古家付き土地の売却|更地にせず売る方法と解体との損得【2026】
親の家を相続して売ろうとしたら、不動産会社から「建物には値が付かないので、古家付き土地として出しましょう」と言われた。
「古家付き土地」は、建物に値段を付けず、土地として売る扱いのことです。 建物を残したまま売れるなら解体費は要らないはずですが、そのぶん買主は解体費を見込んで値引きを求めてきますし、古い建物に何かあったときの責任をどう扱うかが契約の争点になります。 結論を先に3点にまとめます。
- 古家付きのまま売れます。更地にする義務はなく、仲介、買取、買主が解体する特約の3ルートがあります
- 損得は「解体費」だけでは決まりません。解体すると住宅用地特例が外れて固定資産税が上がり、譲渡費用の扱いも変わります
- 契約実務が手取りを左右します。契約不適合責任の免責、解体費相当の値引き、引き渡し条件の3つを押さえるかどうかで、同じ土地でも結果が変わります
解体するかどうかを決める前に、古家付きのままの査定額を先に取っておくと、比較の物差しができます。
古家付き土地の売却 状況別ガイド
| あなたの状況 | 読むべきセクション |
|---|---|
| そもそも古家付き土地とは何か知りたい | 古家付き土地とは |
| 解体せずに売る方法を知りたい | 更地にせず売る3つのルート |
| 契約で何を約束させられるか不安 | 古家付き土地の契約実務 |
| 値引きや引き渡し条件の決め方 | 解体費相当の値引きと引き渡し条件 |
| 解体したほうが得か迷っている | 解体して更地にする場合との損得 |
| 税金がどう変わるか知りたい | 古家付きのまま売ると税金はどうなるか |
| 買取で早く手放したい | 古家付き土地を買取で売る流れ |
古家付き土地とは
💡 この章の要点: 古家付き土地は、建物に値段を付けず土地として売る取引上の呼び方で、法令上の定義はありません。中古住宅として売るときは建物の状態が価格と責任の中心になりますが、古家付き土地では建物は「あるもの」として扱い、価格は土地で決まります。
「古家付き」という言葉は、広告や売買契約で「土地(現状古家あり)」のように使われます。 建物として売るのではなく、土地の付属物として引き渡す、という意思表示です。
同じ「家が建っている土地」でも、売り方によって位置づけが変わります。
| 項目 | 中古住宅として売る | 古家付き土地として売る | 更地にして売る |
|---|---|---|---|
| 価格の中心 | 建物と土地 | 土地のみ(建物は0円扱い) | 土地のみ |
| 建物の扱い | 住める前提で引き渡す | 現状のまま引き渡す | 売主が解体して引き渡す |
| 解体費の負担 | なし | 買主(値引きで調整) | 売主 |
| 建物の不具合の責任 | 争点になりやすい | 免責を交渉する | 発生しない |
| 固定資産税(土地) | 住宅用地特例あり | 住宅用地特例あり | 特例が外れる |
古家付きという扱いを選ぶ理由は、たいてい次のどれかです。
- 建物に値が付かない: 築年数が古く、リフォームして住む買主を想定しにくい
- 解体費を先に払いたくない: 売れるかどうか分からない段階で持ち出しを避けたい
- 建物の責任を負いたくない: 中古住宅として売ると、雨漏りやシロアリの責任を問われかねない
建物を0円扱いにするのだから、建物のことはもう気にしなくてよいはずだ、と考えたくなります。 そうならないところに、古家付き土地の売却の難しさがあります。
更地にせず売る3つのルート
💡 この章の要点: 古家付きのまま売るルートは、仲介で個人の買主を探す、買取業者に売る、買主が解体する特約を付けて売るの3つです。どれも解体費の先払いは不要ですが、買主が誰かによって、契約で認めてもらえる条件が変わります。
ルート1: 仲介で古家付き土地として売り出す
不動産会社に仲介を依頼し、「土地(現状古家あり)」として個人の買主を探す売り方です。 建て替え前提の買主が主な相手になります。
- 向く土地: 住宅需要のある立地で、建て替えれば住める土地
- 手取りの構造: 売却額から仲介手数料と、買主が求める解体費相当の値引きを引いたもの
- 注意点: 買主が個人だと、建物の責任を全部免除する特約は交渉次第になる(次章)
なお、価格が800万円以下の空き家等については、仲介手数料の上限を税込33万円まで請求できる特例があります(国土交通省・不動産取引に関するお知らせ)。 低額の古家付き土地では、手数料が売却額に対して大きく見えることがあります。
ルート2: 買取業者に古家付きのまま売る
不動産会社自身が買主になる売り方です。 業者は解体や再販を自分で段取りするため、建物が古いこと自体は取引の障害になりません。
- 向く土地: 地方や郊外で個人の買主が付きにくい土地、残置物が多い家、相続登記がまだの土地
- 手取りの構造: 買取価格そのもの(仲介手数料はかからないのが通例)
- 注意点: 買取価格は業者が解体費や再販リスクを織り込んで決めるため、複数社で比べる
買取と仲介の一般的な違いは空き家の買取と仲介どちらが得かにまとめています。
ルート3: 買主が解体する特約を付けて売る
古家付きのまま契約し、引き渡し後に買主が自分の費用で解体する、という条件を契約書に書く売り方です。 ルート1やルート2の中で使う条件であって、独立した売り先ではありません。
[売主] 古家付きのまま引き渡す
↓ 売買契約に「買主が引渡し後に建物を取り壊す」と明記
[買主] 引き渡し後に解体 → 滅失登記 → 建て替え・再販
このルートが効くのは、税の特例との関係です。 相続した空き家の3,000万円控除には、令和6年以後の譲渡から「買主側が譲渡翌年2月15日までに取り壊す」形でも要件を満たせる道が用意されました(国税庁 No.3306)。 詳しくは税金の章で扱います。
3ルートの比較
| 項目 | 仲介(古家付き) | 買取 | 買主解体の特約 |
|---|---|---|---|
| 買主 | 個人が中心 | 不動産業者 | どちらでも |
| 解体費の先払い | 不要 | 不要 | 不要 |
| 売却までの期間 | 買主が見つかるまで | 業者の査定と契約次第 | 元のルートに従う |
| 建物の責任免除 | 交渉次第 | 業者が買主なら認められやすい | 元のルートに従う |
| 主な用途 | 手取りを重視 | 早さと確実さを重視 | 3,000万円控除の要件充足 |
古家付き土地の契約実務
💡 この章の要点: 建物を0円扱いにしても、民法上の契約不適合責任は自動的には消えません。免責の特約は有効ですが、知りながら告げなかった事実は免責できない(民法572条)ため、知っている不具合は書面で告知します。買主が業者なら免責が通りやすく、個人なら交渉事項になります。
契約不適合責任とは何か
売買では、引き渡した物が契約の内容に合わない場合、買主は修補や代金の減額、損害賠償、契約の解除を求められます(民法562条、563条)。 2020年4月の民法改正前は「瑕疵担保責任」と呼ばれていた仕組みで、改正後は契約不適合責任と呼びます。
古家付き土地で問題になるのは、主に次の場面です。
- 建物: 引き渡し後に雨漏り、シロアリ、傾きが見つかった
- 土地: 地中から古い基礎、浄化槽、ガラなどの埋設物が出てきた
- 境界: 隣地との境界が契約時の説明と違っていた
建物を0円扱いにしても、「契約の内容に適合しているか」は契約書の書き方で決まります。 建物の状態について何も書かなければ、買主が「住める前提だった」と主張する余地が残ります。
免責の特約は有効だが、告げなかった事実は残る
売主が契約不適合責任を負わない旨の特約は、有効です。 ただし民法572条は、その特約をしても「知りながら告げなかった事実」については責任を免れないと定めています。 国土交通省の建物状況調査(インスペクション)活用の手引きも、この条文を売主側の注意点として挙げています。
したがって、古家付き土地の契約で売主がやることは2つに絞られます。
- 免責特約を入れる: 「建物および土地について売主は契約不適合責任を負わない」旨を契約書に明記する
- 知っていることを告知する: 雨漏り、シロアリ、埋設物、越境など、知っている事実を告知書に書く
告知は免責を弱めるものではなく、免責を守るための手続きです。 書かなかった事実があとで出てくると、免責特約そのものが効かなくなります。
買主が業者か個人かで変わること
免責が実際に通るかどうかは、買主が誰かで変わります。
| 項目 | 買主が不動産業者(買取) | 買主が個人(仲介) |
|---|---|---|
| 全部免責の特約 | 通ることが多い(業者は解体前提で買う) | 交渉次第。一部免責や期間限定になりやすい |
| 通知期間 | 特約で定める | 特約がなければ、買主が不適合を知った時から1年以内の通知(民法566条) |
| 宅建業法40条の規制 | 適用なし(売主が個人のため) | 適用なし(売主が個人のため) |
| 売主に残る責任 | 知りながら告げなかった事実(572条) | 同左 |
宅地建物取引業法40条は、業者が「自ら売主」になるときに、引き渡しから2年以上とする特約を除いて買主に不利な特約を禁じる規定です。 所有者が個人として古家付き土地を売る場面では、売主は業者ではないので、この規制は効きません。 「業者が相手なら2年は責任を負わされる」という理解は、方向が逆です。
現状有姿と免責は別のもの
「現状有姿で引き渡す」と書いてあれば免責されている、と読まれることがあります。 現状有姿は「手を入れずにそのまま渡す」という引き渡し方の約束で、不適合があったときに責任を負わないという約束まで含むとは限りません。 免責を望むなら、現状有姿の記載に頼らず、免責の条項を別に書いてもらうのが安全です。
個人の買主に免責を納得してもらう材料
買主が個人のとき、全部免責を受け入れてもらうには材料が要ります。
- 建物状況調査(インスペクション): 建築士が構造と雨漏りに関わる部分を調べる調査で、時間は1〜3時間程度、費用は6万円程度からが目安とされています(国土交通省の手引き)。仲介業者に調査実施者のあっせんを相談できます
- 解体前提の価格: 解体費相当を値引いたうえで「建物は解体を前提とし、その状態を問わない」と契約書に書く
古家付き土地では、2つめが実務の中心です。 建物を使わない買主に建物の保証を約束する意味は薄く、そのかわり値引きで釣り合いを取る、という整理になります。
解体費相当の値引きと引き渡し条件

💡 この章の要点: 買主は解体費を見込んで値引きを求めます。値引き額の根拠は買主側の解体見積もりなので、売主も自分で相見積もりを取っておくと交渉できます。引き渡し条件では、残置物の扱い、解体する場合の時期、滅失登記を誰がいつ申請するかを契約書に書きます。
値引きの考え方
古家付き土地の価格は、実務上は次のように組み立てられます。
古家付き土地の価格 ≒ 更地としての土地価格 − 買主が見込む解体費 − 買主が見込む手間とリスク
- 更地としての土地価格: 周辺の取引や公示地価から出す。調べ方は売却相場の調べ方
- 買主が見込む解体費: 買主側の見積もりが根拠になる。売主が自分でも見積もりを取れば、過大な値引きに反論できる
- 手間とリスク: 残置物、アスベスト調査、埋設物の可能性など。ここは買主の裁量が大きい
解体費の目安は空き家の解体費用2026で扱っています。 金額そのものより、「自分の土地で見積もりを取ったか」が交渉の土台になります。
引き渡し条件に書くこと
古家付き土地の契約書で、あとから揉めやすいのは次の項目です。
- 残置物: 家財を残したまま渡してよいか、売主が処分するか。買取では残置物込みで引き取る業者もいる
- 設備の停止: 電気、ガス、水道の解約を誰がいつ行うか
- 建物の状態: 「解体を前提とし、建物の状態は問わない」と明記するか
- 解体の時期: 買主が解体する特約なら、いつまでに取り壊すか(税の特例を狙うなら期限が決まる)
- 滅失登記: 建物を取り壊したら、滅失の日から1か月以内に建物滅失の登記を申請する義務があります(不動産登記法57条)。正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象になり得ます(同164条)
滅失登記の義務を負うのは、取り壊した時点の所有権の登記名義人です。 売主が解体してから引き渡すなら売主、引き渡し後に買主が解体するなら買主が申請します。 どちらのケースかを契約時にはっきりさせておきます。
固定資産税の日付をまたぐかどうか
解体の時期を決めるとき、1月1日が節目になります。 固定資産税の賦課期日は1月1日で(地方税法359条)、その日の状態でその年度の課税が決まるからです。
- 家が建っている: 住宅用地として、200平方メートル以下の部分は課税標準が6分の1、それを超える部分は3分の1になります(総務省)
- 更地になっている: この特例が外れ、土地の課税標準がそのままになります
解体の時期によって、売主の負担は次のように分かれます。
- 売主が年内に解体し、引き渡しが翌年にずれ込む: 更地としての固定資産税を売主が負担する年が生まれる
- 古家付きのまま年をまたぎ、引き渡し後に買主が解体する: この負担は売主に発生しない
解体して更地にする場合との損得

💡 この章の要点: 解体して売ると、更地としての価格で売り出せて解体費を譲渡費用にできる一方、解体費の先払いと固定資産税の増額、やり直しが利かないという負担があります。古家付きのままなら先払いはなく、住宅用地特例も続きますが、買主は解体費相当を値引きます。どちらが得かは立地で決まります。
「解体して売るか、現況で売るか」の総論は空き家は解体すべきか売却すべきかで扱っています。 ここでは、古家付き土地として売る場合に固有の差だけを並べます。
| 項目 | 古家付きのまま売る | 解体して更地で売る |
|---|---|---|
| 解体費 | 買主負担(価格に反映される) | 売主が先払い |
| 解体費の税務上の扱い | 売主の譲渡費用にはならない | 取壊し費用と建物の損失額が譲渡費用になる(国税庁 No.3255) |
| 土地の固定資産税 | 住宅用地特例が続く | 特例が外れる |
| 建物の契約不適合責任 | 免責の交渉が必要 | 建物がないので発生しない |
| 売り出しまでの期間 | すぐ売り出せる | 解体工事の期間が加わる |
| やり直し | 解体して売り直す余地が残る | 戻せない |
| 滅失登記 | 買主が解体するなら買主 | 売主 |
損得の判断式は、次のように書けます。
解体が得になる条件:
更地で売れる価格 − 古家付きで売れる価格
> 解体費 + 解体後に売れるまでの固定資産税増加分 − 解体費が譲渡費用になることによる税の減少分
- 左辺は、不動産会社に「更地ならいくらか」「古家付きならいくらか」の両方を聞けば概算できます
- 右辺は、解体業者の相見積もりと、税金の章の計算で出せます
「解体費が譲渡費用になるから解体が得」と言われることがあります。 譲渡費用になるのは、税率を掛ける前の所得が減るという意味であって、解体費がそのまま戻るわけではありません。
- 戻る割合: 長期譲渡の税率は所得税15%、住民税5%(復興特別所得税は所得税額の2.1%)なので(国税庁 No.3208)、解体費のうち税として戻るのは2割前後(課税される譲渡所得がある場合)
- 残り: 8割前後は、売却価格の上乗せで取り戻す必要がある
ここまで読むと、立地が良ければ解体、悪ければ古家付き、という結論に見えるかもしれません。 その見方は半分正しく、もう半分は税の特例が決めます。
古家付きのまま売ると税金はどうなるか
💡 この章の要点: 相続空き家の3,000万円特別控除は、古家付きのまま売っても、買主が譲渡翌年2月15日までに取り壊すか、譲渡時に耐震基準を満たすなら要件を満たせます。取得日は被相続人から引き継ぐため長期譲渡になりやすく、取得費が不明なら売却額の5%が取得費です。
3,000万円控除は古家付きでも狙える
相続した空き家を売ったときの3,000万円特別控除(国税庁 No.3306)は、家屋の扱いについて3つのパターンを認めています。
| パターン | 内容 | 古家付き売却との関係 |
|---|---|---|
| 売主が取り壊して敷地を売る | 家屋の全部を取り壊した後に敷地を譲渡 | 更地売却のルート |
| 耐震基準を満たして売る | 譲渡の時に一定の耐震基準を満たす | 古家付きでも可。ただし旧耐震の家を適合させる工事が要る |
| 譲渡後に買主側で取り壊す | 令和6年1月1日以後の譲渡で、譲渡の日の属する年の翌年2月15日までに取壊し(または耐震適合) | 古家付きのまま売る場合の現実的なルート |
3つめのパターンが、古家付き土地の売却と噛み合います。 売主は解体費を払わずに売り、買主が期限までに取り壊せば要件を満たせる、という形です。 そのためには、買主が期限内に解体することを契約で約束してもらい、取り壊した証拠(滅失登記の記録など)を確定申告で示せるようにしておきます。
控除の主な要件は次のとおりです。
- 昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること
- 相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること
- 売却代金が1億円以下であること
- 令和9年12月31日までの譲渡であること
- 相続人が3人以上の場合は控除額が2,000万円になること
被相続人が一人で住んでいたこと、相続から売却まで貸したり住んだりしていないことなど、細かい要件は空き家3,000万円特別控除の要件と失敗例で確認してください。 適用の可否は個別事情で変わるため、契約前に税理士か税務署に確認するのが安全です。
取得日と取得費は被相続人から引き継ぐ
相続で取得した土地建物は、被相続人が取得した日から所有していたものとして扱われます(国税庁 No.3270)。 親が何十年も住んだ家なら、譲渡した年の1月1日時点で所有期間5年超になり、長期譲渡の税率が適用されます。
- 取得費: 被相続人が買ったときの代金や手数料をもとに計算する
- 取得費が分からない場合: 売った金額の5%を取得費にできる。ただし相続人が払った登記費用などは取得費に含められない
譲渡所得の計算の全体像は空き家の譲渡所得税にまとめています。
低額の土地なら100万円控除の対象になることがある
都市計画区域内の低未利用土地等を個人が売る場合、所有期間5年超などの要件を満たすと、長期譲渡所得から100万円を控除できます(国税庁 No.3226)。 古家付き土地との関係で押さえる点は2つです。
- 金額判定は建物込み: 譲渡対価が500万円以下(市街化区域など一定区域内は800万円以下)かどうかを、土地の上にある建物等の対価を含めて判定します
- 800万円への引き上げ期間: 令和5年1月1日から令和10年12月31日までの譲渡が対象です(国土交通省・土地の譲渡に係る税制)
- 制度の適用期限: 令和8年度税制改正で3年延長され、2028年(令和10年)12月31日までの譲渡が対象です(財務省 令和8年度税制改正大綱)。国税庁タックスアンサーは令和7年4月1日現在の記述のため「令和7年12月31日まで」のままですが、延長後の期限が現行です
市区町村長の確認書が必要になる点や適用期限の最新情報は、空き地買取の記事で扱っています。
具体例: 築50年、地方、相続で取得した古家付き土地
💡 この章の要点: 解体見積もりを取ってから古家付きの査定を取り、解体せずに買取で売った架空の例です。解体費の先払いを避けたことと、引き渡し後に買主が解体する条件を契約に入れたことで、手取りと3,000万円控除の両方を守れました。金額はすべて設定値です。
数字だけでは判断しにくいので、例を一つ置きます。 架空の例ですが、地方の相続空き家でよくある経過です。金額はすべて説明のための設定値で、相場を示すものではありません。
- 物件: 地方都市郊外、木造2階建て、昭和50年築(築50年)、敷地180平方メートル
- 売主: 県外在住の長女。相続人は2人
- 経緯: 2月に母が死去。母は一人暮らしで、家財はそのまま
| 時期 | 出来事 |
|---|---|
| 2月 | 相続発生。電気だけ止める |
| 4月 | 遺産分割協議がまとまり、相続登記を申請 |
| 6月 | 地元の不動産会社に相談。「建物に値は付かない。古家付き土地なら更地価格から解体費分を引いた額」と説明を受ける |
| 7月 | 解体業者2社に見積もりを依頼。設定値で180万円と210万円 |
| 8月 | 更地なら500万円前後、古家付きなら300万円前後という仲介の査定。買取業者3社の査定は250万、270万、290万円 |
| 9月 | 290万円の買取業者と契約。残置物込み、契約不適合責任は全部免責、引き渡し後翌年2月15日までに買主が解体する特約 |
| 10月 | 決済。所有権移転 |
| 翌年1月 | 買主が解体、滅失登記 |
| 翌年2〜3月 | 確定申告。3,000万円控除を適用し、譲渡所得税は発生せず |
この例から拾える判断材料は3つです。
- 解体して更地で売ると、設定値では500万円から解体費180〜210万円を引いて290〜320万円。買取の290万円とほぼ同じで、しかも売主は先払いと売れ残りのリスクを負う
- 古家付きのまま仲介に出す300万円は、売れる保証のない売出し価格。県外から内見に立ち会う手間も含めると、買取との差は額面より小さい
- 買主解体の特約で3,000万円控除を確保できた。相続開始から3年を経過する日の属する年の年末という期限にも余裕があった
都市部の需要がある土地なら、この例とは逆に解体して更地で売るほうが有利になり得ます。 効くのは、解体を決める前に、古家付きのままの査定と解体見積もりの両方を手元に置くことです。
古家付き土地を買取で売る流れ
💡 この章の要点: 買取は「相続登記の確認、査定、現地調査、価格提示、条件調整、契約、決済」の順に進みます。亡くなった親の名義のままでは決済できないため、相続登記が先です。条件調整では免責、残置物、解体の時期と滅失登記の担当を決めます。
手順
[1] 相続登記の確認
被相続人名義のままなら、相続登記を済ませる(業者が司法書士を紹介することも多い)
↓
[2] 査定依頼
所在地、築年、面積、残置物の有無、境界の状況を伝える
↓
[3] 現地調査
建物の状態、接道、境界標、残置物の量、埋設物の可能性を確認
↓
[4] 買取価格の提示
更地価格から解体費・残置物処分費・リスクを引いた額
↓
[5] 条件調整
免責の範囲、残置物、引き渡し時期、買主解体の特約と期限、滅失登記の担当
↓
[6] 売買契約
↓
[7] 決済・所有権移転
相続登記は決済の前提
亡くなった親の名義のままでは所有権を移せないため、相続登記が済んでいるかを最初に確認します(法務省・相続登記の申請義務化Q&A)。
- 義務化と期限: 2024年4月1日から義務化され、相続で取得したと知った日から3年以内に申請しないと、正当な理由がない場合は10万円以下の過料の対象になり得る
- 相続人申告登記では売れない: 相続人の1人が単独で申し出て義務だけ果たす方法もあるが、売却には相続登記そのものが必要
- 買取業者の段取り: 未了でも査定は進められ、司法書士を紹介してもらえることが多い
詳しくは相続登記の義務化にまとめています。
買取業者を選ぶときの確認点
古家付き土地を買取に出すときは、次の点を各社に聞いておくと比較しやすくなります。
- 残置物: そのままで引き取れるか、処分費は査定に含まれているか
- 免責: 建物と土地の契約不適合責任を全部免責にできるか
- 解体の時期: 3,000万円控除を狙う場合、譲渡翌年2月15日までの解体を契約に書けるか
- 相続登記: 未了でも査定を進められるか、司法書士を紹介できるか
- 他社の提示額: 相見積もりの結果を伝えたときの反応
業者の見極め方は空き家買取業者の選び方、対応業者の一覧は空き家買取業者おすすめを参照してください。
古家付き土地の売却でよくある質問
- 古家付き土地と中古住宅は、何が違いますか?
A. 建物に値段を付けるかどうかの違いです。法令上の定義があるわけではなく、広告や契約での扱い方の違いです。
- 中古住宅: 建物を住める前提で売り、建物の状態が価格と責任の中心になる
- 古家付き土地: 建物を0円扱いにして土地として売り、買主は解体か大規模な改修を前提に買う
- 更地にしないと売れないと言われました。本当ですか?
A. 更地にする義務はありません。古家付きのまま売るルートは3つあります。
- 仲介で「土地(現状古家あり)」として売り出す
- 買取業者に古家付きのまま売る
- 買主が引き渡し後に解体する特約を付けて売る
ただし、立地によっては更地のほうが買主の幅が広がり、解体費を上回る価格差が付くことはあります。解体を決める前に、古家付きのままの査定額と解体見積もりの両方を取って比べてください。
- 建物を0円で売るなら、建物の責任は負わなくてよいですか?
A. 自動的には免除されません。契約不適合責任を負わない旨の特約を契約書に入れる必要があります。
- 特約を入れても残る責任: 「知りながら告げなかった事実」については責任が残る(民法572条)
- やること: 雨漏り、シロアリ、埋設物など知っている事実を告知書に書いたうえで、免責特約を付ける
- 買主による違い: 業者なら全部免責が通りやすく、個人なら交渉事項になる
- 解体費を譲渡費用にできると聞きました。古家付きで売っても使えますか?
A. 使えません。譲渡費用になるのは、土地を売るために売主がその上の建物を取り壊したときの取壊し費用と建物の損失額です(国税庁 No.3255)。
- 買主が解体する場合: 売主に解体費は発生しないので譲渡費用もない
- そのかわり: 売主は先払いを避けられ、価格には解体費相当の値引きとして反映される
- 古家付きのまま売っても、相続空き家の3,000万円控除は使えますか?
A. 令和6年1月1日以後の譲渡なら、譲渡の日の属する年の翌年2月15日までに買主側が建物を取り壊す(または耐震基準に適合させる)形で要件を満たせます(国税庁 No.3306)。
- 契約でやること: 解体の期限を契約書に書き、取り壊した証拠を残してもらう
- 他の要件: 建築時期や売却期限などもあるため、契約前に税理士か税務署に確認する
- 解体してから売ると、固定資産税はどう変わりますか?
A. 1月1日時点で建物がないと、その年度は住宅用地特例が外れ、土地の固定資産税が上がります(地方税法359条)。
- 特例の内容: 200平方メートル以下の部分は課税標準6分の1、それを超える部分は3分の1(総務省)
- 避け方: 古家付きのまま年を越し、引き渡し後に買主が解体すれば、売主にこの負担は生じない
- 建物があっても外れる場合: 管理不全空家(令和5年12月13日施行の改正空家法で追加)や特定空家として勧告を受けると特例は外れる(国土交通省・空家法とは、改正法の施行日)
- 家財が残ったままでも古家付き土地として売れますか?
A. 売れます。ただし、買主によって扱いが変わります。
- 仲介で個人に売る: 残置物の処分を売主が求められることが多い
- 買取業者に売る: 残置物込みで引き取るところがある
契約書に残置物の扱いを明記しておけば、引き渡し後に「片付けが終わっていない」と揉めることを防げます。
解体を決める前に、古家付きのままの価格を知っておく
古家付き土地の売却では「相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までの譲渡」という期限のある特例が関わります。 解体するかどうかを決める前でも、いま無料査定を取っておくだけで、更地にする場合との比較ができます。
まとめ|古家付き土地は「契約の3点」で手取りが決まる
冒頭の場面に戻ります。 「古家付き土地として出しましょう」と言われたとき、建物のことはもう気にしなくてよい、という期待は半分だけ当たっています。 解体費の先払いは要らず、住宅用地特例も続き、3,000万円控除も買主解体の特約で狙えます。
外れる半分は、契約です。 免責特約と告知、解体費相当の値引きの根拠、解体の時期と滅失登記の担当。この3点を契約書に書けるかどうかで、同じ土地でも結果が変わります。
- 免責: 契約不適合責任の免責特約を入れ、知っている事実は告知する
- 値引き: 自分でも解体見積もりを取り、買主の値引き根拠と突き合わせる
- 引き渡し条件: 残置物、解体の期限、滅失登記の担当を明記する
解体するかどうかは、この3点を整えたうえで、古家付きのままの査定額と解体見積もりを並べてから決めれば間に合います。 どちらを選ぶにしても、数字を先に集めた人ほど後悔が少ないのは、この記事で扱ったどの論点にも共通しています。
まずは「古家付きのまま」の無料査定を
解体するか迷っている段階でも大丈夫です。状況を伝えるだけで、買取可否と概算金額がわかります。査定・相談はすべて無料で、しつこい営業はありません。
- 査定も相談も無料。売ると決める前の段階でも、買取可否と概算金額が分かります
- 現状渡しでOK。片付けも解体も不要で、撤去・解体費は運営側の負担です
- 仲介手数料0円。契約から決済まで最短数日で、遠方からでも手続きを進められます
- 弁護士・税理士・司法書士の3士業と連携。再建築不可、共有持分、相続未登記、事故物件も相談できます
しつこい営業はありません。秘密厳守で対応します。





