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空き家買取 - 空き家の買取相場と売却相場|仲介の7〜8割の根拠・調べ方・速算式【2026】
空き家買取

空き家の買取相場と売却相場|仲介の7〜8割の根拠・調べ方・速算式【2026】

査定書に書かれた金額が高いのか安いのか、比べる相手がいないと判断できません。 空き家の価格には定価がなく、同じ家でも業者によって数百万円の差がつきます。それでも、値段の作られ方には共通の型があります。

先に結論を3点にまとめます。

  • 買取相場の目安は、売却相場の7〜8割売却相場とは仲介で市場に出したときに売れると想定される価格で、立地や築年といった物件の条件で決まる。その売却相場に掛け目を当てたものが買取相場。平均的な物件で7〜8割、条件次第で5割前後まで落ちることも、9割に近づくこともある
  • 7〜8割は業者の取り分ではなく引き算の結果。再販価格から工事費・販売経費・在庫リスクを引いた残りが提示額になる。何がいくら引かれているかが分かれば、査定額の妥当性を自分で判定できる
  • 売却相場も買取相場も自分で概算できる。国の無料公開データと手元の課税明細書で売却相場を組み立て、状態に応じた掛け目を当て、解体や残置物の費用を引く。この3ステップで、査定を受ける前に期待値を持てる

この記事では、掛け目の根拠の分解から、相場が決まる要因、自分で調べる方法と速算式、エリア別の目安、築45年の相続空き家を売るまでのモデルケース、費用と税金、安い査定の見抜き方までを順に追います。 読み終わる頃には、査定書を受け取ったときに「この金額は妥当か」を自分の数字で確かめられるようになっているはずです。

空き家買取 状況別ガイド

あなたの状況 読むべきセクション
相場の水準だけ知りたい 空き家の買取相場は売却相場の7〜8割
査定額が安い気がする 買取価格が仲介より下がる理由
そもそも相場が何で決まるか知りたい 空き家の売却相場が決まる5つの要因
自分で相場を調べたい 空き家の相場を自分で調べる4つの方法
自分の家でいくらか計算したい 自分で概算する3ステップ
自分の地域の目安を知りたい エリア別に見る買取相場の目安
実際の進み方と金額の動きを見たい 築45年・相続空き家のモデルケース
訳あり物件を持っている 相場を押し下げる条件と掛け目が下がる空き家
手取りがいくら残るか知りたい 買取にかかる費用と税金
提示額を信じていいか迷う 相場より安い査定を見抜く4つの確認点

空き家の買取相場は売却相場の7〜8割

空き家の買取相場は仲介想定価格の7〜8割のイメージ

💡 この章の要点: 買取相場は「売却相場(仲介で売れたはずの価格)× 0.7〜0.8」が基準。訳あり条件が重なると0.5前後まで下がり、立地が良く再販しやすい物件は0.9近くまで上がる。掛け目のレンジは市場の目安であり、公的な統計ではない。

空き家の買取価格に、坪単価のような全国共通の目安はありません。 価格を決めているのは建物ではなく、その空き家を買い取った業者が 次にいくらで売れるか だからです。

そのため買取相場は、仲介で市場に出した場合の想定価格(この記事では売却相場、または仲介想定価格と呼びます)を基準にした掛け目で語られます。

物件の状態 掛け目の目安 売却相場1,000万円のときの買取価格
立地が良く、そのまま再販できる 0.8〜0.9 800〜900万円
一般的な築古戸建て(要リフォーム) 0.7〜0.8 700〜800万円
大規模な修繕か解体が必要 0.6〜0.7 600〜700万円
再建築不可や権利関係に難あり 0.4〜0.6 400〜600万円

この掛け目は業界で広く使われる目安のレンジで、公的な統計ではありません。 それでも、自分の物件がどの行に当たるかを先に押さえておくだけで、査定額の第一印象は変わります。

「売却相場」と「買取相場」は別の数字

検索すると両方の言葉が出てきますが、指しているものは違います。

言葉 意味 誰が決めるか
売却相場(仲介想定価格) 仲介で買主を探したとき、成約が見込める価格 市場(近隣の成約事例)
買取相場 買取業者が自ら買い取る価格の水準。売却相場の7〜8割 業者の再販計画と費用見積もり
仲介の査定額 「この価格で売り出せば売れそう」という見込み。成約は保証されない 仲介会社
買取の査定額 業者自身が買う価格の提示。原則そのまま契約額になる 買取業者

売却相場が土台で、買取相場はその上に載る数字です。 だから買取相場を知るには、先に売却相場の決まり方と調べ方を押さえる必要があります。

同じ「7〜8割」でも金額の重みが違う

  • 売却相場1,000万円の物件: 掛け目0.1の差が100万円。仲介との比較や業者間の比較を丁寧にやる価値がある
  • 売却相場300万円の物件: 掛け目0.1の差は30万円。掛け目の差より「そもそも買い手が見つかるか」が結果を左右する

買取相場を押し上げている背景

売り手には不利な話ばかりに見えますが、市場全体では買取の受け皿は広がっています。

  • 空き家は全国で約900万戸: 総務省統計局の令和5年住宅・土地統計調査によると、2023年10月時点の空き家は900万2千戸で過去最多。空き家率は13.8%
  • 賃貸・売却用でも別荘でもない空き家が385万戸: 使い道が決まっていない空き家が5年前より37万戸増えた。この層が買取業者の主な仕入れ対象になっている
  • 再生ノウハウの蓄積: 築古住宅を改修して再販する事業モデルが定着し、以前なら値段がつかなかった物件にも買い手側の受け皿ができつつある

つまり「古いから売れない」と「買取価格が安い」は別の話です。 値段の水準は掛け目で決まり、売れるかどうかは再販先の有無で決まります。

買取価格が仲介より下がる理由 — 提示額は引き算で決まる

💡 この章の要点: 買取価格は「再販見込み価格 −(再生費用+販売経費+在庫リスクと利益)」の引き算で決まる。引かれているものの大半は実費。だから査定額の交渉は「何割か」ではなく「どの費用をいくら見込んだか」を確認するところから始まる。

掛け目の数字を覚えても、査定額が安く見えたときには使えません。 使えるようにするには、業者が何を引いているかを知る必要があります。

買取業者の提示額は、次の引き算で組み立てられています。

買取価格 = 再販見込み価格 −(再生費用 + 販売経費 + 在庫リスクと利益)

例: 再販見込み900万円の空き家
  再生費用       −180万円(残置物撤去・水回り改修・クリーニング)
  販売経費       − 80万円(登記・税・広告・再販時の仲介手数料)
  在庫リスクと利益 −140万円
  ─────────────────────
  買取価格       = 500万円(売却相場700万円なら掛け目0.71)

数字は説明用の架空の例ですが、構造は実際の査定と同じです。 それぞれの項目の中身を見ていきます。

引かれている4つの項目

  • 再販見込み価格: リフォームまたは解体したうえで、次の買い手に売れると業者が見込む価格。業者の再販網によって差が出る、査定額のいちばん上流
  • 再生費用: 残置物の撤去、水回りや屋根の修繕、必要なら解体。木造30坪の解体なら90〜150万円が目安(市場の目安であり物件と地域で変わる)
  • 販売経費: 買取時の登記費用と不動産取得税、保有中の固定資産税、再販時の広告費や仲介手数料
  • 在庫リスクと利益: 買い取ったあと売れない期間のコストと、事業として必要な利幅。売れにくい立地ほどこの項目が膨らむ

「実費」と「リスク」を分けて見る

引かれる項目は、性質の違う2種類に分かれます。

種類 該当する項目 売主側で動かせるか
実費 残置物撤去・修繕・解体・登記・税金 一部動かせる(残置物を自分で片付ける等)
リスクと利益 在庫期間のコスト・事業利益 業者の再販力次第。複数社比較で差が見える

残置物が積まれた家なら撤去費が、雨漏りが進んだ家なら屋根の工事費が、そのまま提示額から差し引かれます。 だから同じ立地の空き家でも、片付いている家とそうでない家では査定額が変わります。

一方、在庫リスクと利益は業者ごとの事情で決まります。 再販先を多く持つ業者ほどこの部分を小さく見積もれるため、同じ物件でも提示額に差がつきます。実費は交渉で削れませんが、リスク部分は業者を替えれば変わる。この区別が、あとの相見積もりの話につながります。

査定額に納得がいかないときに確認すべきなのは、掛け目そのものではなく どの費用をいくら見込んだか です。 ここを説明できる業者と、「相場ですので」で終える業者では、交渉の余地がまるで違います。

空き家の売却相場が決まる5つの要因

💡 この章の要点: 売却相場を動かすのは立地築年と構造接道と再建築可否、周辺の取引量、市況の5つ。同じ間取りの家でも、立地と接道の違いだけで数倍の差がつくため、「空き家の全国平均いくら」という答えには意味がない。

引き算の上流にある再販見込み価格は、業者が勝手に決めている数字ではありません。 その土台になる売却相場は、立地、築年と構造、接道と再建築可否、周辺の取引量、市況の5つでほぼ決まります。このうち売主が選べるのは、市況を見て「いつ売るか」だけです。

要因1: 立地

買主が最初に絞り込む条件が立地で、効き方もいちばん大きくなります。 中古住宅の検索サイトでは「駅徒歩」が主要な絞り込み条件になっており、徒歩圏から外れると検索結果に表示される機会そのものが減ります。

立地の要素 評価が上がる条件 評価が下がる条件
最寄り駅 徒歩10分以内 バス便のみ
生活利便 徒歩圏にスーパーや病院 車がないと生活できない
都市計画 市街化区域内 市街化調整区域
周辺環境 住宅地として整った街区 空き家が目立つエリア

要因2: 築年と構造

建物の値段は、構造ごとに減っていく速さが違います。 目安になるのが、税務上の減価償却で使われる法定耐用年数です(国税庁の主な減価償却資産の耐用年数表)。

構造(住宅用) 法定耐用年数 市場での扱われ方
木造 22年 築20年超は建物価格がつきにくい
鉄骨造 骨格材の厚さで異なる 木造と鉄筋コンクリートの中間
鉄筋コンクリート造 47年 築古でも建物価格が残りやすい
  • 耐用年数は税務上の数字: 実際に住めなくなる年数ではない
  • それでも市場は引きずられる: 築年の古い木造空き家は「土地の価格から解体費を引いた額」を基準に査定されることが多い

要因3: 接道と再建築可否

建築基準法の接道義務を満たさない土地は、建物を取り壊すと新築できません。 いわゆる再建築不可です。

  • 再建築可の整形地: 買主は住宅ローンを使う実需層から投資家まで幅広い
  • 旗竿地(路地状敷地): 建て替えはできるが、日当たりや工事のしにくさで敬遠されやすい
  • 再建築不可・無道路地: 買主が現金購入者や専門業者、隣地所有者に絞られる

買主の層が狭まるほど売却相場は下がり、「次の買主が建て替えられるか」が価格の分かれ目になります。

要因4: 周辺の取引量

同じ県内でも、年間に何十件も取引がある地域と、数年に1件しか売れない地域があります。

  • 取引が多い地域: 相場が形成されており、仲介でも買主を探しやすい
  • 取引が少ない地域: 比較対象がなく値付けが難しい。仲介では長期化しやすく、買取業者の再販網が頼りになる

要因5: 市況

  • 住宅ローン金利: 金利が上がると買主が借りられる額が減り、価格に下押し圧力がかかる
  • 人口動態: 世帯数が減る地域では、時間の経過とともに買主の絶対数が減る
  • 建築コスト: 新築が高くなると、中古住宅への需要が相対的に強まる

市況は個人ではどうにもできないため、変えられない前提として織り込み、「いつ売るか」の判断材料にします。

空き家の相場を自分で調べる4つの方法

💡 この章の要点: 国の公開データ2つ(不動産情報ライブラリレインズ・マーケット・インフォメーション)で近隣の成約事例を見て、手元の書類2つ(固定資産税の課税明細書路線価)で自分の土地の評価額を実勢水準に引き直す。割り戻しに使う0.7と0.8は国が公表している評価水準で、経験則ではない。

5つの要因が分かっても、自分の家の数字にはなりません。 数字にするための道具は4つあり、どれも無料です。

方法 分かること 分からないこと
不動産情報ライブラリ 近隣の実際の取引価格 個別の物件がどれか(地区単位で匿名化)
レインズ・マーケット・インフォメーション 戸建て成約価格の傾向 詳細な所在地(おおまかな表示)
固定資産税の課税明細書からの逆算 自分の土地の評価水準 建物の市場価格、実勢との乖離幅
路線価からの逆算 自分の土地の評価水準 同上

方法1: 不動産情報ライブラリで近隣の成約事例を見る

不動産情報ライブラリは、国土交通省が運営する不動産データの総合サイトです。 取引当事者へのアンケートで集めた実際の取引価格と、地価公示などの公的価格を地図上でまとめて見られます。

不動産情報ライブラリの使い方
[1] トップページで「地図から探す」を選ぶ
[2] 自分の空き家がある市区町村まで地図を拡大
[3] 表示項目で「不動産価格(取引価格・成約価格)」を選ぶ
[4] 種類を「宅地(土地と建物)」、時期を直近2年程度に絞る
[5] 近隣の取引事例が地図上に表示される
      → 面積・築年・価格をメモ(5〜10件)
  • 条件をそろえる: 駅距離、土地面積、築年が近い事例だけを拾う
  • 外れ値を捨てる: 極端に高い、安い事例は事情があるものとして除く
  • 中央値で見る: 5〜10件並べて真ん中あたりを相場観の起点にする

方法2: レインズ・マーケット・インフォメーションで成約価格を見る

レインズは、国土交通大臣が指定した不動産流通機構が運営する、不動産会社間の物件情報ネットワークです。 その成約データの一部を一般向けに公開しているのがレインズ・マーケット・インフォメーションで、レインズの公式サイトからリンクされています。

レインズ・マーケット・インフォメーションの使い方
[1] トップで「戸建」を選ぶ
[2] 都道府県と地域を選んで検索
[3] 成約価格・土地面積・建物面積・築年・成約時期の一覧が出る
[4] 追加の絞り込みで築年帯を自分の物件に近づける
  • 不動産情報ライブラリとの違い: レインズは不動産会社が仲介した成約の登録データで、戸建てとマンションが対象。ライブラリは取引当事者へのアンケートが中心で、土地だけの取引も載る
  • 使い分け: 両方に近い事例があれば精度が上がり、片方にしかなければそれを使う

方法3: 固定資産税の課税明細書から逆算する

毎年4〜6月頃に届く固定資産税の納税通知書には、課税明細書が同封されています。 そこに載っている土地の価格(評価額)が、逆算の材料です。

課税明細書からの逆算手順
[1] 納税通知書に同封の「課税明細書」を開く
[2] 土地の行の「価格」または「評価額」欄の金額を確認
      ※「課税標準額」欄は使わない
[3] その金額を 0.7 で割る
      → 公示地価水準の土地価格の目安

ここで一つ、多くの人がつまずく罠があります。 課税明細書には「価格(評価額)」と「課税標準額」が並んでいますが、使うのは 価格(評価額) のほうです。

  • 価格(評価額): 土地そのものの評価。逆算にはこちらを使う
  • 課税標準額: 税額計算用に圧縮された数字。住宅が建つ土地(200㎡以下の部分)は特例で評価額の6分の1まで下がる(総務省の固定資産税の概要)

課税標準額を0.7で割ると、実勢の数分の1という大外れの数字が出てしまいます。

方法4: 路線価から逆算する

路線価は、相続税や贈与税の計算に使う道路ごとの土地単価で、国税庁が毎年7月に公表します。 国税庁の路線価図で誰でも見られます。

路線価からの逆算手順
[1] 路線価図で自分の土地が接する道路の数字を読む
      例: 「50D」→ 1㎡あたり50千円 = 5万円
[2] 路線価(円/㎡) × 土地面積(㎡) を計算
[3] その金額を 0.8 で割る
      → 公示地価水準の土地価格の目安

路線価図を開いても、自分の土地が接する道路に数字が付いていないことがあります。 そうした地域は倍率方式の対象で、「固定資産税評価額 × 地域ごとの倍率」で相続税評価額を計算する決まりです(国税庁タックスアンサーNo.4602)。

売却相場の逆算が目的なら、倍率地域では方法3(固定資産税評価額÷0.7)をそのまま使えば足ります。

0.7と0.8の根拠と、4つの組み合わせ方

割り戻しに使う数字は経験則ではなく、国土交通省の主な公的土地評価一覧に整理された制度上の数字です。

  • 路線価(相続税評価): 平成4年以降、地価公示価格水準の8割程度を目途に評価
  • 固定資産税評価: 平成6年以降、地価公示価格水準の7割程度を目途に評価
  • どちらも評価時点は毎年1月1日(固定資産税評価の評価替えは3年ごと)。別の役所が別の目的で付けた数字なので、両方で近い値が出ればその土地の評価は安定している

だから割り戻せば公示地価水準に戻る、という理屈です。 4つの道具は、次の順で組み合わせます。

  1. 課税明細書と路線価で、土地の評価水準をつかむ(その日のうちにできる)
  2. 不動産情報ライブラリとレインズで、近隣の成約事例を5〜10件集める(1〜2時間)
  3. 評価水準と成約事例のずれを見る(成約が評価より安い地域は、実勢が公的評価を下回っている)
  4. 最後に不動産会社の査定(仲介と買取の両方)で答え合わせをする

空き家の買取相場を自分で概算する3ステップ(速算式つき)

💡 この章の要点: ① 前章の逆算で売却相場(仲介想定価格)を出し、② 状態に応じた掛け目を当て、③ 解体・残置物の実費を引く。条件の割引と実費は、売却相場の段階と掛け目の段階で二重に引かないことが、速算を外さないコツ。

査定を受ける前に、自分の期待値を持っておくと判断が速くなります。 前章の道具で出した土地の目安を、そのまま次の式に入れます。

空き家買取相場の速算3ステップ

STEP1 売却相場(仲介想定価格)を組み立てる
  前章の土地の目安(A)(B)を採用
  → 成約事例が評価より安い地域なら成約側に寄せる
  → 建物は木造築22年超なら0円で見積もる

STEP2 状態に応じた掛け目を当てる
  そのまま住める       × 0.8前後
  直せば住める         × 0.7前後
  直すより壊すほうが早い × 0.6以下
  再建築不可等の難あり  × 0.4〜0.6

STEP3 一括で発生する実費を引く
  解体前提   → 解体費の見積額
  残置物大量 → 撤去費の見積額
  ※掛け目に織り込み済みの場合もあるため二重に引かない

ステップ1: 売却相場を組み立てる

基準になるのは、仲介で市場に出したときに売れるであろう価格です。 前章の方法3と方法4で出した土地の目安(A)と(B)に、建物の扱いを足します。

  • 木造で築22年超: 建物は0円で見積もるのが安全。市場では税務上の耐用年数に引きずられ、建物価格がつきにくい。建物の固定資産税評価額を0.7で割っても市場価格にはならない
  • 築浅・鉄筋コンクリート造: 近隣の成約事例との比較で上乗せを検討
  • 成約事例との突き合わせ: 取引が活発な都市部では実勢が公示水準を上回り、取引が少ない地方では下回ることがある。ずれる地域では成約側を信じる
  • 時点のずれ: 評価額は1月1日時点の数字なので、市況が動いた年は乖離が広がる

ステップ2: 状態に応じた掛け目を当てる

冒頭の表から、自分の空き家に近い行を選びます。 迷ったら、買い手が「買ってすぐ住めるか」で判断してください。

  • そのまま住める: 0.8前後。ハウスクリーニング程度で再販できる状態
  • 直せば住める: 0.7前後。水回りや内装の改修が前提になる状態
  • 直すより壊すほうが早い: 0.6以下。土地値から解体費を引いた水準に近づく
  • 再建築不可などの難あり: 0.4〜0.6。買い手が限定され、在庫リスクの分がさらに引かれる

ステップ3: 一括で発生する実費を差し引く

解体が前提になる物件と、残置物が大量にある物件では、その費用が提示額から引かれます。 掛け目に織り込み済みのこともあるため、二重に引かないよう、査定時に内訳を聞いて確認します。

割り引きの順序と二重引きの防ぎ方

条件による割り引きは、効き方の大きい順に当てます。

補正の段階 内容 効き方
第1段階: 再建築可否・立地 再建築不可やバス便なら、同じ条件の成約事例の水準まで売却相場を下げる 桁が変わることがある(掛け算)
第2段階: 買取の掛け目 状態に応じて0.7〜0.8前後 2〜3割(掛け算)
第3段階: 実費と個別事情 解体費・残置物処分費・擁壁や測量など買主の追加負担分を見積額で引く 数十万〜数百万円(引き算)

売却相場を同じ条件(再建築不可、バス便)の成約事例から取ったなら、条件はすでに織り込まれているので、第1段階は飛ばします。 評価額からの速算値をそのまま売却相場に使ったときだけ、第1段階の割引が必要になります。

第2段階の掛け目は、どちらの場合も状態の表どおりに当てます。 再建築不可で0.4〜0.6と低いのは、仲介価格が安いことの言い直しではなく、業者が再販するときの買い手が狭く在庫リスクが膨らむという買取側の事情だからです。

試算例1: 地方都市の木造築45年

  • 土地30坪、路線価から見た売却相場が800万円
  • 建物は住めない状態だが解体までは不要 → 掛け目0.7
  • 800万円 × 0.7 = 560万円前後 が概算

試算例2: 再建築不可で残置物が大量にある

  • 再建築不可の成約事例から見た売却相場が400万円(条件は織り込み済み)→ 掛け目0.5
  • 400万円 × 0.5 = 200万円
  • 残置物撤去30万円を引いて 170万円前後 が概算

いずれも架空の試算であり、実際の提示額は現地を見てから決まります。 ただし概算と査定額が2倍以上離れているなら、その理由を業者に聞く根拠にはなります。

エリア別に見る買取相場の目安 — 都市部・地方都市・過疎地

💡 この章の要点: 買取相場の地域差は「土地値の水準」と「再販先の有無」の掛け算で決まる。都市部は掛け目0.8前後を保ちやすく、地方は解体費の重みで下振れしやすい。過疎地は価格の高低より「現況のまま引き取れる業者がいるか」が分かれ目になる。

同じ速算式を使っても、出てくる金額の景色は地域でまったく違います。 土地値の水準別に、架空の計算例で並べてみます。

地域区分 価格を決める主役 土地の公示水準(例) 掛け目の傾向 買取概算(例)
都市部(政令市中心部等) 土地の価格 2,000万円 0.8前後 1,500〜1,700万円
地方都市・県庁所在地郊外 建物の状態と立地 600万円 0.6〜0.8 350〜480万円
郊外・バス便エリア 成約事例の有無 300万円 0.5〜0.7 130〜210万円
過疎地・山間部 買主がいるかどうか 100万円以下 一律に語れない 数十万円〜値付け困難

金額はすべて速算式に沿った架空の計算例で、実在の地域の相場ではありません。 それでも、地域ごとに「何が価格を決めているか」の違いは読み取れます。地域差の正体は、要因1(立地)と要因4(取引量)の掛け算です。

都市部: 掛け目の交渉が効く

  • 土地値が大きい: 建物が廃屋同然でも、土地の再販先が確実にあるため掛け目0.8前後を保ちやすい
  • 1割の差が数百万円: 仲介との比較も業者間の比較も、手間をかけるだけの金額差が出る
  • 更地渡しとの比較: 解体して土地として売る選択肢も現実的。解体費用の相場と突き合わせて判断する

地方都市: 解体費の重みが逆転を生む

  • 土地600万円に解体費120万円: 価格に対する解体費の比率が2割に達し、掛け目の見た目より手取りが下がる
  • 生活圏の内外で差: 学校やスーパーが徒歩圏なら築古でも実需の買い手が見込め、掛け目が保たれる
  • 仲介と買取の並行: 時間をかけられるなら仲介の可能性も残る価格帯。両方の査定を取って比べる価値がある

過疎地: 価格より「引き取り可否」

  • 速算式が上振れしやすい: 成約事例が少なく、評価額からの速算が実勢より高く出がち
  • 解体費が土地値を超えることも: この場合、値付けは「ほぼゼロ+引き取りの手間賃」の構造になる
  • 受け皿は3つ: 空き家バンク、隣地所有者への打診、現況のまま引き取れる買取業者。空き家バンクの使い方は空き家バンクとはで解説している

地域ごとの業者の探し方は空き家買取とはにまとめており、そこから都道府県別のページへも進めます。

実例: 築45年・地方・相続空き家の買取モデルケース

💡 この章の要点: 課税明細書から出した売却相場800万円、概算560万円の物件が、現地調査で 530万円の提示 になり、他社比較の交渉を経て 545万円で成約 するまでの時系列モデル。金額が動いた場面はすべて「費用の見積もりの差」で説明がつく。問い合わせから決済までは約2ヶ月。

速算とレンジの話を、実際の時間軸に置いてみます。 よくある状況を組み合わせた架空のモデルケースです。

設定: 地方都市郊外の木造一戸建て(築45年・土地30坪=約99㎡)。親が亡くなり、県外に住む長女が相続。相続登記は済んでいるが、家財がそのまま残り、雨漏りが始まっている。

調べ方から概算まで

まず手元の書類と公開データで、売却相場を組み立てます。

STEP1 売却相場
  課税明細書の土地の価格(評価額): 560万円 ÷ 0.7 = 800万円 …(A)
  路線価: 64,000円/㎡ × 99㎡ = 約634万円
          634万円 ÷ 0.8 = 約792万円 …(B)
  → AとBがほぼ一致。不動産情報ライブラリの同校区の成約も
    公示水準の前後に散らばっている → 売却相場800万円を採用
  → 建物は木造築45年で0円

STEP2 掛け目
  住めないが解体までは不要 → 800万円 × 0.7 = 560万円

STEP3 実費
  残置物と屋根は業者の見積もり次第 → 概算段階では引かない

概算560万円を持って、買取業者に査定を依頼します。

時系列と金額の動き

時期 出来事 金額の動き
1週目 買取3社にWebから査定依頼。物件情報と写真を送付 机上の概算: 500〜600万円
2〜3週目 3社が現地調査(鍵は郵送、立ち会いなし)
4週目 A社の正式提示。雨漏りによる屋根改修と残置物撤去を減額要因として明示 A社: 530万円
4週目 B社の提示は書面なし・内訳なし B社: 480万円(口頭)
5週目 C社の提示。残置物はそのまま引き取り、屋根は解体前提のため減額なし C社: 545万円
5週目 A社にC社の条件を伝えて再提示を依頼 → A社は540万円に増額 A社: 540万円
6週目 解体前提で屋根の減額がないC社と売買契約(契約不適合責任は免責) 契約額: 545万円
8週目 決済・引き渡し。固定資産税を日割り精算 入金: 545万円+精算金

このケースから読み取れること

  • 概算560万円と成約545万円の差は3%: 速算式で期待値を持っていたため、530万円の初回提示を「安すぎる」と誤解も「こんなものか」と即決もせずに済んだ
  • 金額差の正体は再販計画の差: A社は屋根を直して再販する計画、C社は解体して土地で再販する計画。同じ家でも計画が違えば引く費用が違う
  • 書面のない提示は比較に使えない: B社の口頭480万円は、内訳が見えないため交渉の土台にならなかった
  • 交渉材料は他社の条件だけで足りた: 値上げを頼み込んだのではなく、C社の条件を事実として伝えただけでA社は10万円動いた

なお、このケースで相続登記が未了だったら、査定は受けられても契約から先に進めません。

  • 相続登記は2024年4月から義務化: 取得を知った日から3年以内に登記しないと、正当な理由がない場合10万円以下の過料の対象(法務省)
  • 査定と登記は並行できる: 契約までに登記が済んでいればよい。前段の手続きは空き家売却の流れで1ステップずつ解説している

相場を押し下げる条件と掛け目が下がる空き家

💡 この章の要点: 押し下げ条件は、売却相場そのものを下げるもの(再建築不可・無道路地・市街化調整区域・旧耐震・心理的瑕疵)と、買取の掛け目を下げるもの(境界未確定・共有名義・残置物)に分かれる。共通する原因は「業者が再販するときに買い手を選ぶことになるか」。売主が短期間で動かせるのは残置物と書類の2つ。

同じ築年数でも、価格には差がつきます。 条件ごとに、どの段階で下がるのか、理由、確認先を一覧にします。

価格が下がりやすい条件

条件 下がる段階 下がる理由 確認のしかた
再建築不可 売却相場と掛け目の両方 建て替え不可で買い手が現金購入者に限られ、住宅ローンも通りにくい 市区町村の建築指導課で接道の扱いを確認
無道路地・接道が狭い 売却相場 工事車両が入らず解体費も修繕費も割高。無道路地は単独では建築できない 前面道路の幅員と接する長さを測量図で確認
市街化調整区域 売却相場 建て替えや新築に許可が必要になる場合があり、買い手が絞られる 市区町村の都市計画課で区域と建築可否を確認
旧耐震(1981年5月以前の基準) 売却相場 耐震改修費用分が引かれ、融資や保険で不利。解体前提の取引なら影響は小さい 建築確認日が1981年5月31日以前かどうか
心理的瑕疵(事故物件) 売却相場 買主の心理的抵抗。売買は賃貸と違って告知に期間の定めがない 過去の経緯を親族に確認
傾斜地・古い擁壁 売却相場と実費 使える平場が狭く、擁壁の改修費は数百万円になることがある 擁壁の築造時期と検査済証の有無を確認
境界が未確定 掛け目 測量と隣地立会いの費用と時間が価格に反映される 境界標の有無と確定測量図の有無を確認
共有名義・相続登記未了 掛け目 全員の同意が取れないと取引が進まず、業者がリスクを見込む 登記事項証明書で名義を確認
残置物あり 実費 処分費の実費と手間分が引かれる。「2tトラック何台分か」で概算される 業者の減額見込みと自分で頼む場合の見積もりを比較

心理的瑕疵については、国土交通省の人の死の告知に関するガイドラインが、賃貸はおおむね3年経過で告知不要とする目安を示す一方、売買には期間の定めを置いていません。

条件が重なるほど仲介では売りにくくなりますが、ゼロ円になるわけではありません。 再建築不可なら扱い慣れた買取業者が現実的で、無道路地なら隣地所有者への打診が唯一の高値ルートになることがあります。

掛け目が下がりにくい条件

  • 駅や生活圏に近い: 再販の買い手が広く、業者が在庫リスクを低く見積もれる
  • 土地の形が整っている: 分割や再建築の自由度が高く、使い道が複数ある
  • 残置物が片付いている: 撤去費が発生せず、その分が引かれない
  • 書類が揃っている: 登記事項証明書、測量図、建物図面が揃っていると調査コストが下がる

売主が動かせるのは2つだけ

条件の大半は、いまさら動かせません。 立地も接道も築年数も変えられない以上、売主の打ち手は残りの2つに絞られます。

  • 残置物: 自分で撤去するか、そのまま引き渡すか。撤去費を自分で払うほうが得かは見積もり次第なので、業者の減額見込みと自分で頼んだ場合の相見積もりを比べて決める
  • 書類: 揃えるのに費用はほぼかからず、査定を早め、調査コスト分の減額を防ぐ。課税明細書と登記事項証明書だけでも先に手元に置く

査定士が現地でこれらの条件をどう確認し、どこで金額が動くのかは空き家の査定で見られるポイントで1項目ずつ分解しています。

空き家の買取にかかる費用と税金|仲介の手取りとの比較

💡 この章の要点: 買取は仲介手数料が0円で、かかる費用は印紙税と登記関連くらい。仲介は売値から手数料・残置物処分・保有コストが引かれるため、表面の価格差は手取りに直すと縮む。手取りを左右するのはむしろ税金で、売却益が出れば長期20.315% / 短期39.63%の譲渡所得税。相続空き家は3,000万円特別控除で税額0円になるケースが多いが、申告は必須。

提示額がそのまま手取りになるわけではありません。 とはいえ買取は仲介に比べて引かれるものが少なく、計算は単純です。

費用の一覧

費用項目 買取 (参考)仲介
仲介手数料 0円(業者が直接買主のため) 価格の3%+6万円+税が上限。800万円以下は最大税込33万円の特例あり(令和6年7月1日施行。高知県の解説)
印紙税 契約金額500万円超〜1,000万円以下で5,000円、1,000万円超〜5,000万円以下で1万円(2027年3月31日までの軽減措置。国税庁) 同左
抵当権抹消登記 ローン残がある場合のみ。司法書士費用込みで1〜2万円台が目安 同左
確定測量 業者負担または省略の交渉余地あり 求められた場合30〜80万円
残置物処分 査定内で減額処理(別途請求なしが多い) 自己負担で片付けるのが基本
保有コスト 決済までの固定資産税(標準税率1.4%。総務省)は1〜2ヶ月分 売れるまで数ヶ月〜1年分

仲介の手取りと買取の総額で比べる

「仲介なら800万円、買取なら545万円」という表面の数字だけで比べると、判断を誤ります。 仲介の売値からは手数料と処分費と保有コストが引かれ、買取はほぼ総額がそのまま残るからです。前章のモデルケースで、仲介が売却相場どおり800万円で成約したと仮定して並べます。

項目 仲介(現況渡し) 買取
成約価格 800万円 545万円
仲介手数料(3%+6万円+税) 約33万円 0円
残置物処分(仮定30万円) 30万円(売主負担) 0円(そのまま引渡し)
売却までの固定資産税・管理(9か月と仮定) 約7万円(仮定) 約1万円(1か月分・仮定)
費用計 約70万円 約1万円
手残り(税引前) 約730万円 約544万円

表面の差255万円が、手取りでは約186万円差まで縮みました。 しかも仲介の800万円は「雨漏りの家が9か月で値引きなしに売れれば」という条件付きの数字です。長引けば保有コストが積み上がり、値下げすれば差はさらに縮みます。

  • 時間をかけられて難が少ない: 仲介で手取り最大化を狙う
  • 期限・遠方管理・訳あり条件がある: 買取で総額と確実性を取る
  • 迷う: 両方の査定を取り、この表の形式で並べる。制度的な違いは空き家の買取と仲介どちらが得?で整理している

譲渡所得税の速算

売却して利益(譲渡所得)が出た場合だけ、税金がかかります。

譲渡所得 = 売却価格 −(取得費 + 譲渡費用)
税額     = (譲渡所得 − 特別控除) × 税率

税率(譲渡した年の1月1日時点の所有期間で判定):
  所有5年超(長期) : 20.315%(国税庁タックスアンサーNo.3208)
  所有5年以下(短期): 39.63% (同No.3211)

相続した空き家では、次の3つのルールが効いてきます。

  • 所有期間は親の取得時期を引き継ぐ: 親が長年住んだ家なら、相続直後に売ってもほぼ長期(20.315%)扱いになる
  • 取得費が不明なら売却代金の5%で概算できる: 購入時の契約書が残っていない古い家の救済措置(国税庁No.3258)。ただし課税対象額は大きくなりやすい
  • 3,000万円特別控除: 要件を満たす相続空き家は譲渡所得から最大3,000万円を控除できる(国税庁No.3306)

3,000万円特別控除の主な要件

  • 建物: 昭和56年5月31日以前に建築された家屋(区分所有建物は対象外)
  • 利用状況: 相続から売却まで、事業・貸付け・居住に使っていないこと
  • 期限: 相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること。特例自体の適用期限は2027年12月31日までの譲渡
  • 価格: 売却代金が1億円以下
  • 耐震または取壊し: 2024年以降の譲渡では、譲渡の翌年2月15日までに耐震基準を満たすか、家屋の全部の取壊し等が行われた場合も適用対象

買取業者が解体を前提に買い取るケースは、最後の要件に乗せられる可能性があります。 契約前に取壊しの予定と時期を業者へ確認し、適用可否は税務署か税理士に相談してください。

前章のモデルケース(545万円で成約・概算取得費5%)に数字を入れると、控除の重みが見えます。

  • 譲渡所得: 約490万円(545万円 − 概算取得費約27万円 − 譲渡費用)
  • 控除なし: 長期税率20.315%でも税額約100万円
  • 控除あり: 課税対象0円 → 税額0円。ただし税額0円でも確定申告は必須

手取りが100万円単位で変わるため、相続空き家では要件確認を最優先にしてください。税額の計算の流れは空き家の譲渡所得税3,000万円特別控除の解説で扱っています。

相場より安い査定を見抜く4つの確認点 — 査定書の読み方

相場より安い査定を見抜く4つの確認点のイメージ

💡 この章の要点: 金額の高低ではなく「金額に理由が付いているか」を見る。確認点は ① 内訳の説明、② 3社以上の比較、③ 期限を切る提示への警戒、④ 契約後の減額条項の4つ。査定書は「再販見込み・引いた費用・提示額」の3行が読めれば判定できる。

金額の高低だけでは、良い査定かどうかは判断できません。 見るべきなのは、金額に理由が付いているかどうかです。

4つの確認点

  1. 査定額の内訳を出せるか: 再販見込み価格と、引いた費用の項目を説明できるか。「相場です」で終わる業者は比較対象から外して構わない
  2. 複数社に当たったか: 2社では高いほうが正しいのか安いほうが妥当なのか判断できない。3社以上に当てると中央の水準が見えてくる
  3. 契約を急がせていないか: 「今日中なら」「この金額は本日限り」と期限を切る提示は、比較させないための手法であることがある
  4. 契約後に減額される条件が書かれていないか: 契約書に価格の見直し条項があると、決済直前に減額されることがある。減額の条件と上限を契約前に文書で確認する

査定書のどの行を見るか

査定書の様式は業者ごとに違いますが、読むべき行は決まっています。

見る行 確認すること 危険なサイン
再販見込み価格 近隣のどの事例と比べたか根拠があるか 根拠の記載がない、聞いても答えない
差し引いた費用 項目ごとに金額が分かれているか 「諸経費一式」でまとめられている
残置物・解体の扱い 提示額に込みか、別途請求か 口頭では「込み」、書面には記載なし
提示額の有効期限と条件 減額されうる条件が特定されているか 「現地の状況により変動」とだけ書かれている
  • 「一式」表記は質問の入口にする: 内訳を聞いて即答できるかどうかで、査定の精度そのものが分かる
  • 概算提示と正式提示を区別する: 現地調査前の机上概算は変わりうる数字。比較と交渉は、現地調査後の書面提示だけで行う
  • 有利な条件は書面に残す: 「残置物そのままでいい」等の口頭の約束は、契約書に載って初めて条件になる

査定額の根拠と、契約後に金額が動く条件。 この2つを聞けば、金額の妥当性はかなりの精度で判定できます。業者選びの基準そのものは空き家買取業者おすすめランキングで5つの判断基準に整理しています。

相場より高く売るための要点

💡 この章の要点: 相場そのものは変えられないが、手残りは売り方で変わる。効くのは、現況のまま売る、残置物の仕分け、3社以上の相見積もり、期限の余裕、訳あり条件は専門業者へ、の5つ。

条件の側で売主が動かせるのは残置物と書類の2つでしたが、売り方の側にも打ち手があります。 効くのは5つです。

  • 現況のまま売る: 自己判断で先に解体しない。解体費を掛けても土地値が同額上がるとは限らず、買取なら現況のまま引き渡せる
  • 残置物は仕分けだけでも進める: 貴重品と権利関係の書類を抜いておくだけで、処分費の見積もりが早く正確になる
  • 3社以上の相見積もり: 仲介会社と買取業者の両方を含め、手取りの表の形式で並べて比べる
  • 期限に余裕を持つ: 期限が迫るほど値下げと買い叩きに弱くなる。動き出しが早いほど交渉の余地が残る
  • 訳あり条件は専門業者へ: 押し下げ条件に当てはまる物件は、一般仲介より扱い慣れた買取業者に直接相談するほうが早い

売却タイミングの見極め、媒介契約の選び方、内見対策、控除の活用など、売り方側の工夫は空き家を高く売る7つのコツで1つずつ解説しています。

空き家の買取相場と売却相場でよくある質問

1. 空き家の買取相場は仲介の何割ですか?

一般的な物件で7〜8割が目安です。 再建築不可や権利関係に問題がある物件では5割前後まで下がることがあり、逆に立地が良く再販しやすい物件では9割近くになることもあります。この割合は市場の目安で、公的な統計ではありません。

2. 路線価や固定資産税評価額と実勢価格はどれくらい違いますか?

路線価は地価公示価格水準の8割程度、固定資産税評価額は7割程度を目途に評価されています(国土交通省)。 割り戻せば公示水準の目安になりますが、実勢はさらに地域の需給で上下します。

  • 評価額そのままで売り出すと安すぎる可能性がある: まず割り戻して公示水準に直す
  • 成約事例と突き合わせて初めて「自分の地域の実勢」になる: 不動産情報ライブラリで確認する
3. 築50年を超えた空き家でも値段は付きますか?

建物の価値がゼロでも、土地に値段が付けば買取は成立します。 築年数より、接道条件と再建築の可否のほうが金額への影響は大きくなります。「一般の仲介で売れない」と「値段がつかない」は別の話です。

4. 解体してから売ったほうが高くなりますか?

先に自己判断で解体するのはおすすめしません。

  • 解体費は木造30坪で90〜150万円が目安: 自己負担しても、その分だけ価格が上がるとは限らない
  • 現況買取の見積もりと比べる: 解体せず現況で買い取る業者があるなら、両方の見積もりを取ってから決めるのが安全
  • 判断材料: 解体費用の相場にまとめている
5. 概算より大幅に安い査定が来ました。交渉できますか?

まず、概算と査定のどちらが間違っているかを切り分けます。

  • 概算側の見落とし: 課税標準額で計算していないか、再建築不可等の条件を見落としていないか
  • 査定側の根拠: 引いた費用の内訳を聞き、「一式」でしか答えられないなら他社に当たる
  • 2倍以上の乖離: どちらかに明確な誤りがあるサイン。理由が説明されるまで契約に進まない

内訳が示されている査定なら、残置物を自分で撤去する、境界確定の資料を用意するといった前提の訂正と、他社の書面提示を事実として伝えること(モデルケースでは10万円動いた)で動く余地があります。実費そのものは動かないため、値引き圧力だけの交渉は通りにくくなります。

6. 買取相場と手取り額は同じですか?

違います。 買取では仲介手数料が原則かからない一方、印紙税と、売却益が出た場合の譲渡所得税が発生します。費用と税金の章の一覧で確認してください。

7. 相場より高く買い取ってもらう方法はありますか?

再販先を多く持つ業者ほど、同じ物件を高く評価できます。 地域に強い業者と全国対応の業者の両方に当てて、再販の想定を聞き比べるのが有効です。「この家を次に誰へ売るつもりか」への答えが具体的な業者ほど、提示額の根拠も具体的です。

8. 査定を受けたら売らないといけませんか?

査定は無料で、売却の義務は生じません。 この記事の速算で自分のレンジを持ち、仲介会社と買取業者の両方を含めて3社以上の査定で答え合わせをしてから、売るかどうかを決める順番で使ってください。

動くなら早いほうが選択肢が多い

空き家には「特定空家指定で固定資産税が最大6倍」「相続から3年以内の譲渡で3,000万円特別控除」など、期限のある制度が複数あります。 売却を決める前でも、いま無料査定を取っておくだけで判断材料が増えます。

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まとめ

空き家の買取相場は、売却相場(仲介想定価格)の7〜8割が目安です。 最後に、この記事の道具立てを一覧にします。

  • 二段の型: 売却相場は立地・築年と構造・接道・取引量・市況で決まり、買取相場はその7〜8割
  • 掛け目の正体: 業者の取り分ではなく「再販価格 − 再生費用 − 販売経費 − 在庫リスクと利益」の引き算の結果
  • 調べる4つの道具: 不動産情報ライブラリ、レインズ・マーケット・インフォメーション、課税明細書、路線価。すべて無料
  • 速算式: 土地は「固定資産税評価額÷0.7」「路線価×面積÷0.8」で公示水準へ。建物は木造築22年超なら0円
  • 3ステップ: 売却相場 → 掛け目 → 実費控除。条件の割引は二重に引かない。概算と査定が2倍離れたら理由を聞く
  • エリア差: 都市部は掛け目交渉、地方は解体費の重み、過疎地は引き取り可否が主戦場
  • 費用と税金: 仲介手数料0円。仲介とは手取りで比べる。相続空き家は3,000万円控除の要件確認を最優先に
  • 査定書の読み方: 再販見込み・引いた費用・減額条件の3点が書面で示されているか

概算はあくまで机上の数字です。 実際にいくらで手放せるかは、現地を見た査定でしか決まりません。自分の概算を持ってから査定を受ければ、提示された金額を比べる基準ができます。

相続まわりもあわせて: 空き家を相続したら何から始める?5ステップ完全ガイド

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