわ)。費用は、自治体なら手数料(大阪市1,000円)、仏壇店ならサイズ制(はせがわ19,800〜77,000円)。お布施と業者見積は一次情報がなく、この記事では金額を書かない。
4つの処分先を1つの表で
| 処分先 | 費用の出どころ | 閉眼供養 | 位牌・御本尊 | 向くケース |
|---|---|---|---|---|
| 菩提寺・寺院(お焚き上げ) | お布施。寺と地域による | 寺が行う | 寺に相談して預けられることが多い | 菩提寺があり、供養から処分まで一か所で済ませたい |
| 仏壇仏具店の引き取り | 公表料金。サイズ制が多い | 別。事前に寺で済ませる(はせがわ) | 引き取り前に取り出す | 菩提寺が遠い、買い替える、日程を自分で決めたい |
| 自治体の粗大ごみ | 手数料。品目固定かサイズ制 | 別。自分で寺に手配 | 自分で取り出す | 費用を抑えたい。閉眼供養は別に済ませる |
| 遺品整理・不用品回収業者 | 業者の見積(公表料金なし) | 業者による。提携寺の合同供養がある場合も、閉眼供養は別が多い | 契約前に扱いを確認 | 家財全体を一度に片付ける。許可の確認が前提 |
表の4行に共通するのは、「閉眼供養」の列が寺以外は「別」になっていることです。
仏壇店の料金の例。はせがわの「供養引き取り」
仏壇店の引き取り料金でこの記事が確認できたのは、はせがわのオンライン案内です(2026-09-16確認)。買い替えなしで処分する読者に当てはまるのは「供養引取りのみ」の料金です。
| 仏壇の三辺合計(幅+奥行+高さ) | 供養引き取りのみ(税込) | 購入と同時(税込) |
|---|---|---|
| 〜130cm | 19,800円 | 16,500円 |
| 〜200cm | 29,700円 | 19,800円 |
| 〜250cm | 39,600円 | 27,500円 |
| 〜300cm | 55,000円 | 33,000円 |
| 〜350cm | 66,500円 | 38,500円 |
| 〜400cm | 77,000円 | 44,000円 |
- 仏具: ダンボール1箱 5,500円。仏壇置台 11,000円
- 400cm超: 追加料金が発生することがあり、別途見積
- 購入と同時の料金の条件: オンラインショップの条件で、実店舗では税込110,000円以上の購入が条件
- 供養式の中身: 僧侶の読経はあるが「閉眼供養(魂抜き)」ではない。御本尊と位牌は、引き取り前に寺で閉眼供養を済ませる
- 当日まで: 仏壇の内部と引き出しを空にする。ライターやマッチなどの火気類は引き取り不可。家具や人形、写真は引き取り対象外
「仏壇店に頼めば供養も処分も全部やってくれる」と思って電話すると、この条件で止まります。料金には運送と作業と合同供養が含まれていますが、宗教的な区切りは含まれていません。
費用を左右するのは、仏壇の大きさ(仏壇店も一部の自治体もサイズ制)と、閉眼供養を誰に頼むかの2点です。菩提寺に頼めるなら、本体の処分先は寺でも仏壇店でも自治体でも選べます。
自治体の粗大ごみで仏壇を出せるか。3自治体の扱い
💡 この章の要点: 確認した3自治体はいずれも仏壇を粗大ごみとして受け付ける。大阪市は品目固定で1,000円、名古屋市は1,500円(2026年9月収集分まで)から2,000円(10月収集分から)に改定、新宿区は「箱物家具」としてサイズ制で400〜3,200円。自治体で扱いも手数料も違い、改定もあるため、実家の自治体の一覧で確認する。出す前に閉眼供養を済ませ、中を空にする。
3自治体の扱い(2026-09-16確認)
| 自治体 | 仏壇の扱い | 手数料 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 大阪市 | 品目「仏壇」 | 1,000円 | 手数料は1点につき200円、400円、700円、1,000円の4区分。仏壇は最上位で、大きさによる区分なし |
| 名古屋市 | 品目「仏壇」 | 1,500円(令和8年9月収集分まで)、2,000円(令和8年10月収集分から) | 収集日が2026年10月1日以降の粗大ごみから手数料を改定。表にない品目は作業課に問い合わせ |
| 新宿区 | 「箱物家具」の例示品目 | 400円(135cm以下)、900円(180cm以下)、1,300円(270cm以下)、2,300円(360cm以下)、3,200円(360cm超) | 最長辺と2番目に長い辺の合計で区分。一覧にない品目は受付センターに電話 |
3つ並べると、同じ「仏壇」でも決め方が2通りあると分かります。
- 品目固定: 大阪市、名古屋市。仏壇という品目に1つの金額が付く
- サイズ制: 新宿区。仏壇は独立した品目ではなく、たんすや食器棚と同じ「箱物家具」で、大きさで金額が決まる
- 改定がある: 名古屋市は収集日が2026年10月1日以降なら2,000円。申し込み日ではなく収集日で決まる
横浜市は、品目ごとの手数料が申し込みサイトの検索でしか見られず、この記事では確認できていません。実家の自治体の公式ページで品目一覧に仏壇があるかを見て、なければ受付センターに電話します。
粗大ごみで出す前に
- 閉眼供養を済ませる: 自治体は宗教的な区切りには関与しない。必要なら寺に頼んでから申し込む
- 中を空にする: 位牌、御本尊、過去帳、遺影、仏具、引き出しの中の書類を全部出す。仏具は自治体の分別(金属、陶器、木製)に従う
- 大きさを測る: サイズ制の自治体は三辺の寸法で金額が変わる。申し込み時に聞かれる
- 収集か持ち込みか: 自治体によっては持ち込みで手数料が変わる。仏壇は重く、運び出しに2人要ることが多い
- ろうそくとマッチ: 引き出しに残っていることが多い。火気類は仏壇と一緒に出さない
無許可の不用品回収業者に渡さない
💡 この章の要点: 家庭の廃棄物を集めて運ぶには 市町村長の許可(廃棄物処理法7条1項)か市町村の委託が要る。産業廃棄物処理業の許可や古物商の許可では回収できない(環境省)。空き家の郵便受けに入るチラシや巡回トラックの業者は、許可の有無を市区町村で確認してから頼む。
法律上の線引き
一般廃棄物(家庭から出るごみ)の収集または運搬を業として行おうとする者は、その区域を管轄する市町村長の許可を受けなければなりません(廃棄物処理法7条1項、2026-09-16確認)。また、何人もみだりに廃棄物を捨ててはなりません(同16条)。
環境省はQ&Aで、次のように書いています(2026-09-16確認)。
- 家庭の廃棄物を回収するには、市区町村の「一般廃棄物処理業許可」や委託が必要
- 「産業廃棄物処理業の許可」や「古物商の許可」では回収できない。産業廃棄物処理業の許可は工場や企業の廃棄物のため、古物商の許可は中古品の売買のためのもの
- 廃家電や粗大ごみは、住んでいる市区町村が案内するルールで処分する。分からなければ市区町村に問い合わせる
仏壇は家庭から出る一般廃棄物です。「産廃の許可があります」「古物商の許可番号があります」という表示だけでは、家庭の仏壇を運ぶ資格の証明になりません。
空き家で起きやすい場面
- 郵便受けのチラシ: 空き家の郵便受けには回収業者のチラシがたまる。チラシに書かれた許可番号が「一般廃棄物収集運搬業」のものかを、実家の市区町村に電話して確認する
- 巡回トラック: 「不用品無料回収」のアナウンスで巡回する車。環境省は、町中を巡回する形態も無許可業者の例として挙げている。許可の有無を確認できないまま仏壇を積ませない
- 遺品整理業者: 廃棄物を自社で運ぶなら一般廃棄物収集運搬業の許可か、許可業者への委託が要る(7条1項)。見積時に「廃棄物はどの許可で誰が運ぶか」を聞く
- 捨てられたときに残るもの: 無許可業者に渡した仏壇が山林に捨てられると、位牌や過去帳で家が特定できる情報が残っていることがある。渡す前に中身を全部出しておく理由の1つ
位牌・遺影・過去帳・仏具の扱い。残す・小さくする選択肢

💡 この章の要点: 本体を処分しても、位牌、御本尊、過去帳、遺影 は残す物と処分する物を自分で分ける。位牌は宗派で有無が違い、浄土真宗は位牌を用いない(本願寺派、大谷派)。本願寺派は過去帳を使う。仏壇を残す道は 引っ越し先に移す、小さい仏壇に買い替える、位牌だけ残す の3つ。大谷派は公式に「大きさや豪華さなどは問題ではありません」と書いている。
中身ごとの扱い
- 位牌: 故人の戒名(法名)を記した札。手元に残すなら自宅へ持ち帰り、残さないなら閉眼供養のうえで寺に預ける。仏壇本体と一緒に粗大ごみに出さない
- 御本尊: 仏壇の中央の仏像や掛け軸。宗派の本山から受けたものなら、寺に返す道を菩提寺に相談する。はせがわは御本尊の引き取り前に寺での閉眼供養を求めている
- 過去帳: 先祖の法名、俗名、死亡年月日を記した帳面。浄土真宗では位牌の代わりにこれを使う(本願寺派FAQ)。家系の記録でもあるため、処分せず持ち帰る
- 遺影: 宗教的な扱いの決まりはない。写真として持ち帰るか、寺のお焚き上げに出す。はせがわの引き取りでは写真は対象外
- 仏具: 香炉、花立て、鈴、ろうそく立て。自治体の分別に従って処分するか、仏壇店の仏具引き取り(はせがわは1箱5,500円)に出す
- 引き出しの中: 通帳、印鑑、権利証が仏壇の引き出しから出てくることがある。処分前に全部開ける
仏壇を残す3つの道
「処分する」と決める前に、残す道も並べておきます。親が施設に入って実家が空いた場合など、「仏壇を動かしたくない」気持ちの整理は親が施設に入り実家が空き家にで扱っています。
| 道 | やること | 費用の出どころ |
|---|---|---|
| 引っ越し先に移す | 実家で送り出しの法要、移した先で迎えの法要(本願寺派は入仏法要、大谷派は御移徙)。運搬は仏壇店か引っ越し業者 | お布施、運搬費 |
| 小さい仏壇に買い替える | 古い仏壇は仏壇店の「購入と同時」の引き取りへ。御本尊と位牌は新しい仏壇へ | 新しい仏壇の代金、引き取り料(はせがわは16,500〜44,000円、条件あり) |
| 位牌だけ残す | 本体は処分し、位牌と過去帳を自宅へ。置き場所は自宅の棚でもよい | 本体の処分費のみ |
大谷派は「大きさや豪華さなどは問題ではありません」とし、家具の上などの狭い場所に置ける小さな仏壇を案内しています(2026-09-16確認)。大きな仏壇を実家に残すか処分するかの二択ではない、ということです。
仏壇・位牌は「祭祀財産」。相続財産とは別の経路で承継者が決まる
💡 この章の要点: 仏壇や位牌などの祭具は、相続の一般ルール(民法896条)に かかわらず、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する(897条1項)。指定があればその人、慣習が明らかでなければ家庭裁判所が定める(2項)。仏壇と仏具に相続税はかからない(国税庁 No.4108)。承継者を先に決めないと、処分の判断者が定まらない。
民法897条の構造
相続人は、相続開始の時から被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継します(民法896条)。仏壇と位牌は、この一般ルールの外に置かれています。
被相続人の指定がある → 指定された人が承継(897条1項ただし書)
↓ ない
慣習が明らか → 慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者(897条1項本文)
↓ 明らかでない
家庭裁判所が定める(897条2項)
- 条文: 897条1項は「系譜、祭具及び墳墓の所有権は、前条の規定にかかわらず、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する」と定める(e-Gov、2026-09-16確認)
- 祭具: 仏壇、位牌、仏具がここに入る。系譜は家系図、墳墓は墓石と墓地
- 896条との違い: 預貯金や実家の土地建物は896条で相続人全員に承継され、分け方を協議する。祭具は897条で承継者が1人に決まる経路
- 指定の形: 条文は「被相続人の指定」とだけ書いている。遺言に限るとは書いていない
- 相続税: 「墓地や墓石、仏壇、仏具、神を祭る道具など日常礼拝をしている物」には相続税がかからない。ただし骨とう的価値があるなど投資の対象になるものは課税(国税庁 No.4108、令和8年4月1日現在法令等、2026-09-16確認)
実務で先に決めること
条文の構造がそのまま、片付けの順番になります。
- 誰が承継者か: 親の指定(遺言や生前の言葉)があればその人。なければ慣習で、長男が継ぐ地域もあれば、同居していた子が継ぐ地域もある。兄弟の間で合意できれば、家庭裁判所まで行く必要はない
- 承継者が処分を決める: 仏壇を処分するか残すか、位牌をどうするかは承継者の判断。実家の売却の話し合いと同時に、この1点だけ先に決めておく
- 遺産分割協議との関係: 実家の土地建物や預貯金の分け方は空き家相続の手順。仏壇はその協議の外で承継者が決まるが、話し合いの席は同じでよい
- 相続放棄との関係: 放棄を検討している場合は、仏壇に手を付ける前に専門家に確認する
空き家の売却・解体の段取りに仏壇処分を組み込む
💡 この章の要点: 順番は 承継者の決定→菩提寺に連絡→閉眼供養→位牌・御本尊・過去帳の取り出し→本体の処分先を決める→家財の片付け→売却または解体。現況買取に出すなら、仏壇本体を残置物に含めてよいか、閉眼供養済みと伝えるか、位牌を持ち出したか の3点を業者との間で先に確認する。
時系列
[0] 相続の発生
│ 兄弟で「誰が祭祀を承継するか」を決める(897条)
▼
[1] 菩提寺に連絡
│ 宗派の確認、閉眼供養(または宗派の呼び方の法要)の日程
▼
[2] 閉眼供養の当日
│ 読経。位牌・御本尊・過去帳の行き先を寺と相談
▼
[3] 中身の取り出し
│ 位牌・過去帳・遺影は持ち帰る。引き出しを全部開ける
▼
[4] 本体の処分先を決める
│ 菩提寺 / 仏壇店 / 自治体の粗大ごみ / 遺品整理業者 / 残置物として買取業者へ
▼
[5] 家財の片付け(または現況のまま)
▼
[6] 売却(現況買取 / 仲介) または 解体
[1]から[3]までは、家財の片付けや業者の見積と並行して進められます。[4]だけは、売却か解体かの選択と連動します。
現況買取に出す場合の事前確認
残置物ごと買い取る業者なら、仏壇本体を[4]の処分先に含められる場合があります。ただし、業者ごとに扱いが違うため、査定の段階で次を確認します。
- 仏壇本体を残置物に含めてよいか: 含められるなら、本体の処分費と運び出しの手間が消える。含められないなら、自治体か仏壇店で先に処分する
- 閉眼供養を済ませたと伝える: 業者の側も、宗教的な区切りが済んだ仏壇として扱える。済んでいない仏壇を業者に渡すと、後から気持ちの整理がつかなくなる
- 位牌、御本尊、過去帳は持ち出す: 残置物に含めない。引き渡し後は取り戻せない
- 引き出しの中の書類: 通帳や権利証が出てくると、売却の手続き自体に関わる。査定の前に開けておく
アキラッキーでは、家財や仏壇本体が残ったままの空き家でも、概算金額の相談を受けています。仏壇の扱いは査定時に確認できます。買取と仲介の違いは買取と仲介の比較、処分の選択肢全体は空き家の処分を参照してください。
解体する場合
- 残置物は解体費に乗る: 解体業者が残置物を運べる許可を持っていても、家財の処分費は解体費とは別に見積もられる。仏壇本体も同じ
- 仏壇は先に出す: 解体の見積を取る前に本体を処分しておくと、残置物の量が減り、見積の項目が1つ減る
- 解体の費用と補助金: 空き家の解体費用で扱う。寄付や国庫帰属を考えている場合は空き家の寄付・国庫帰属
モデルケース。築45年の実家を相続し、仏壇を処分して現況買取に出すまで
💡 この章の要点: 県外在住の長女が、地方の実家(木造築45年)を相続してから、閉眼供養、位牌の持ち帰り、仏壇本体の処分、現況買取までを 約4か月 で進めた架空の例。使った金額は確認済みの公表料金だけで、お布施の額は書かない。
細部を単純化した架空の例です。地方の相続空き家では珍しくない経過だと思います。
- 物件: 地方都市郊外、木造築45年。家財はそのまま。仏間に三辺合計250cm(幅60cm、奥行50cm、高さ140cm)の仏壇
- 相続人: 県外在住の長女と、別の県に住む長男。実家まで車で3時間
- 宗派: 位牌の裏面と墓石から、浄土真宗以外の宗派と判明。菩提寺は実家から車で10分
| 時期 | 出来事 |
|---|---|
| 3月 | 父が死去。四十九日の後、兄妹で話し合い、実家は売ること、仏壇は長女が引き継いで処分を判断することを決める(897条の承継者を先に決めた) |
| 4月 | 菩提寺に電話。「実家を売るので仏壇を片付けたい」と伝え、閉眼供養の日程を決める。お布施の渡し方も聞く |
| 5月上旬 | 閉眼供養。僧侶の読経の後、位牌と過去帳は長女が持ち帰ることにし、御本尊は寺に相談して預ける。お布施は寺に確認した額を納める |
| 5月中旬 | 仏壇の引き出しを全部開ける。父の古い通帳と印鑑が出てくる。仏壇本体は仏壇店の供養引き取り(三辺合計250cmなら、はせがわの供養引き取りのみで税込39,600円)と、自治体の粗大ごみを比較 |
| 5月下旬 | 買取業者3社に査定を依頼。「仏壇本体を含めて残置物ごとでよい」と答えた業者が2社。長女は本体を業者に任せることにし、仏壇店にも自治体にも出さないと決める |
| 6月 | 残置物そのまま、現況渡しで契約。位牌、過去帳、遺影、通帳は持ち帰り済み |
| 7月 | 決済。鍵を渡して終了 |
この例から拾える判断材料は3つです。
- 承継者を3月に決めたから、4月に寺へ電話できた: 誰が決めるかが曖昧なままだと、閉眼供養の日程も、位牌の行き先も決まらない
- 仏壇本体の処分費は、買取業者の答え次第でゼロにも39,600円にもなった: 先に仏壇店に出していれば39,600円の出費。先に業者に聞いたから、本体は残置物に含められた。ただし、含めた分が査定額に織り込まれている可能性はある
- 閉眼供養と位牌の持ち帰りは、どの処分先でも必要だった: 業者に任せる場合でも、①と③は長女がやった。ここは省けない
実家の自治体が名古屋市なら、本体を粗大ごみで出す選択肢は1,500円(2026年9月収集分まで)または2,000円(10月収集分から)、大阪市なら1,000円でした。運び出しの人手があるなら、この金額と仏壇店の料金を比べます。
仏壇処分のよくある質問
- 1. 閉眼供養(魂抜き)をしないで処分してもよいですか?
法律上の決まりはありません。 自治体の粗大ごみも仏壇店の引き取りも、閉眼供養の有無を条件にはしていません。ただし、はせがわは御本尊と位牌の引き取り前に寺で閉眼供養を済ませるよう求めています(2026-09-16確認)。宗教的な区切りを付けるかどうかは承継者と家族の判断で、迷うなら先に済ませておくほうが後から戻れます。
- 2. 実家が浄土真宗です。魂抜きは必要ですか?
「魂抜き」という呼び方の儀式はありません。 両派の公式サイトの記述はこうです(2026-09-16確認)。
- 本願寺派: 迎える法要は「入仏法要」。僧侶が魂を入れるのではなく、「お魂入れ」「お性根入れ」とは言わない
- 大谷派: 迎える法要は「御移徙(おわたまし)」。ご本尊に新しい魂や性根を入れるという受け止めはない
ただし、仏壇を処分するときに寺に読経を頼む習慣がないという意味ではありません。処分時の法要の名称は両派の公式サイトに記載がなく、所属寺院に「仏壇を処分するので、お勤めをお願いしたい」と伝えて確認してください。
- 3. 粗大ごみで出すのは失礼ではありませんか?
自治体の扱いとしては、仏壇は粗大ごみの品目の1つです。 大阪市は1,000円、名古屋市は1,500円(2026年10月収集分から2,000円)、新宿区は箱物家具として400〜3,200円で受け付けています(2026-09-16確認)。宗教的な区切り(閉眼供養)と、本体を運び出す方法は別の話です。
- 閉眼供養を済ませる
- 位牌、御本尊、過去帳を取り出す
- 本体だけを粗大ごみに出す
この順で出す人は珍しくありません。
- 4. 仏壇の処分費用はいくらかかりますか?
処分先で決まります。
- 自治体の粗大ごみ: 数百円から数千円。大阪市1,000円、名古屋市1,500円(10月収集分から2,000円)、新宿区400〜3,200円
- 仏壇店の供養引き取り: サイズ制。はせがわは三辺合計130cm以下で19,800円から400cm以下で77,000円(税込)
- 菩提寺のお布施、遺品整理業者の見積: 一次情報がなく、この記事では金額を書いていない。菩提寺には直接聞き、業者は複数の見積を取る
- 5. 位牌だけ手元に残したいときは?
残せます。 仏壇本体を処分し、位牌と過去帳を自宅に持ち帰る道です。置き場所は自宅の棚でもよく、大谷派は仏壇の大きさや豪華さは問題ではないと公式に書いています。位牌を残す場合も、本体の閉眼供養は寺に相談してください。浄土真宗は位牌を用いないため、過去帳を持ち帰ることになります(本願寺派FAQ)。
- 6. 遠方に住んでいて、実家に何度も行けません
行く回数を減らす組み方はあります。 閉眼供養の当日に、次の3つを一度に済ませます。
- 位牌と過去帳の持ち帰り
- 引き出しの中身の確認
- 仏壇の寸法の計測
本体の処分を現況買取の残置物に含められれば、仏壇のために実家へ行く回数は閉眼供養の1回で済む場合があります。仏壇店の出張引き取りは立ち会いが要ります。立ち会いの要否は、それぞれ寺と業者に確認してください。
- 7. 仏壇は兄弟の誰が引き継ぐことになりますか?
親の指定があればその人、なければ慣習で、慣習が明らかでなければ家庭裁判所が定めます(民法897条、2026-09-16確認)。実家の土地建物や預貯金の分け方とは別の経路で、承継者は1人に決まります。兄弟で合意できるなら家庭裁判所は不要です。仏壇と仏具には相続税がかかりません(国税庁 No.4108)。
この記事が確認した一次情報
この記事の数値と制度は、次の一次情報で2026年9月16日に確認したものだけを書いています。それ以外の数値(お布施の相場、菩提寺のお焚き上げ料、遺品整理業者や不用品回収業者の料金、横浜市の仏壇の手数料など)は確認できていないため、載せていません。
| 出典 | 確認した内容 |
|---|---|
| 民法(e-Gov) | 896条(相続の一般的効力)、897条1項(系譜、祭具、墳墓は前条の規定にかかわらず慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継。被相続人の指定があればその者)、897条2項(慣習が明らかでないときは家庭裁判所が定める) |
| 国税庁 No.4108 相続税がかからない財産 | 墓地や墓石、仏壇、仏具、神を祭る道具など日常礼拝をしている物は相続税がかからない。骨とう的価値があるなど投資の対象になるものは課税(令和8年4月1日現在法令等) |
| 廃棄物処理法(e-Gov) | 7条1項(一般廃棄物の収集運搬を業とする者は市町村長の許可が必要)、16条(何人もみだりに廃棄物を捨ててはならない) |
| 環境省 無許可の回収業者を利用しないでください | 家庭の廃棄物の回収には市区町村の一般廃棄物処理業許可か委託が必要。産業廃棄物処理業の許可や古物商の許可では回収できない。市区町村のルールで処分する |
| 大阪市 粗大ごみ処理手数料一覧表 | 手数料は1点につき200円、400円、700円、1,000円の4区分。仏壇は1,000円 |
| 名古屋市 粗大ごみ処理手数料の例 | 仏壇は1,500円(令和8年9月収集分まで)、2,000円(令和8年10月収集分から)。収集日が2026年10月1日以降の粗大ごみから改定 |
| 新宿区 粗大ごみの処理手数料一覧 | 仏壇は箱物家具の例示品目。最長辺と2番目に長い辺の合計で400円(135cm以下)から3,200円(360cm超)の5段階(最終更新2025年3月4日) |
| はせがわ お仏壇・仏具の引取りについて | 供養引き取りのみの料金(三辺合計130cm以下19,800円から400cm以下77,000円、税込)、購入と同時の料金と条件、仏具1箱5,500円、仏壇置台11,000円。供養式は閉眼供養(魂抜き)ではなく、御本尊と位牌は引き取り前に寺で閉眼供養を済ませる。返却不可、内部を空にする、火気類と供養品以外は引き取り不可 |
| 浄土真宗本願寺派 よくあるご質問 | 入仏法要の名称。僧侶が魂を入れるのではなく、お魂入れ、お性根入れとは言わない。位牌を用いず過去帳を使う |
| 真宗大谷派 お仏壇(お内仏)のこと | 御移徙(おわたまし)の名称。ご本尊に新しい魂や性根を入れるという受け止めはない。位牌を用いない。大きさや豪華さは問題ではない |
まとめ。仏壇処分は「区切り、本体、中身」の順で、売却・解体の前に
仏壇の処分で確かめる点を、順番に並べ直します。
- 3段に分ける: ①閉眼供養、②本体の処分、③位牌、御本尊、過去帳の扱い。①と③は所有者にしかできない
- 浄土真宗は「魂抜き」と呼ばない: 魂を入れるという受け止めがない(本願寺派、大谷派)。処分時の法要名は所属寺院に確認
- 処分先は4つ: 菩提寺、仏壇店、自治体の粗大ごみ、遺品整理業者。閉眼供養まで一か所で済むのは菩提寺だけ
- 費用: 大阪市1,000円、名古屋市1,500円(10月収集分から2,000円)、新宿区400〜3,200円。はせがわの供養引き取りは19,800〜77,000円。お布施は寺に聞く
- 無許可業者に渡さない: 家庭の廃棄物を運べるのは市町村長の許可業者か委託業者(廃棄物処理法7条1項、環境省)
- 承継者を先に決める: 指定、慣習、家庭裁判所の順で承継者が決まる(民法897条)。相続税はかからない(No.4108)
- 売却・解体の前に: 現況買取なら、本体を残置物に含めてよいかを事前に確認。位牌と過去帳は持ち出す
冒頭の場面に戻ります。たんすも食器棚も運び出して、仏壇だけが残った仏間で手が止まっているなら、次にやることは粗大ごみのシールを買うことでも、業者に電話することでもありません。兄弟の誰が仏壇を引き継ぐかを決めて、菩提寺に電話をかけることです。それが済めば、本体をどこに出すかは、料金表を見比べて決められる話になります。
決めきれないのは、たいてい「仏壇をどう処分するか」ではなく、「誰が決めるか」のほうです。
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仏壇本体を残置物に含められるかどうかで、処分の段取りは変わります。アキラッキーでは、家財が残ったままの空き家でも、査定の段階で仏壇の扱いを含めて相談できます。





