空き家の固定資産税|計算方法・住宅用地特例・節税策【2026】
「空き家でも固定資産税はかかるの?」「特定空き家になると6倍って本当?」「解体すると逆に税金が上がるの?」——空き家の固定資産税は、所有者が知っておくべき重要なテーマです。
この記事では、空き家の固定資産税の 計算方法(評価額×1.4%)、住宅用地特例 の仕組み(1/6軽減)、特定空き家認定で 最大6倍 になるリスク、解体・売却・自己利用・賃貸での 節税策、都市計画税 との関係まで、所有者目線で2026年版に整理します。
結論を先にお伝えすると、空き家の固定資産税で押さえるべきポイントは3つです。
- 基本計算: 評価額 × 1.4%(都市計画税は +0.3%)
- 住宅用地特例: 200㎡以下部分は評価額の1/6(建物がある場合)
- 特定空き家・管理不全空き家: 「勧告」段階で特例解除 → 最大6倍
「気付かないうちに税負担が膨らむ」リスクが高いテーマなので、所有者は仕組みを正確に理解しておく必要があります。
空き家固定資産税、何を知りたい? — 状況別ジャンプガイド
| 知りたいこと | おすすめの読み始め |
|---|---|
| 計算方法を知りたい | 計算方法と税率 |
| 住宅用地特例の仕組み | 住宅用地特例で1/6軽減 |
| 特定空き家の6倍について | 特定空き家認定で6倍 |
| 解体と税金の関係 | 解体すると税金が上がる理由 |
| 節税策を知りたい | 節税策・特例の活用 |
| 都市計画税との違い | 都市計画税との関係 |
空き家の固定資産税 — 計算方法と税率

💡 TL;DR: 固定資産税 = 固定資産税評価額 × 1.4%(標準税率)。 評価額は3年に1度の評価替えで決まる。住宅用地特例 + 建物減価で、築年が古いほど建物分の税は安くなる。
固定資産税の基本計算式
固定資産税 = 固定資産税評価額 × 1.4%(標準税率)
都市計画税 = 固定資産税評価額 × 0.3%(市街化区域)
合計すると 評価額 × 1.7% が年間支払額の基本です。
固定資産税評価額とは
- 3年に1度、市区町村が評価する金額
- 土地: 地価公示価格の70%程度が目安
- 建物: 再建築価格 - 経年減価
- 路線価とは別物(路線価は相続税用)
自分の評価額を確認する方法
- 固定資産税納税通知書(毎年4〜6月送付)に記載
- 固定資産課税台帳(市区町村役場で閲覧可)
- 固定資産評価証明書(市区町村で取得・1通300円程度)
標準的な計算例
評価額 1,000万円の空き家(土地500万、建物500万):
| 項目 | 計算 | 年税額 |
|---|---|---|
| 土地の固定資産税(住宅用地特例適用) | 500万 × 1/6 × 1.4% | 約12,000円 |
| 建物の固定資産税 | 500万 × 1.4% | 70,000円 |
| 都市計画税(市街化区域) | 各種 × 0.3% | 約16,000円 |
| 合計 | 約98,000円/年 |
築年数による建物評価減
- 木造築20年 → 建物評価は 20〜30%程度 に減価
- 木造築40年 → 建物評価は 5〜10%程度 に減価
- 鉄骨・RC造は減価カーブが緩やか
築古空き家では「土地の固定資産税」が主な負担になります。
空き家の固定資産税 — 住宅用地特例で1/6軽減

💡 TL;DR: 住宅が建っている土地は「住宅用地特例」で固定資産税が 大幅軽減。200㎡以下は評価額の1/6、200㎡超は1/3。空き家でも建物がある間は適用される。
住宅用地特例の仕組み
地方税法に基づき、住宅が建っている土地に対する固定資産税は次のように軽減されます。
| 区分 | 内容 | 課税標準 |
|---|---|---|
| 小規模住宅用地 | 200㎡以下の部分 | 評価額の 1/6 |
| 一般住宅用地 | 200㎡超の部分 | 評価額の 1/3 |
都市計画税も同様に軽減(小規模1/3、一般2/3)。
計算例:面積300㎡の住宅用地
評価額 3,000万円(1㎡10万円換算):
| 区分 | 計算 | 課税標準 |
|---|---|---|
| 小規模住宅用地(200㎡分) | 2,000万 × 1/6 | 約333万円 |
| 一般住宅用地(100㎡分) | 1,000万 × 1/3 | 約333万円 |
| 合計課税標準 | 約667万円 | |
| 固定資産税 | 667万 × 1.4% | 約9.3万円/年 |
空き家でも特例適用される
空き家(誰も住んでいない住宅)でも、建物がある限り 住宅用地特例が適用されます。
- 居住者不在でも特例維持
- 賃貸用空き家でも適用
- ただし、特定空き家・管理不全空き家認定で 勧告 を受けると解除
適用されないケース
- 更地(建物を解体した状態)
- 倉庫・店舗のみの土地(住居用建物がない場合)
- 特定空き家・管理不全空き家で勧告を受けた場合
空き家の固定資産税が特定空き家認定で最大6倍になる仕組み
💡 TL;DR: 特定空き家(または管理不全空き家)が 「勧告」 を受けると、住宅用地特例が解除され、土地の固定資産税が 最大6倍 に。年1.2万円が年7.2万円に、年14万円が年84万円に跳ね上がるケース。
解除の仕組み
特定空き家・管理不全空き家認定 → 「助言・指導」(税優遇維持)→ 「勧告」(税優遇解除)→ 「命令」→「行政代執行」の段階的プロセス。
「勧告」段階で住宅用地特例が解除され、翌年1月1日から土地の固定資産税が フル課税(評価額×1.4%) に変わります。
増額の具体例
土地評価額 1,200万円、面積150㎡(全部が小規模住宅用地)の物件:
| 状態 | 課税標準 | 固定資産税 |
|---|---|---|
| 通常住宅(特例適用) | 1,200万 × 1/6 = 200万 | 約2.8万円/年 |
| 特定空き家(勧告後) | 1,200万 × 1/1 = 1,200万 | 約16.8万円/年 |
→ 年間 約14万円 の追加負担。10年放置すれば 140万円 の差。
都市部はさらに大きな差
東京23区の高評価額物件(土地評価額5,000万円・100㎡):
| 状態 | 固定資産税 |
|---|---|
| 通常住宅 | 5,000万 × 1/6 × 1.4% = 約11.7万円/年 |
| 特定空き家 勧告後 | 5,000万 × 1.4% = 70万円/年 |
→ 年間 約58万円 の追加負担。5年で290万円。
解除のタイミング
- 勧告日 に解除確定
- 翌年1月1日から税優遇なし
- 改善 → 勧告解除されれば、翌年1月1日から特例復活
詳しくは 特定空き家とは|認定基準・固定資産税6倍・回避方法 を参照。
空き家の固定資産税 — 解体すると税金が上がる理由

💡 TL;DR: 解体すると 住宅用地特例が解除 され、土地の固定資産税が最大6倍に。解体は「税金が下がる」のではなく「税金が上がる」。解体後の活用 or 売却を明確にしてから解体する。
解体後の固定資産税変動
| 状態 | 土地税 | 建物税 | 合計 |
|---|---|---|---|
| 解体前(住宅あり) | 約1.2万円(特例1/6) | 約2万円 | 約3.2万円 |
| 解体後(更地) | 約7.2万円(特例なし) | 0円 | 約7.2万円 |
→ 解体で建物税が消えるが、土地税が増えてトータルで 約2倍。
解体後すぐ売却するなら問題小
- 解体 → 6ヶ月以内に売却完了 → 固定資産税は1年分のみ
- 翌年(1月1日基準日)までに売却完了で 更地税の発生回避 可能
ただし、1月1日時点で更地なら更地税が課税される(売却完了が遅れると損失)。
解体後の活用パターン別の税金
- 駐車場活用: 土地税は更地扱い(最大6倍)、駐車場収益で相殺できるか?
- 新築建て替え: 新築完成後は再び住宅用地特例適用
- 農地転用: 農地は別の特例あり(地域による)
- 国庫帰属: 国に引き取り(条件あり)
解体せず売却する選択肢
固定資産税負担を最も確実に減らすのは 「所有権ごと売却」 です。買取専門業者なら現況のまま買取可能なケースが多く、解体費用も発生しません。
空き家の固定資産税の節税策5つ

💡 TL;DR: ① 住宅用地特例を維持(管理を怠らない)、② 賃貸活用で住宅用地特例維持、③ 自己利用(セカンドハウス)で特例維持、④ 解体後すぐ売却で更地税回避、⑤ 売却で所有権ごと手放す。
節税策1:住宅用地特例を維持する
最も基本かつ重要な節税策。特定空き家・管理不全空き家認定を避ける ことで、税優遇1/6を維持。
- 定期的な草刈り・点検
- 軽微な修繕
- 自治体からの指導には早期対応
- 管理代行サービスの活用
詳しくは 空き家管理代行サービス|料金相場・選び方 参照。
節税策2:賃貸活用で住宅用地特例維持
賃貸に出すと住宅利用とみなされ、特例維持。
- メリット: 家賃収入 + 特例維持
- デメリット: 3,000万円控除との併用不可・リフォーム費用
節税策3:自己利用(セカンドハウス)
自分で時々住む形にすれば、特定空き家認定回避 + 特例維持。
- 季節ごとに1〜2回滞在
- 住民票異動は不要(セカンドハウスとして)
- ただし、3,000万円控除は使えなくなる
節税策4:解体後すぐ売却
解体 → 1月1日までに売却完了で更地税回避。
- 解体タイミング: 売買契約が確定してから解体
- 解体費用も買主負担 or 売主負担を契約で明記
- 「買主が解体する条件で売る」も令和5年改正で適用範囲拡大
節税策5:売却で所有権ごと手放す
固定資産税負担を 永久に 消す唯一の方法。
- 通常仲介で売却
- 訳あり物件専門業者で現況買取
- 空き家バンクで地方移住者へマッチング
- 自治体寄付・国庫帰属(条件厳しい)
5年放置で50〜100万円の固定資産税累計と、いま売却した場合の手取りを比較するのが現実解。
空き家の固定資産税と都市計画税の関係
💡 TL;DR: 都市計画税は 市街化区域内の不動産 に課税される追加税(税率0.3%)。住宅用地特例(小規模1/3、一般2/3)あり。特定空き家認定で同様に解除される。市街化調整区域は都市計画税なし。
都市計画税の課税対象
- 市街化区域 内の土地・建物に課税
- 市街化調整区域・非線引区域は 対象外
都市計画税の計算
都市計画税 = 固定資産税評価額 × 0.3%(標準税率)
住宅用地特例(都市計画税)
| 区分 | 内容 | 課税標準 |
|---|---|---|
| 小規模住宅用地(200㎡以下) | 評価額の 1/3 | (1/6ではない) |
| 一般住宅用地(200㎡超) | 評価額の 2/3 | (1/3ではない) |
固定資産税(1/6, 1/3)より軽減幅は小さい。
固定資産税 + 都市計画税の合計負担
評価額1,000万円・200㎡以下の住宅用地:
| 税目 | 計算 | 年税額 |
|---|---|---|
| 固定資産税(土地) | 1,000万 × 1/6 × 1.4% | 約2.3万円 |
| 都市計画税(土地) | 1,000万 × 1/3 × 0.3% | 約1.0万円 |
| 合計 | 約3.3万円/年 |
特定空き家認定で勧告 → 固定資産税(1,000万×1.4%=14万円) + 都市計画税(1,000万×0.3%=3万円) = 17万円/年 に増加。
市街化調整区域は都市計画税なし
田舎の物件で「市街化調整区域」の場合は都市計画税ゼロ。ただし、市街化調整区域は再建築原則禁止で物件価値が下がるトレードオフ。
空き家の固定資産税のよくある質問
- 1. 空き家でも固定資産税は払わないといけませんか?
- 所有者がいる限り発生 します。誰も住んでいなくても、建物・土地の所有権がある限り課税対象です。
- 2. 固定資産税が払えない場合はどうなりますか?
- 滞納すると延滞金 + 財産差押え のリスク。市区町村に相談すると、分割払いの対応してくれる場合もあります。最終的には売却 or 解体で所有権ごと手放すのが現実解。
- 3. 固定資産税の評価額に不服があります。どうすれば?
- 固定資産評価審査委員会 に審査の申出が可能です(評価通知後3ヶ月以内)。評価額が不当に高い場合、減額される可能性あり。
- 4. 空き家を相続したら、いつから固定資産税を払うことになる?
- 相続発生年の翌年1月1日基準 で課税。実際の通知は4〜6月の納税通知書で来ます。相続登記前でも納税義務は発生し、相続人代表者に通知が届きます。
- 5. 空き家の建物部分の固定資産税はずっと払わないといけない?
- 建物がある限り、建物分の固定資産税は発生 します。経年減価で安くなりますが、ゼロにはなりません(評価額がゼロまで下がるケースは稀)。
- 6. 固定資産税の延滞金はいくらですか?
- 納期から1ヶ月: 年2.4%、それ以降: 年8.7% (令和5年度)。1年遅れで滞納額の 8%以上 の延滞金が乗るため、早期納付 or 分割払い相談が必須。 最後にもう一度、空き家固定資産税のポイントを整理します。 「とりあえず持ち続ける」を選ぶと、特定空き家認定リスク + 毎年の税負担が累積します。売却で完全解放 が最もシンプルな出口です。 関連: 特定空き家とは|認定基準・固定資産税6倍・回避方法 / 空き家管理代行サービス / 空き家活用の選択肢8つ





