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相続 - 空き家相続後の判断フロー|売る・持つ・活用・放棄を1時間で決める
相続

空き家相続後の判断フロー|売る・持つ・活用・放棄を1時間で決める

「実家を相続したが、売るべきか、持っておくべきか、それとも相続放棄か」——空き家の相続で一番難しいのは手続きではなく、この 最初の方針決め です。しかも迷っている間も、維持費の発生・建物の傷み・税制優遇の期限は止まってくれません。

方針決めが難しいのは、比べる相手がバラバラだからです。売却は「いくらになるか」、保有は「いくらかかるか」、放棄は「何を失うか」。単位の違うものを頭の中だけで比べようとすると、決められないまま時間が過ぎます。

この記事では、判断を 4つの分岐(放棄すべきか → 使う予定はあるか → 維持費を払い続けられるか → 売れるか) に分解し、それぞれの判断基準・数字・期限を示します。読み終える頃には「自分はどの出口に向かうか」の大方針と、次にやることが決まっている状態を目指します。

結論を先にお伝えすると、判断の骨格は3つです。

  • 最初の分岐は「放棄するかどうか」だけ期限が別格 — 相続を知った時から 3ヶ月(民法915条)。他の検討より先に片付ける
  • 「とりあえず持つ」は無料ではない — 維持費は年10万円台〜(試算)。5年で数十万〜100万円超が消える
  • 売るなら期限から逆算 — 相続空き家の3,000万円特別控除は「相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日まで」の売却が要件(国税庁)

相続判断、いまどこ? — 状況別ジャンプガイド

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期限が心配 期限からの逆算
4選択肢の違いを知りたい 4つの選択肢比較
持ち続けるといくらかかる? 維持費試算
すぐ売る場合の進め方 「相続して売る」の実務
実際の判断例を見たい モデルケース
親族と意見が合わない 親族間の合意形成

空き家相続後の判断フローチャート — 4つの分岐

💡 この章の要点: 判断は Q1 放棄すべきか(3ヶ月以内) → Q2 使う予定はあるか → Q3 維持費を払い続けられるか → Q4 売れるか の順で分岐させる。Q1だけ期限が別格に短いため、必ず最初に片付ける。

判断フロー図

4つの質問に順番に答えると、出口はほぼ決まります。

[空き家を相続した]
    ↓
[Q1] 借金が遺産を上回っていないか?(期限: 知った時から3ヶ月)
    ↓ 上回る/疑いが濃い          → 【相続放棄を検討】(全遺産の放棄になる点に注意)
    ↓ 上回らない
[Q2] 自分や家族が住む・使う具体的な予定があるか?
    ↓ ある                       → 【持つ/活用】(時期と費用の計画とセットで)
    ↓ ない
[Q3] 年10万円台〜の維持費を、期限を決めずに払い続けられるか?
    ↓ 払える                     → 【当面持つ + 売却時期の計画】
    ↓ 払えない/払いたくない
[Q4] 物件は売れる状態か?(立地・建物・権利関係)
    ↓ 通常市場で売れる           → 【仲介で売却】
    ↓ 難あり(築古・遠方・訳あり) → 【買取で売却】

各分岐の判断基準

フロー図の1問ずつに、判断材料を添えます。

  • Q1 放棄すべきか: 判断材料は財産の棚卸し(預貯金・借金・不動産)。借金の有無が不明なら信用情報の開示請求で調べる。期限は相続を知った時から3ヶ月(民法915条)で、放棄する場合は遺品整理を始めてはいけない(処分すると放棄できなくなりうる。民法921条)。手続き・落とし穴は 空き家の相続放棄 に集約した
  • Q2 使う予定: 「いつ・誰が・いくらかけて」が言えるかで判定する。「いつか使うかも」はQ2のYESに数えない(後述の維持費が判断を変える)
  • Q3 維持費の許容: 金額は次章で試算する。ポイントは総額ではなく「終わりがあるか」。売却予定日が決まっている保有と、期限なしの保有は別物
  • Q4 売れるか: 自分で判断せず査定で確かめる。「田舎だから売れない」という思い込みで放置される物件が、現況買取で値の付くケースは珍しくない

「迷ったら売却」が安全策になる理由

4分岐のどこかで即答できず迷い続ける場合、経済的には「売却」に寄せるのが安全策です。理由は損失の非対称性にあります。

  • 売却の失敗: 「もう少し高く売れたかもしれない」という機会損失にとどまる
  • 保有の失敗: 維持費の累積・建物の劣化・特定空家指定のリスク・税制優遇の期限切れが同時に進行する
  • 放棄の失敗: 撤回できず(民法919条)、他の遺産も戻らない

売却は失敗がいちばん浅い選択肢です。迷いを引き延ばすくらいなら、査定を取って「売った場合の数字」を判断材料に加えるほうが早く前に進めます。

空き家相続の期限チェック — すべての判断はここから逆算

💡 この章の要点: 期限は 3ヶ月(放棄)・4ヶ月(準確定申告)・10ヶ月(相続税)・3年(相続登記)・3年経過年の12/31(3,000万円控除) の5本柱。特に3,000万円控除は 売却完了までの所要期間(買取1〜2ヶ月・仲介4ヶ月〜1年)を差し引いて 逆算する。

期限一覧(起算日つき)

期限 起算日 期間 根拠
相続放棄・限定承認 相続の開始を知った時から 3ヶ月 民法915条
準確定申告(故人の所得税) 相続の開始を知った日の翌日から 4ヶ月 国税庁 No.2022
相続税の申告・納付 死亡を知った日の翌日から 10ヶ月 国税庁 No.4205
相続登記(義務) 不動産取得を知った日から 3年 法務省(違反は10万円以下の過料)
3,000万円特別控除の売却期限 相続開始日から 3年を経過する日の属する年の12月31日 国税庁 No.3306
取得費加算の特例 相続税の申告期限の翌日以後 3年を経過する日まで 国税庁 No.3267

補足が2つあります。

  • 2024年3月以前の相続も登記義務の対象: 相続登記の義務化(2024年4月1日開始)は過去の相続に遡って適用され、それらは 2027年(令和9年)3月31日まで に登記が必要(法務省)。「祖父名義のまま」の物件は今すぐ動く案件
  • 3,000万円控除には制度自体の期限もある: 適用対象は 2027年(令和9年)12月31日まで の譲渡(国税庁 No.3306)

逆算カレンダーの作り方

期限は「その日までに売買契約すればいい」ではありません。控除の要件は売却(譲渡)の完了です。売却ルートごとの所要期間を差し引いて、動き出しの締切を出します。

例: 2026年2月に相続が発生した場合

個別の期限 = 2029年12月31日
  (相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日)
制度の期限 = 2027年12月31日
  (令和9年12月31日までの譲渡が対象。国税庁 No.3306)
→ 早いほうが締切なので、実質の売却期限 = 2027年12月31日

逆算:
  買取で売る場合(所要1〜2ヶ月)   → 2027年10月頃までに査定・交渉開始
  仲介で売る場合(所要4ヶ月〜1年) → 2026年内には売り出し開始が安全圏
  相続登記(売却の前提・1〜2ヶ月) → さらにその前に完了させておく

2025年以降に相続した人は、個別の期限より制度の期限が先に来ます。制度が延長されるかは税制改正次第で、事前には分かりません。

期限ギリギリの売り急ぎは、買い手側に足元を見られて価格交渉で不利になります。控除で数十万〜数百万円の節税が見込める物件ほど、1年以上の余裕を持って 売却計画を立ててください。

各期限で具体的に何をやるかは 空き家相続の期限カレンダー、控除の要件詳細は 空き家3,000万円特別控除 にまとめています。

3,000万円控除の効果を数字で

控除の効きは大きく、判断を左右します。譲渡所得(売却の利益)が丸ごと控除内に収まれば、譲渡所得税は0円です(申告は必要)。

  • 節税額の目安: 控除される譲渡所得 × 税率20.315%(所有5年超の長期譲渡の場合)。仮に譲渡所得1,000万円が全額控除されれば 約203万円 の節税(試算)
  • 主な要件: 昭和56年5月31日以前築・区分所有建物でない・相続から売却まで居住や賃貸に使っていない・売却代金1億円以下など(国税庁 No.3306)
  • 注意: 2024年以降の譲渡では、取得した相続人が3人以上の場合は控除額2,000万円に縮小

空き家相続後の4つの選択肢 — 売る・持つ・活用・放棄

💡 この章の要点: 出口は ① 売る(仲介/買取)、② 持つ、③ 活用(賃貸・空き家バンク等)、④ 相続放棄 の4つ。意外なことに 金銭的なリスクが読みにくいのは「持つ」。期限も出口も決めない保有は、選択肢ではなく先延ばしになる。

4選択肢の比較表

選択肢 初期費用 継続負担 決着までの期間 向く人
売る(買取) ほぼなし(登記費用程度) なし 1〜2ヶ月 早く確実に手放したい・訳あり物件
売る(仲介) ほぼなし(登記費用程度) 売れるまで維持費 4ヶ月〜1年超 立地が良く高値を狙える
持つ なし 年10万円台〜(試算・次章) 期限なし 使う予定が具体的にある
活用(賃貸等) リフォーム費(物件次第で数十万〜数百万円) 管理の手間(黒字化すれば収入) 準備に数ヶ月〜 立地良好・投資と運営を許容
放棄 実費数千円+専門家報酬 占有者は保存義務(民法940条) 受理まで1〜2ヶ月 借金が遺産を上回る

選択肢1: 売る — 唯一「維持費が止まる」出口

  • 金銭面: 売却代金が入り、固定資産税・管理費・保険がすべて止まる
  • 税制面: 要件を満たせば3,000万円特別控除。期限内の売却が条件
  • 分岐: 高く売る(仲介)か、早く確実に売る(買取)か。この選び方は 後の章 で掘る

選択肢2: 持つ — 「計画のある保有」だけが選択肢になる

  • 成立条件: 「3年後に自分が住む」「子が2028年に戻る」など、時期と使い手が具体的 なこと
  • やること: 維持費の年額を見積もる・管理の担当を決める・計画が崩れた場合の売却条件を先に決めておく
  • 危険な形: 「いつか使うかも」「思い出があるから」だけの保有。維持費と劣化が進む一方で、いつでも売れるとは限らない

選択肢3: 活用 — 立地と初期投資がハードル

  • 代表例: 賃貸(戸建て賃貸・DIY型)、空き家バンクへの登録、駐車場等への転用
  • 成立条件: 借り手・使い手の需要がある立地で、初期投資(修繕・リフォーム)を回収できる見込みが立つこと
  • 判断のコツ: 「賃料収入」ではなく「投資回収年数」で考える。回収に10年以上かかる計画は、築古物件では劣化リスクと釣り合わないことが多い

活用の選択肢の全体像は 空き家活用の選択肢8つ を参照してください。

選択肢4: 相続放棄 — 空き家だけは捨てられない

  • 効果: 初めから相続人でなかったことになる(民法939条)。借金も空き家も引き継がない
  • 代償: 預貯金など他の遺産もすべて放棄 になる。空き家だけ選んで手放すことはできない
  • 期限: 相続を知った時から3ヶ月(民法915条)
  • 残るもの: 空き家を現に占有していた場合、次の相続人か相続財産清算人に引き渡すまで保存義務(民法940条)
  • 放棄以外の道: 借金の総額が分からず、実家は残したいという場合は、相続で得た財産の限度でだけ借金を返す限定承認が候補になる。相続人全員の共同が条件で、手続きは放棄より重い。条件と落とし穴は限定承認とは?実家を残して借金を清算する条件

「維持できないから放棄」を選ぶ前に、借金の有無と売却可能性の2点だけは確かめてください。申述の手続き・費用・放棄後に空き家がどうなるかは 空き家の相続放棄|3ヶ月期限・手続き・落とし穴 で詳しく解説しています。

空き家相続の年間維持費試算 — 持ち続けるコスト

💡 この章の要点: 空き家の維持費は管理をどこまで外注するかで 年10万円台〜40万円程度(試算)。5年で数十万〜200万円。さらに管理が悪化して 「特定空家」等の勧告を受けると住宅用地特例(課税標準1/6)が外れ、固定資産税が最大6倍相当 になりうる(地方税法349条の3の2)。

年間維持費の内訳(試算)

金額は物件の評価額・地域・外注範囲で変わるため、幅を持った試算として示します。

項目 年額の目安 備考
固定資産税・都市計画税 4〜13万円 評価額次第。住宅用地特例(小規模住宅用地は課税標準1/6)適用の前提
火災保険(空き家向け) 1〜3万円 空き家は通常契約より割高・引受不可の場合も
管理代行(月1回点検) 6〜12万円 自分で通うなら交通費に置き換わる
草刈り・庭木(年数回) 4〜12万円 放置すると近隣苦情の最大要因に
合計(試算) 15〜40万円/年 自主管理なら10万円台前半まで圧縮可

5年持つといくら消えるか

維持費の試算: 年15〜40万円 × 5年 = 75〜200万円

これに上乗せされうるもの:
- 建物劣化による売却額の目減り(築古ほど進行が速い)
- 給湯器・屋根・水回りなどの突発修繕
- 台風・凍結などの災害対応

つまり「何もしない」を5年続けるだけで、地方の空き家なら売却額に匹敵しうる金額が消えます。保有を選ぶなら、この金額を「使う予定の価値」が上回るかで判定してください。

特定空家に指定されると維持費が跳ね上がる

管理されない空き家には、法律上のペナルティが用意されています。

  • 仕組み: 住宅の敷地は固定資産税の課税標準が最大1/6に減額される(住宅用地特例・地方税法349条の3の2)
  • 外れる条件: 空家等対策特別措置法にもとづき 「特定空家等」または「管理不全空家等」として勧告 を受けると、その敷地は特例の対象から除外される(同条)
  • 結果: 課税標準の減額(1/6・1/3)がなくなり、土地の固定資産税が最大6倍相当 まで増えうる
  • その先: 命令違反や放置が続けば、行政代執行(強制解体・費用は所有者負担)まで進む可能性がある

「持つ」を選ぶ場合、管理はコストではなく、このペナルティを避けるための必須条件です。放置した場合に起こることの全体像は 空き家を放置するリスク7つ を参照してください。

「相続してすぐ売る」の実務 — 買取が向くケース・仲介が向くケース

💡 この章の要点: 売却ルートは2つ。仲介 は高値が狙えるが期間が読めない。買取 は相場の6〜8割だが1〜2ヶ月で確実に決着し、残置物そのまま・遠方対応も可能。期限(控除・登記)や物件の難条件がある相続空き家は、買取が現実解になりやすい。

仲介と買取、相続空き家での違い

項目 仲介 買取
価格 相場の9〜10割を狙える 相場の6〜8割が目安
期間 4ヶ月〜1年超(買主次第) 1〜2ヶ月(最短2週間)
仲介手数料 あり なし(業者が直接買う)
残置物(家財) 片付けてから売るのが基本 そのまま引き取る業者が多い
遠方からの手続き 内見対応などで負担が残る 現地立ち会いなしも可
契約不適合責任 原則あり(交渉次第) 免責が一般的

買取が向くケース

相続空き家に多い「難条件」は、そのまま買取向きの条件です。

  • 期限が迫っている: 3,000万円控除の期限まで1年を切っている場合、期間の読めない仲介は間に合わないリスクがある
  • 遠方に住んでいる: 内見対応・管理・片付けのために通えない
  • 残置物が大量: 家財ごと引き取ってもらえるため、遺品整理費用(数十万円かかることも)を省略・圧縮できる
  • 築古・傷みが激しい: 一般の買い手はローンが付きにくく、仲介では内見すら入らないことがある
  • 再建築不可などの訳あり: 専門業者の買取がほぼ唯一の出口
  • 親族で早く現金化して分けたい: 換価分割(売って分ける)は、金額と時期が確定する買取と相性が良い

仲介が向くケース

  • 立地が良い: 都市部・駅近・学区良好など、待てば買い手が現れる物件
  • 建物の状態が良い: 築浅・リフォーム済みで居住用として売れる
  • 期限に余裕がある: 控除期限まで2年以上あり、維持費を払いながら待てる
  • 手取りの最大化が最優先: 価格差(相場の2〜4割)は仲介の最大の強み

売る場合の手順(共通の骨格)

[1] 相続登記(名義変更)  ← 売却の前提。2024年から義務化(3年以内)
      ↓
[2] 査定(買取系・仲介系の両方に依頼して比較)
      ↓
[3] ルート決定(買取 → 契約へ / 仲介 → 媒介契約・売却活動へ)
      ↓
[4] 売買契約 → 決済・引き渡し
      ↓
[5] 売却翌年に確定申告(3,000万円控除は申告が適用条件)

査定は無料で、売ると決める前でも受けられます。判断フローのQ4(売れるか)に答えるための情報収集として、早い段階で取っておくのが合理的です。ステップごとの詳細は 空き家売却の流れ|7ステップ完全ガイド にまとめています。

実例: 築45年・地方の相続空き家の判断モデルケース

💡 この章の要点: 判断フローを実際の時間軸に乗せると、最初の3ヶ月は「放棄の要否」、次の1年で「売るか持つか」 の二段階になる。以下はよくある状況を組み合わせた 架空の試算例。

設定: 地方都市の郊外、駅から車で15分の一戸建て(築45年・旧耐震)。母が亡くなり、県外在住の長男が単独相続。弟妹はおらず、母に借金はない。長男は持ち家があり、実家に戻る予定はない。

判断フローに沿った時系列

時期 分岐 判断と行動
1〜2ヶ月目 Q1 放棄? 預金300万円・借金なしを確認。放棄の理由なし → 相続で確定。並行して準確定申告(4ヶ月以内)の要否を税理士に確認
3ヶ月目 Q2 使う? 家族会議。「盆正月に泊まれれば」程度で具体的な利用予定なし → 持つ理由なし
4ヶ月目 Q3 維持費? 管理代行+草刈りで年20万円前後と試算。「終わりのない出費」と判断 → 売却方針に決定
5〜6ヶ月目 — 相続登記を司法書士に依頼(義務化対応も兼ねる)
6ヶ月目 Q4 売れる? 買取2社+仲介2社に査定依頼。仲介は「売り出し600万円・期間読めず」、買取は「残置物込み400万円・1ヶ月で決済」
7ヶ月目 ルート選択 旧耐震・駅遠・残置物大量の3条件と、控除期限までの余裕を検討。買取を選択 し翌月決済
翌年2〜3月 — 確定申告。3,000万円控除の要件を税務署・税理士に確認して適用 → 譲渡所得税0円(試算)

このケースの判断ポイント

  • Q1を最初の2ヶ月で終えたのが効いた: 放棄の可能性を早期に消したことで、遺品整理や査定に安心して着手できた(放棄検討中は遺産に手を付けられない)
  • Q2で「いつか使うかも」を採用しなかった: 具体的な予定に落ちない利用イメージを保有の理由にしなかったことで、年20万円(試算)の維持費を回避
  • 仲介600万円と買取400万円を「同じ土俵」で比べなかった: 仲介は売れて初めての600万円で、待つ間の維持費と値下げリスクを引く必要がある。確実性の差を織り込んで買取を選んだ
  • 数字はすべて試算: 実際の査定額・税額は物件と個別事情で変わる。同じ手順を自分の物件の数字で繰り返すことに意味がある

空き家相続判断で親族と合意形成するコツ

💡 この章の要点: 判断が遅れる最大の要因は物件ではなく 親族間の意見対立。① 早く始める、② 感情論を数字(査定額・維持費・税額)に変換する、③ 第三者を入れる、の3つで前に進める。

よくある対立と、数字への変換

意見対立の多くは、数字が出ていない段階の感情のぶつかり合いです。判断材料を揃えると議論が変わります。

  • 「思い出の家を売りたくない」vs「維持費が負担」 → 年間維持費と5年累計を試算して共有する。「残す」に年いくら払うかの話に変える
  • 「いずれ値上がりするかも」vs「早く現金化したい」 → 査定額の推移(築古物件は待つほど下がりやすい)と維持費を並べる
  • 「誰かが管理すればいい」vs「押し付け合い」 → 管理代行の外注費(月5千円〜)を見積もり、負担を金額で割り振る

合意形成の3ステップ

  1. 早期に話し合いを始める(四十九日の後など、相続人が集まる機会を逃さない)
  2. 客観的データを全員に配る(複数社の査定額・維持費試算・控除の期限)。口頭ではなく紙・共有ドキュメントで
  3. まとまらなければ第三者を入れる(司法書士・税理士など)。中立の専門家の一言で、平行線が動くことは多い

協議が長引くときの実務ワザ

  • 相続人申告登記で登記義務だけ先に果たす: 遺産分割協議がまとまらなくても、法務局への申告(1人でも可)で相続登記の3年義務に対応できる。ただしこの状態では売却はできない。詳細は 空き家の相続登記義務化
  • 「換価分割」を落とし所にする: 現物(家)を誰が取るかで揉める場合、売却して代金を分ける方式なら公平性を保ちやすい
  • 期限を全員で共有する: 3,000万円控除の期限は相続人全員の手取りに影響する。対立していても「期限で全員が損をする」事実は共有できる

空き家相続後判断のよくある質問

1. 売却するか活用するか、判断軸は何ですか?

立地の需要・初期投資の回収年数・自分の手間の許容度 の3つです。借り手が付く立地で、リフォーム費を数年で回収でき、運営の手間を許容できるなら活用が候補になります。1つでも欠けるなら売却が無難です。

2. 「とりあえず1年様子見」はアリですか?

理由のない様子見はおすすめしません。1年で維持費が十数万円〜(試算)かかり、建物は傷み、控除の期限は近づきます。様子見するなら「◯月に査定を取り直して、△円を下回ったら売る」のように、期限と判断条件をセットで 決めてください。

3. 3,000万円控除の期限が1年を切っています。どうすれば?

期間が確定する買取ルートが現実解です。仲介は売却完了までの期間が読めず、期限を跨ぐリスクがあります。まず相続登記の状況を確認し(未了なら最優先)、買取査定を並行で取ってください。

4. 相続放棄すべきかどうかは、何で判断しますか?

「借金が遺産の総額を上回るか」が基本線です。空き家の維持が負担というだけなら、売却で解決できないかを先に確かめます。放棄は預貯金を含む全遺産を失い、撤回もできません(民法919条)。期限3ヶ月以内の判断になるため、迷ったら早めに弁護士・司法書士へ。詳しくは 空き家の相続放棄 を参照してください。

5. 兄弟で意見が割れたまま共有名義にするのはダメですか?

おすすめしません。共有名義の不動産は全員の同意がないと売却できず、次の相続でさらに共有者が増えて身動きが取れなくなります。「決められないから共有」は問題の先送りです。共有の出口は 空き家の共有名義 にまとめています。

6. 子世代に残すために持ち続けるのはアリですか?

子どもの意思確認とセットならアリです。「子が住む予定」が親の想像だけというケースは多く、本人に確認したら「要らない」だった、はよくある話です。残すなら維持費の負担者・管理の担当・使わなくなった場合の売却条件まで決めておくと、次の代の負担になりません。

7. 空き家を相続すると相続税はかかりますか?

遺産全体の課税価格が基礎控除額を超える場合だけかかります。基礎控除額は 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数 です(国税庁 No.4152)。

  • 法定相続人が1人: 3,600万円
  • 法定相続人が2人: 4,200万円
  • 法定相続人が3人: 4,800万円

空き家単体ではなく、預貯金・有価証券なども合わせた遺産の合計で判定します。合計が基礎控除の範囲内なら、申告も納税も必要ありません(国税庁 No.4205)。超えるなら、死亡を知った日の翌日から 10ヶ月以内 に申告と納付が必要です。

注意点が2つあります。相続放棄をした人がいても、基礎控除の人数計算では 放棄がなかったものとして 数えます。また、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を使って税額が0円になる場合でも、申告そのものは必要 です。判断フローのQ1(財産の棚卸し)で遺産の総額を出すとき、この基礎控除額と並べておくと、10ヶ月期限の対象になるかが早い段階で分かります。

動くなら早いほうが選択肢が多い

空き家には「特定空家指定で固定資産税が最大6倍」「相続から3年以内の譲渡で3,000万円特別控除」など、期限のある制度が複数あります。 売却を決める前でも、いま無料査定を取っておくだけで判断材料が増えます。

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まとめ — 「判断しない」が最大のコスト

最後にもう一度、空き家相続後の判断ポイントを整理します。

  • 判断フローは4分岐: 放棄すべきか(3ヶ月) → 使う予定 → 維持費の許容 → 売れるか
  • 期限は5本柱: 放棄3ヶ月・準確定申告4ヶ月・相続税10ヶ月・相続登記3年・3,000万円控除は3年経過年の12/31(制度の期限2027年12月31日が先に来るなら、そちら)
  • 維持費は年10万円台〜40万円(試算): 「とりあえず持つ」は毎年この金額を払う選択
  • 勧告を受けると固定資産税が最大6倍相当: 住宅用地特例の除外(地方税法349条の3の2)
  • 迷ったら査定: 「売った場合の数字」が出ると、持つ・活用・放棄の判断も具体的になる

税や法律の適用は個別事情で変わるため、最終判断の前に税理士・司法書士・弁護士への確認をおすすめします。まずは判断フローのQ1(放棄の要否)とQ4の材料集め(無料査定)から始めてください。

関連: 空き家を相続したら何から始める?5ステップ完全ガイド / 空き家3,000万円特別控除 / 空き家の相続登記義務化 / 空き家の相続放棄

判断材料の出発点は売却額の目安

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