空き家の固定資産税|計算方法・住宅用地特例・節税策【2026】
「空き家でも固定資産税はかかるの?」「特定空き家になると6倍って本当?」「解体すると逆に税金が上がるの?」。この3つの疑問には、実は1本の共通の答えがあります。住宅用地特例(建物が建っている土地の税金を最大1/6にする仕組み)を知っているかどうかです。
この記事では、空き家の固定資産税の 計算方法、住宅用地特例 の仕組み、特定空き家・管理不全空き家の勧告で 最大6倍 になるリスク、節税策、都市計画税 との関係まで、所有者目線で2026年版に整理します。
結論を先にお伝えすると、空き家の固定資産税で押さえるべきポイントは3つです。
- 基本計算: 固定資産税評価額 × 1.4%(都市計画税は別途最大0.3%)
- 住宅用地特例: 200㎡以下の部分は課税標準が評価額の1/6(建物がある場合)
- 特定空き家・管理不全空き家: 「勧告」を受けると特例解除 → 土地の税額が最大6倍
税額そのものより怖いのは、「勧告」や「解体」のタイミングを知らずに、ある年から急に税額が跳ね上がることです。仕組みを順番に見ていきましょう。
空き家固定資産税、何を知りたい? — 状況別ジャンプガイド
| 知りたいこと | おすすめの読み始め |
|---|---|
| 計算方法を知りたい | 計算方法と税率 |
| 住宅用地特例の仕組み | 住宅用地特例で1/6軽減 |
| 特定空き家の6倍について | 特定空き家認定で6倍 |
| 解体と税金の関係 | 解体すると税金が上がる理由 |
| 節税策を知りたい | 節税策・特例の活用 |
| 売却で負担を止めたい | 買取ルートと1月1日の壁 |
| 実際の金額の推移を見たい | 10年保有のモデルケース |
| 都市計画税との違い | 都市計画税との関係 |
空き家の固定資産税 — 計算方法と税率

💡 この章の要点: 固定資産税 = 固定資産税評価額 × 1.4%(標準税率)。評価額は3年に1度の評価替えで決まり、毎年1月1日時点の所有者 に課税される。納税通知書の「課税標準額」を見れば、特例が効いているかまで読み取れる。
固定資産税の基本計算式
固定資産税 = 課税標準額 × 1.4%(標準税率)
都市計画税 = 課税標準額 × 最大0.3%(市街化区域のみ)
課税標準額 = 固定資産税評価額 × 特例率(住宅用地なら1/6 or 1/3)
税率1.4%は地方税法350条の標準税率で、大半の市町村がこのまま採用しています(総務省)。「評価額に直接1.4%」ではなく、間に 特例率 が挟まる点が空き家の税額を左右します。
- 課税主体: 物件所在地の市町村(東京23区は都)
- 納税義務者: 毎年 1月1日時点 の所有者(地方税法359条)。年の途中で手放しても、その年度分は1月1日の所有者に課税される
- 納期: 原則4月・7月・12月・2月の年4回(市町村の条例で定める)
固定資産税評価額とは
- 決め方: 3年に1度の評価替えで市町村が決定する
- 土地: 地価公示価格の7割を目途に評価(総務省)
- 建物: 「同じものを今建てたらいくらか(再建築価格)」に経年減点補正を掛けて評価
- 注意: 相続税の計算に使う路線価とは別物
自分の評価額を確認する3つの方法
| 方法 | 入手先 | 備考 |
|---|---|---|
| 固定資産税納税通知書 | 毎年4〜6月に郵送 | 「価格(評価額)」と「課税標準額」の両方が載る |
| 固定資産課税台帳の閲覧 | 市町村役場 | 縦覧期間なら他の土地との比較も可 |
| 固定資産評価証明書 | 市町村窓口(1通300円程度) | 売却・相続手続きでも使う書類 |
納税通知書では「価格」と「課税標準額」の欄を見比べてください。土地の課税標準額が価格の1/6前後になっていれば、住宅用地特例が効いている証拠です。ほぼ同額なら、特例が外れている(更地扱い)ことを意味します。
標準的な計算例(試算)
評価額1,000万円の空き家(土地500万円・建物500万円、土地は200㎡以下、市街化区域)の場合の試算です。
| 項目 | 計算 | 年税額 |
|---|---|---|
| 土地の固定資産税(特例1/6) | 500万 × 1/6 × 1.4% | 約12,000円 |
| 建物の固定資産税 | 500万 × 1.4% | 70,000円 |
| 土地の都市計画税(特例1/3) | 500万 × 1/3 × 0.3% | 約5,000円 |
| 建物の都市計画税 | 500万 × 0.3% | 15,000円 |
| 合計 | 約10.2万円/年 |
築古の空き家は「土地の税金」が主戦場
建物の評価額は経年減点補正率によって毎年下がりますが、下限は再建築価格の2割(0.2) と決まっており、それ以上は下がりません(固定資産評価基準・総務省告示)。
- 木造住宅: 経過年数に応じて補正率が下がり、最終的に 0.2で下げ止まる
- つまり: 築40年でも築60年でも、建物分の税金はゼロにならない
- 結果: 築古空き家の税負担は「土地の特例が維持できるか」でほぼ決まる
空き家の固定資産税 — 住宅用地特例で1/6軽減

💡 この章の要点: 住宅が建っている土地は 住宅用地特例 で課税標準が大幅軽減。200㎡以下は評価額の1/6、200㎡超の部分は1/3(地方税法349条の3の2)。空き家でも建物がある間は原則適用されるが、勧告 で外れる例外がある。
住宅用地特例の仕組み
住宅の敷地(住宅用地)に対する固定資産税は、地方税法349条の3の2により次のように軽減されます。
| 区分 | 対象 | 固定資産税の課税標準 | 都市計画税の課税標準 |
|---|---|---|---|
| 小規模住宅用地 | 200㎡以下の部分 | 評価額の 1/6 | 評価額の 1/3 |
| 一般住宅用地 | 200㎡超の部分 | 評価額の 1/3 | 評価額の 2/3 |
計算例: 面積300㎡の住宅用地(試算)
評価額3,000万円(1㎡あたり10万円換算)の土地の場合です。
| 区分 | 計算 | 課税標準 |
|---|---|---|
| 小規模住宅用地(200㎡分) | 2,000万 × 1/6 | 約333万円 |
| 一般住宅用地(100㎡分) | 1,000万 × 1/3 | 約333万円 |
| 合計課税標準 | 約667万円 | |
| 固定資産税 | 667万 × 1.4% | 約9.3万円/年 |
特例なしなら3,000万円×1.4%=42万円ですから、この特例だけで年30万円以上の差になります。「空き家を壊すと税金が上がる」と言われる理由は、すべてこの特例に集約されます。
空き家でも特例は適用される
住宅用地特例の条件は「住宅の敷地であること」で、住んでいるかどうかは問いません。
- 居住者不在(空き家) → 建物が住宅である限り特例維持
- 賃貸用の空き家 → 同じく適用
- 例外: 特定空家等・管理不全空家等として 勧告 を受けた土地は対象から除外(地方税法349条の3の2第1項)
適用されないケース
- 更地: 建物を解体した土地(解体した瞬間に「住宅の敷地」でなくなる)
- 住宅以外の建物の土地: 倉庫・店舗だけが建つ土地
- 勧告を受けた空き家の土地: 次章で詳しく解説
空き家の固定資産税が特定空き家認定で最大6倍になる仕組み
💡 この章の要点: 特定空家等・管理不全空家等が 「勧告」 を受けると住宅用地特例が解除され、土地の課税標準が1/6から最大で満額(6倍)に戻る。2023年12月の空家法改正で、倒壊寸前まで行かない 「管理不全」段階でも勧告→特例解除 が可能になり、対象が大きく広がった。
「6倍」の正体は特例の解除
税率が6倍になるのではありません。課税標準を1/6にしていた特例が外れて 元に戻る ため、結果的に土地の税額が最大6倍になるという仕組みです。根拠は次の2つの法律です。
- 空家等対策特別措置法: 市町村長が状態の悪い空き家に勧告できる(13条・22条)
- 地方税法349条の3の2: 勧告を受けた空き家の土地を住宅用地特例から除外する
2つのルート: 特定空家と管理不全空家
2023年12月13日施行の改正空家法(国土交通省)で、勧告に至るルートが2本になりました。
| 項目 | 管理不全空家等(13条) | 特定空家等(22条) |
|---|---|---|
| 状態 | 放置すれば特定空家になるおそれ(窓の破損・草木の繁茂など) | 倒壊等の危険・著しい衛生上の問題など |
| 手続きの流れ | 指導 → 勧告 | 助言・指導 → 勧告 → 命令 → 行政代執行 |
| 特例解除 | 勧告で解除 | 勧告で解除 |
| その先 | 改善しなければ特定空家へ | 命令違反は過料、最終的に強制解体(費用は所有者負担) |
改正前は「倒壊寸前」レベルの特定空家だけが対象でした。改正後は、その手前の管理不全段階で税優遇を外せる ようになったため、「まだ壊れていないから大丈夫」という読みは通用しなくなっています。
増額の具体例(試算)
土地評価額1,200万円・面積150㎡(全部が小規模住宅用地)の物件です。
| 状態 | 課税標準 | 固定資産税(土地) |
|---|---|---|
| 通常の空き家(特例適用) | 1,200万 × 1/6 = 200万 | 約2.8万円/年 |
| 勧告後(特例解除・満額の場合) | 1,200万 | 約16.8万円/年 |
東京23区の高評価額物件(土地評価額5,000万円・100㎡)なら、約11.7万円/年 → 70万円/年。年間約58万円の差です。
なお「6倍」は特例がフルに外れた場合の理論値です。特例が外れた後の土地には商業地等としての負担調整措置(地方税法附則18条)が別に働くため、実際の税額の上がり方は市町村の計算によります。正確な額は勧告時に市町村の資産税担当課へ確認してください。
勧告と税額のタイミング
固定資産税は毎年1月1日(賦課期日)時点の状態で決まります(地方税法359条)。
勧告を受ける
↓
勧告を受けたまま 1月1日 を迎える
↓
その1月1日に始まる年度分から、特例なしで課税
- 勧告に従って改善すれば: 特例解除を避けられる。指導・勧告の段階では、まだ引き返せる
- 改善後の特例の扱い: 指摘箇所を改善して勧告が撤回されれば、撤回後の最初の1月1日時点で勧告がない状態なら、その年度分から特例が戻る。すでに課税された年度分がさかのぼって減額されるわけではない
- 撤回の手続き: 改善の報告様式や撤回の呼び方は自治体ごとに幅があるため、文書に記載の担当課に確認する
特定空き家の認定基準は 特定空き家とは|認定基準・固定資産税6倍・回避方法、勧告から撤回までの動き方と1月1日から逆算した段取りは 管理不全空き家とは|判定基準・勧告の解除方法 を参照してください。
空き家の固定資産税 — 解体すると税金が上がる理由

💡 この章の要点: 解体すると 住宅用地特例が外れ、建物分の税金が消えても土地分が増えてトータルでは増税になるのが普通。解体するなら「その後どうするか」を決めてから。1月1日をまたぐかどうか で翌年の税額が変わる。
解体前後の税額変化(試算)
土地評価額500万円(200㎡以下)・建物評価額150万円の空き家の場合です。
| 状態 | 土地の税 | 建物の税 | 合計 |
|---|---|---|---|
| 解体前(住宅あり) | 約1.2万円(特例1/6) | 約2.1万円 | 約3.3万円/年 |
| 解体後(更地) | 約7.0万円(特例なし) | 0円 | 約7.0万円/年 |
建物分が消えても、土地分の増加が上回ります。この試算では 約2.1倍。土地の評価額が高い都市部ほど、倍率はさらに大きくなります。
損しない解体タイミングの考え方
判断の軸は賦課期日(1月1日)です。
- 1月1日時点で建物あり → その年度は特例つきの税額
- 1月1日時点で更地 → その年度は特例なしの税額
- セオリー: 売却や建て替えの予定が固まってから解体し、更地のまま1月1日を何度も越えない
買主が決まってから解体する「更地渡し」契約なら、更地で保有する期間を最短にできます。解体費と手順は 空き家の解体費用相場 を参照してください。
解体後の活用パターン別の税金
- 駐車場にする: 土地は更地扱いのまま。駐車場収入が増税分を上回るかの試算が先
- 新築に建て替える: 完成後は再び住宅用地特例が適用される
- すぐ売却する: 更地で越年する前に決済まで進めば、増税の影響は最小限
- そのまま放置: 最悪の選択。特例なしの税額を、収入ゼロで払い続けることになる
解体せず「そのまま売る」選択肢
固定資産税の負担を確実に止める方法は、所有権ごと手放すことです。買取業者なら現況のまま(解体せずに)買い取るケースが多く、解体費の持ち出しもありません。詳しくは 買取ルートと1月1日の壁 で解説します。
空き家の固定資産税の節税策5つ

💡 この章の要点: 打ち手は ① 特例維持(管理を続ける)、② 賃貸活用、③ 自己利用、④ 解体後すぐ売却、⑤ 売却で手放す の5つ。①〜③は「税額を抑えて持ち続ける」策、④⑤は「負担そのものを終わらせる」策で、性質が違う。
節税策1: 住宅用地特例を維持する(持ち続ける人の基本)
勧告を受けない状態を保てば、特例1/6は維持されます。やることは管理です。
- 草木: 越境・繁茂は勧告理由の定番。年2回以上の草刈り
- 建物: 屋根・窓・外壁の破損を放置しない(管理不全の判断材料になる)
- 自治体からの連絡: 指導の段階で対応すれば勧告まで進まない
- 遠方なら: 管理代行サービス(相場は月数千円〜)に委託する手もある
費用感と選び方は 空き家管理代行サービス|料金相場・選び方 を参照してください。
節税策2: 賃貸に出して特例を維持する
賃貸中の住宅の土地も住宅用地なので、特例はそのまま使えます。家賃収入で税負担を相殺できる一方、代償もあります。
- メリット: 家賃収入 + 特例維持 + 管理不全リスクの解消(人が住むため)
- デメリット: 貸した時点で相続空き家の 3,000万円特別控除が使えなくなる(国税庁)。初期リフォーム費もかかる
- 判断: 賃貸の収支と売却の手取りを並べてから。詳細は 空き家を賃貸に出す を参照
節税策3: 自己利用(セカンドハウス化)
自分で使い続ける形にすれば、管理不全とは無縁になり特例も維持されます。
- 帰省の拠点・週末利用など、実際に使う予定がある人向け
- 移動コスト・光熱費の基本料金は毎年かかり続ける
- 「使うあてがないのに名目だけセカンドハウス」は、管理が続かず結局元の空き家に戻りやすい
節税策4: 解体後すぐ売却(更地渡し)
解体して売る場合は、更地の状態で1月1日を越えないよう逆算します。
- 順序: 売買契約や買主の当てが固まってから解体する
- 契約: 解体費をどちらが負担するかを契約書で明記する
- 税制の追い風: 2024年以降の譲渡では、譲渡後に買主側で翌年2月15日までに取り壊す場合も、相続空き家の3,000万円控除の対象になり得る(国税庁No.3306)
節税策5: 売却で所有権ごと手放す
固定資産税の負担を恒久的にゼロにする唯一の方法です。
- 仲介で売る: 時間はかかるが価格は高め
- 買取業者に売る: 現況のまま・短期間で確定。次章で流れを解説
- 空き家バンク: 地方物件のマッチング。成約までの期間は読みにくい
「持ち続ける策(1〜3)」は税額を抑えるだけで、管理の手間と建物の劣化は進み続けます。5年後・10年後も持ち続ける理由があるかを、一度立ち止まって確認してください。
固定資産税から抜ける売却 — 買取ルートと1月1日の壁
💡 この章の要点: 売却で固定資産税から抜けるなら、期間が読める買取ルート が計画を立てやすい。買取は問い合わせから決済まで 標準1〜2ヶ月。年内に決済まで進めば、翌年度分の税負担は買主側との 日割り精算 で実質的に区切れる。
「1月1日の所有者」ルールと売却の関係
固定資産税は1月1日時点の所有者に1年分が課税されます。年の途中で売れた場合はどうなるか。
- 法律上: 1月1日の所有者(売主)がその年度分を納める義務を負う
- 実務上: 決済日を境に 日割りで精算 する慣行が定着しており、引き渡し後の分は買主負担として代金に上乗せされる
- つまり: 売却が決まれば、実質的な負担は決済日で止まる
「来年も1月1日を所有者として迎えるかどうか」が、税負担がもう1年続くかの分かれ目です。
買取ルートの流れと日数
仲介(買主を探す方式)は売れるまでの期間が読めませんが、買取(業者が直接買う方式)は各段階の日数がほぼ確定します。
| 段階 | 内容 | 日数の目安 |
|---|---|---|
| ① 問い合わせ | 物件情報を電話・フォームで伝える | 当日〜3日 |
| ② 現地調査 | 業者が建物と敷地を確認(立ち会いなしも可) | 調整込み1〜2週間 |
| ③ 査定・価格提示 | 書面で金額と条件をもらう | 数日〜1週間 |
| ④ 売買契約 | 条件合意後に締結 | 合意から1〜2週間 |
| ⑤ 決済・引き渡し | 代金受領・登記・固定資産税の日割り精算 | 契約から1〜2週間 |
- 合計: 標準1〜2ヶ月、書類が揃っていれば最短2週間程度
- 費用面: 仲介手数料は不要(業者が直接買主になるため)。残置物や解体もそのまま引き取る業者が多い
- 逆算: 「年内に決済まで終えたい」なら、秋には査定を始めるのが安全圏
各ステップの詳細とつまずきどころは 空き家売却の流れ7ステップ で1段階ずつ解説しています。業者選びは 空き家買取業者おすすめランキング を参照してください。
売却時の税金は「固定資産税とは別の話」
売却して利益が出た場合の譲渡所得税は、毎年かかる固定資産税とは別の仕組みです。
- 利益が出なければ課税されない
- 相続空き家なら3,000万円特別控除(要件あり・2027年12月31日までの譲渡)で税額0円になるケースが多い(国税庁)
- 試算は 空き家売却の税金シミュレーション を参照
試算: 築48年・地方・相続空き家を10年持つといくらかかるか
💡 この章の要点: 土地評価600万円・建物評価80万円のモデルで試算すると、固定資産税は年約2.5万円。ただし管理費・帰省コストを足すと保有コストは年8万円前後になり、10年で約80万円。途中で勧告を受けると税額だけで年約8.4万円に跳ねる。
「年2〜3万円なら払える」と感じた方にこそ、この試算を見てほしいと思います。実在の取引ではなく、よくある条件を組み合わせた架空のモデルケースです。
設定: 地方都市郊外の一戸建て(昭和53年築・築48年)。親が亡くなり、県外在住の長女が相続。土地評価額600万円(150㎡・市街化区域外で都市計画税なし)、建物評価額80万円と仮定します。
年間コストの内訳(試算)
| 項目 | 年額 | 備考 |
|---|---|---|
| 固定資産税(土地) | 約1.4万円 | 600万 × 1/6 × 1.4% |
| 固定資産税(建物) | 約1.1万円 | 80万 × 1.4% |
| 草刈り・点検の外注 | 約3万円 | 年2回×1.5万円と仮定 |
| 帰省・見回りの交通費 | 約3万円 | 年2往復と仮定 |
| 合計 | 約8.5万円/年 | 火災保険を掛ければさらに加算 |
10年放置した場合のタイムライン(試算)
| 時期 | 出来事 | 累計コスト |
|---|---|---|
| 1〜3年目 | 年1〜2回の帰省管理で維持 | 約26万円 |
| 4年目 | 台風で雨どい破損。修繕15万円 | 約49万円 |
| 6年目 | 管理が途絶えがちに。市から管理不全の指導が届く | 約66万円 |
| 7年目 | 対応できず勧告。翌年から特例解除、土地の税が年約8.4万円に | 約75万円 |
| 8〜10年目 | 税約9.5万円+管理費で年約15万円ペースに | 約120万円 |
この試算から読み取れること
- 税金より管理費が重い: 特例が効いている間、コストの主役は税ではなく草刈りと帰省
- 勧告は「壊れてから」ではない: 管理が途切れた数年後、管理不全の段階でやってくる
- 後半ほど出費が加速する: 建物の劣化と特例解除が重なる7年目以降、年間コストは倍近くになる
- 早く動くほど選択肢が多い: 3年目までに売却していれば、累計コストは30万円以下で止まっていた
10年で約120万円は、この規模の地方物件では売却額の相当部分に相当します。「いつか考える」の「いつか」を決めることが、実質的な節税になります。
親が施設に入って誰も住まなくなった実家でも、固定資産税と管理費が続く構図は同じです。ただし親が存命のうちは、親自身が売って使える控除に期限があり、残す、貸す、売るを決める起点も入所日になります。その決め方は親の施設入所で空き家になった実家をどうするかへ。
空き家の固定資産税と都市計画税の関係
💡 この章の要点: 都市計画税は 市街化区域内の土地・家屋 にかかる追加の税(税率は最大0.3%)。住宅用地特例は固定資産税より軽減幅が小さい(小規模1/3、一般2/3)。勧告で特例が外れる仕組みも共通。市街化調整区域なら都市計画税はない。
都市計画税の基本
- 課税対象: 原則として市街化区域内の土地・家屋(総務省)
- 税率: 0.3%を超えられない(制限税率・地方税法702条の4)。市町村によっては0.3%未満
- 対象外: 市街化調整区域・非線引き区域の物件
住宅用地特例(都市計画税)
| 区分 | 固定資産税 | 都市計画税 |
|---|---|---|
| 小規模住宅用地(200㎡以下) | 1/6 | 1/3 |
| 一般住宅用地(200㎡超) | 1/3 | 2/3 |
軽減幅は固定資産税より小さめです(地方税法702条の3)。勧告による解除は固定資産税と連動します。
合計負担の計算例(試算)
評価額1,000万円・200㎡以下の住宅用地(税率は標準の1.4%・0.3%)の場合です。
| 税目 | 計算 | 年税額 |
|---|---|---|
| 固定資産税(土地) | 1,000万 × 1/6 × 1.4% | 約2.3万円 |
| 都市計画税(土地) | 1,000万 × 1/3 × 0.3% | 約1.0万円 |
| 合計 | 約3.3万円/年 |
勧告で特例がフルに外れた場合の理論値は、固定資産税14万円+都市計画税3万円=年17万円 です(実際の額は負担調整措置により市町村が計算)。
市街化調整区域のトレードオフ
田舎の物件で市街化調整区域なら都市計画税はゼロです。ただし市街化調整区域は原則として新たな建築が制限されるため、売却時の買い手がつきにくいという裏面があります。税が安いことと売りやすいことは別問題です。
空き家の固定資産税のよくある質問
- 1. 空き家でも固定資産税は払わないといけませんか?
所有者がいる限り発生 します。誰も住んでいなくても、1月1日時点で建物・土地を所有している人が納税義務者です(地方税法359条)。
- 2. 固定資産税が払えない場合はどうなりますか?
滞納すると延滞金が付き、最終的には財産差押え に進みえます。払えない事情がある場合は、放置せず市町村の納税課へ分割納付の相談を。恒久的に負担を断つ手段としては売却が現実解です。
- 3. 固定資産税の評価額に不服があります。どうすれば?
固定資産評価審査委員会への審査の申出 ができます(地方税法432条)。期限は原則として納税通知書の交付を受けた日後3ヶ月までです。まずは資産税担当課に評価の根拠を聞くところから始めてください。
- 4. 空き家を相続したら、いつから固定資産税を払うことになる?
相続した翌年以降の1月1日時点の所有者(相続人) に課税されます。相続登記がまだでも納税義務は発生し、市町村が指定する相続人代表者に納税通知書が届きます。
- 5. 空き家の建物部分の固定資産税はずっと払わないといけない?
建物がある限り発生し続けます。経年で評価は下がりますが、経年減点補正率には下限(0.2)があるため、評価額がゼロになることはありません(固定資産評価基準)。
- 6. 固定資産税の延滞金はいくらですか?
令和8年中は 納期限の翌日から1ヶ月以内: 年2.8%、それ以降: 年9.1% です。割合は年ごとに見直されるため、正確な額は市町村の納税課で確認してください。
- 7. 空き家を売却したら、固定資産税以外に税金はかかりますか?
売却で利益(譲渡所得)が出た場合は譲渡所得税の対象 になります。毎年かかる固定資産税と違い、売るときに一度だけかかる別の税金で、所有期間によって税率が変わります。詳しくは 空き家の譲渡所得税|長期・短期の税率と課税の仕組み を参照してください。
- 8. 評価額がとても低い空き家でも固定資産税はかかりますか?
課税標準額が「免税点」未満なら課税されません。同じ市町村内で同じ人が持つ固定資産の課税標準額の合計が、土地30万円未満・家屋20万円未満なら課税されない仕組みです(地方税法351条)。なお令和8年度税制改正により、令和9年度分からは家屋の免税点が30万円に引き上げられます。課税されない物件でも、所有者としての管理責任は残ります。
- 9. 「空き家税」という税金はありますか?
国の税としてはありません。空き家にかかる国の定めた税は固定資産税と都市計画税で、「6倍」も新しい税ではなく住宅用地特例の解除です。ただし自治体が独自に課す例として、京都市が条例で定めた 非居住住宅利活用促進税 があります。
京都市の非居住住宅利活用促進税について(2026年8月21日更新)によると、課税開始は令和12年度(令和12年1月1日の利用状況によるもの)の予定で、システム開発の影響により当初の令和11年度から1年延期されています。
- 対象: 京都市の市街化区域内にある、その所在地に住所を有する者がいない住宅の所有者。空き家だけでなく別荘やセカンドハウスも含む
- 税額: 家屋価値割(税率0.7%)と立地床面積割(税率は家屋価値割の課税標準額に応じて0.15%・0.3%・0.6%)の2本立て
- 課税されない場合: 家屋価値割の課税標準額が30万円(導入当初5年間は100万円)未満のもの
- 課税免除: 事業の用に供しているもの、賃借人の募集または販売を開始した日から1年以内のもの、など
京都市以外の自治体で同種の税が実施されているかは、当メディアで確認していません。京都市内に空き家を持つ人は、課税開始の前に、賃貸に出すか売却するかで免除の対象になる余地があることも、市のページで確かめてください。
- 10. 勧告を受けてしまいました。もう6倍を避けられませんか?
次の1月1日までに改善できれば影響を抑えられる可能性があります。勧告に記載された措置(修繕・草木の伐採など)を実施し、市町村に改善を確認してもらってください。対応が難しい場合は、勧告を受けた状態のままでも買い取れる業者への売却が出口になります。
動くなら早いほうが選択肢が多い
空き家には「特定空家指定で固定資産税が最大6倍」「相続から3年以内の譲渡で3,000万円特別控除」など、期限のある制度が複数あります。 売却を決める前でも、いま無料査定を取っておくだけで判断材料が増えます。
まとめ — 空き家固定資産税は「特例維持 or 売却」の二択
最後にもう一度、空き家固定資産税のポイントを整理します。
- 基本: 課税標準 × 1.4%(都市計画税は市街化区域で最大0.3%)。毎年1月1日の所有者に課税
- 住宅用地特例: 200㎡以下は評価額の1/6。空き家でも建物がある限り原則適用
- 勧告に注意: 管理不全空家・特定空家の勧告で特例解除 → 土地の税額が最大6倍
- 解体は増税: 建物分が消えても土地分が上回る。解体は「その後」を決めてから
- 保有コストの主役は管理費: 税+管理で年8万円前後、10年で100万円超の試算も
- 出口は売却: 買取ルートなら1〜2ヶ月で確定。決済日以降の負担は日割り精算で区切れる
「とりあえず持ち続ける」を選ぶなら、特例を守る管理をセットで。それが難しいなら、負担が軽いうちに手放すのが結果的に一番の節税です。
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固定資産税負担を「永久にゼロ」にするには売却が最短
毎年の税負担をゼロにする唯一の方法は所有権を手放すこと。査定は無料・秘密厳守でご対応します。
- 査定も相談も無料。売ると決める前の段階でも、買取可否と概算金額が分かります
- 現状渡しでOK。片付けも解体も不要で、撤去・解体費は運営側の負担です
- 仲介手数料0円。契約から決済まで最短数日で、遠方からでも手続きを進められます
- 弁護士・税理士・司法書士の3士業と連携。再建築不可、共有持分、相続未登記、事故物件も相談できます
しつこい営業はありません。





