空き家の買取相場|仲介の7〜8割になる理由と概算3ステップ
査定書に書かれた金額が高いのか安いのか、比べる相手がいないと判断できません。 空き家の買取価格には定価がなく、同じ家でも業者によって数百万円の差がつきます。それでも、値段の作られ方には共通の型があります。
先に結論を3点にまとめます。
- 買取価格の目安は、仲介で売れると想定される価格の7〜8割です。ただしこれは平均的な物件の話で、条件次第で5割まで落ちることも、9割に近づくこともあります。
- 7〜8割という数字は、業者の取り分ではなく引き算の結果です。買取業者は買った空き家を再生して売り直すため、再販価格から工事費や販売経費や在庫リスクを引いた残りが提示額になります。何がいくら引かれているのかが分かれば、査定額の妥当性を自分で判定できます。
- 自分の空き家の概算は、仲介想定価格を調べて掛け目を当てるだけで出せます。路線価と取引事例から仲介想定価格を組み立て、物件の状態で掛け目を選び、解体や残置物の費用を差し引く。この3ステップで、査定を受ける前に自分の期待値を持てます。
まずは無料査定で「いま売るといくらか」を把握するところから始めましょう。
空き家買取 状況別ガイド
| あなたの状況 | 読むべきセクション |
|---|---|
| 相場の水準だけ知りたい | 空き家の買取相場は仲介想定価格の7〜8割 |
| 査定額が安い気がする | 買取価格が仲介より下がる理由 |
| 自分の家でいくらか計算したい | 空き家の買取相場を自分で概算する3ステップ |
| 訳あり物件を持っている | 掛け目が下がる空き家と下がらない空き家 |
| 地方の空き家で売れるか不安 | 買取相場の地域差は再販先があるかで決まる |
| 提示額を信じていいか迷う | 相場より安い査定を見抜く4つの確認点 |
空き家の買取相場は仲介想定価格の7〜8割

💡 要点: 買取相場は「仲介で売れたはずの価格 × 0.7〜0.8」が基準。訳あり条件が重なると0.5前後まで下がり、立地が良く再販しやすい物件は0.9近くまで上がる。
空き家の買取価格に、坪単価のような全国共通の目安はありません。 価格を決めているのは建物ではなく、その空き家を買い取った業者が 次にいくらで売れるか だからです。
そのため相場は、仲介で市場に出した場合の想定価格を基準にした掛け目で語られます。
| 物件の状態 | 掛け目の目安 | 仲介想定1,000万円のときの買取価格 |
|---|---|---|
| 立地が良く、そのまま再販できる | 0.8〜0.9 | 800〜900万円 |
| 一般的な築古戸建て(要リフォーム) | 0.7〜0.8 | 700〜800万円 |
| 大規模な修繕か解体が必要 | 0.6〜0.7 | 600〜700万円 |
| 再建築不可や権利関係に難あり | 0.4〜0.6 | 400〜600万円 |
同じ「7〜8割」でも、1,000万円の物件では200〜300万円、300万円の物件では60〜90万円の差です。 金額の大きい物件ほど掛け目の1割が効くため、都市部の空き家では仲介との比較を丁寧にやる価値があります。逆に地方の低額物件では、掛け目の差より「買い手が見つかるかどうか」のほうが結果を左右します。
買取価格が仲介より下がる理由
掛け目の数字を覚えても、査定額が安く見えたときには使えません。 使えるようにするには、業者が何を引いているかを知る必要があります。
買取業者の提示額は、次の引き算で組み立てられています。
買取価格 = 再販見込み価格 −(再生費用 + 販売経費 + 在庫リスクと利益)
- 再販見込み価格: リフォームまたは解体したうえで、買い手に売れると業者が見込む価格
- 再生費用: 残置物の撤去、水回りや屋根の修繕、必要なら解体。木造30坪の解体なら90〜150万円が目安です
- 販売経費: 登記費用、不動産取得税、保有中の固定資産税、再販時の広告費や仲介手数料
- 在庫リスクと利益: 買い取ったあと売れない期間のコストと、事業として必要な利幅
引かれているものの大半は、実費です。 残置物が積まれた家なら撤去費が、雨漏りが進んだ家なら屋根の工事費が、そのまま提示額から差し引かれます。だから同じ立地の空き家でも、片付いている家とそうでない家では査定額が変わります。
査定額に納得がいかないときに確認すべきなのは、掛け目そのものではなく どの費用をいくら見込んだか です。ここを説明できる業者と、「相場ですので」で終える業者では、交渉の余地がまるで違います。
空き家の買取相場を自分で概算する3ステップ
査定を受ける前に、自分の期待値を持っておくと判断が速くなります。 手順は3つです。
ステップ1 仲介想定価格を組み立てる
基準になるのは、仲介で市場に出したときに売れるであろう価格です。 無料で確認できる材料が2つあります。
- 相続税路線価(国税庁): 道路に付けられた1平方メートルあたりの評価額。公示地価のおおむね8割の水準に設定されているため、路線価 ÷ 0.8 で公示地価に近い水準に戻せます
- 不動産取引価格情報検索(国土交通省): 実際に成立した取引の価格を、地域と時期で絞って確認できます
土地の評価額に建物の残存価値を足しますが、築30年を超えた木造住宅は建物価格がほぼゼロで評価されることが多く、実務上は土地値が出発点になります。 調べ方の詳細は空き家の売却相場で解説しています。
ステップ2 状態に応じた掛け目を当てる
前掲の表から、自分の空き家に近い行を選びます。 迷ったら、買い手が「買ってすぐ住めるか」で判断してください。住めるなら0.8前後、住めないが直せば住めるなら0.7前後、直すより壊すほうが早いなら0.6以下が目安になります。
ステップ3 一括で発生する費用を差し引く
解体が前提になる物件と、残置物が大量にある物件では、その費用が提示額から引かれます。 掛け目に織り込み済みのこともあるため、二重に引かないよう、査定時に内訳を聞いて確認します。
試算例1: 地方都市の木造築45年
土地30坪で路線価から見た仲介想定価格が800万円。建物は住めない状態だが解体までは不要。 掛け目0.7を当てて、800万円 × 0.7 = 560万円前後 が概算になります。
試算例2: 再建築不可で残置物が大量にある
仲介想定価格が400万円。接道義務を満たさず建て替えができない。 掛け目0.5を当てて400万円 × 0.5 = 200万円。ここから残置物撤去30万円が引かれ、170万円前後 が概算になります。
いずれも試算であり、実際の提示額は現地を見てから決まります。ただし概算と査定額が2倍以上離れているなら、その理由を業者に聞く根拠にはなります。
掛け目が下がる空き家と下がらない空き家
同じ築年数でも、掛け目には差がつきます。 分かれ目は、業者が再販するときに買い手を選ぶことになるかどうかです。
掛け目が下がりやすい条件
- 再建築不可: 建て替えができないため買い手が現金購入者に限られ、住宅ローンも通りにくくなります
- 接道が狭い、または前面道路に接していない: 工事車両が入らず、解体費も修繕費も割高になります
- 境界が未確定: 測量と隣地との立会いが必要になり、その費用と時間が価格に反映されます
- 共有名義や相続登記が未了: 全員の同意が取れないと取引が進まず、業者はリスクを見込みます
- 傾斜地や擁壁がある: 擁壁の改修費は数百万円になることがあります
掛け目が下がりにくい条件
- 駅や生活圏に近い: 再販の買い手が広く、業者が在庫リスクを低く見積もれます
- 土地の形が整っている: 分割や再建築の自由度が高く、使い道が複数あります
- 残置物が片付いている: 撤去費が発生せず、その分が引かれません
- 書類が揃っている: 登記事項証明書、測量図、建物図面が揃っていると調査コストが下がります
このうち、売主が短期間で動かせるのは残置物と書類です。 撤去費を自分で払うほうが得かどうかは金額次第ですが、書類を揃えておくのは費用がかからず、査定を早める効果があります。
買取相場の地域差は再販先があるかで決まる
地方の空き家は買い取ってもらえないのではないか、という不安をよく聞きます。 実際には、地域差は価格水準の差であって、買取可否の差とは別の話です。
- 都市部: 土地値が高く、掛け目も0.8前後を保ちやすい傾向があります。建物は解体前提でも土地の再販先があるためです
- 地方都市や県庁所在地: 生活圏の内側かどうかで差が出ます。学校やスーパーが徒歩圏なら、築古でも実需の買い手が見込めます
- 過疎地や山間部: 土地値が小さいため、解体費が価格に対して重くなります。ここでは価格の交渉より、現況のまま引き取れる業者かどうかが分かれ目になります
地域ごとの傾向と業者の探し方は空き家買取とはにまとめており、そこから都道府県別のページへも進めます。
相場より安い査定を見抜く4つの確認点

金額の高低だけでは、良い査定かどうかは判断できません。 見るべきなのは、金額に理由が付いているかどうかです。
- 査定額の内訳を出せるか: 再販見込み価格と、引いた費用の項目を説明できるか。「相場です」で終わる業者は比較対象から外して構いません
- 複数社に当たったか: 2社では高いほうが正しいのか安いほうが妥当なのか判断できません。3社以上に当てると、中央の水準が見えてきます
- 契約を急がせていないか: 「今日中なら」「この金額は本日限り」と期限を切る提示は、比較させないための手法であることがあります
- 契約後に減額される条件が書かれていないか: 契約書に価格の見直し条項があると、決済直前に減額されることがあります。減額の条件と上限を、契約前に文書で確認します
査定額の根拠と、契約後に金額が動く条件。この2つを聞けば、金額の妥当性はかなりの精度で判定できます。
空き家の買取相場でよくある質問
- 空き家の買取相場は仲介の何割ですか?
- A. 一般的な物件で7〜8割が目安です。再建築不可や権利関係に問題がある物件では5割前後まで下がることがあり、逆に立地が良く再販しやすい物件では9割近くになることもあります。
- 築50年を超えた空き家でも値段は付きますか?
- A. 建物の価値がゼロでも、土地に値段が付けば買取は成立します。築年数より、接道条件と再建築の可否のほうが金額への影響は大きくなります。
- 解体してから売ったほうが高くなりますか?
- A. 更地のほうが売りやすい土地はありますが、解体費(木造30坪で90〜150万円が目安)を自己負担しても、その分だけ価格が上がるとは限りません。解体せず現況で買い取る業者があるなら、両方の見積もりを比べてから決めるのが安全です。判断材料は解体費用の相場にまとめています。
- 査定額はどれくらい交渉できますか?
- A. 内訳が示されている査定なら、前提を訂正することで動く余地があります。残置物を自分で撤去する、境界確定の資料を用意するなど、業者が見込んだ費用を減らす方向の交渉が現実的です。
- 買取相場と手取り額は同じですか?
- A. 違います。買取では仲介手数料が原則かからない一方、譲渡所得税が発生することがあります。手取りでの比較は買取と仲介どちらが得かを参照してください。
- 相場より高く買い取ってもらう方法はありますか?
- A. 再販先を多く持つ業者ほど、同じ物件を高く評価できます。地域に強い業者と全国対応の業者の両方に当てて、再販の想定を聞き比べるのが有効です。 空き家の買取相場は、仲介想定価格の7〜8割が目安です。 その掛け目は業者の取り分ではなく、再販価格から再生費用と販売経費と在庫リスクを引いた結果として出てきます。だから、査定額を判断する材料は「何割か」ではなく「何をいくら引いたか」になります。 路線価と取引事例から仲介想定価格を組み立て、状態に応じた掛け目を当て、解体や撤去の費用を差し引く。この3ステップで自分なりの概算を持ってから査定を受ければ、提示された金額を比べる基準ができます。 概算はあくまで机上の数字です。実際にいくらで手放せるかは、現地を見た査定でしか決まりません。





